餅つきで食中毒!?発生事例から予防法を考えよう


年が明けると各地で餅つき大会が行われます。保護者や近所の方を招いて実施する幼稚園や保育園も多いでしょう。
みんなで行う楽しい餅つき。しかし、衛生管理を怠ると食中毒にかかる恐れが…実際過去には、幼稚園や小学校などの施設で集団食中毒が発生したことがあります。発生の原因は?予防のためにすべきこととは?過去の発生事例から対策を考えてみましょう。
過去に起きた餅つき大会での食中毒事例
まずは、過去に起きてしまった餅つき大会での食中毒事例を見てみましょう。
幼稚園の餅つき大会で…
平成22年、東京都内の幼稚園での餅つき大会でノロウイルスによる食中毒が発生しました。参加者は園児と家族、職員など340名。そのうち136名が餅つき大会の翌日から下痢や嘔吐の症状を訴えました。その後、患者の便からノロウイルスが検出され、共通して食べた餅が原因の食中毒と断定されたのです。
小学校の餅つき大会で…
平成23年、京都市内小学校の餅つき大会でノロウイルスによる食中毒が発生しました。餅を食べた児童や保護者など138名のうち21名の便からノロウイルスが検出されました。
餅つきの食中毒で多いノロウイルスとは?
上記の事例以外にも、餅つき大会でノロウイルスが原因の食中毒が発生する事例は後を絶ちません。ノロウイルスは、感染力が非常に強く、冬に流行することが多い感染性胃腸炎のウイルスの一つです。
人の便や嘔吐物に触れたり、ウイルスがついた食品を食べたりすることで感染します。感染すると嘔吐や下痢、腹痛、発熱などの症状が現れるのが特徴です。
- 感染症とは何か?普段から園でできる予防法を知りたい方は下記をご覧ください。
>>『感染症とは何?園での予防法』
なぜ餅つき大会で食中毒が発生するのか?
なぜ餅つき大会でノロウイルスによる食中毒が発生するのでしょう?
幼稚園の発生事例では、園児や保護者の方が餅をつき、ついた餅を別室に移動させた後、調味し提供していました。全て手作業で行っており、かかわっている人も多数…手洗いの徹底もされていなかったようです。
食中毒が起こる原因
- 作業人数が多い
保育園や幼稚園では、保育者や園児、保護者など…多くの方が餅つきにかかわるので衛生管理が不十分になる恐れがあります。
- 手で触れる機会が多い
餅つきでは、餅の手返しや、切り分けなど手を使った作業が多くあり、素手で行えば食材に病原体が付着する可能性が高まります。
- 杵や臼などの道具管理が徹底されていない
餅つきの道具は頻繁に使わないので、保管管理や準備の仕方が徹底されていないと病原体が繁殖しやすくなります。
- 餅をついてから食べるまでの時間が長い
ノロウイルスは85℃で1分以上加熱することで死滅しますが、餅をついている際に温度が下がり、その後の調味段階で病原体が繁殖しやすいと言われています。
餅つき大会での食中毒を予防するには?
餅つきではさまざまな要因が重なり合ってノロウイルスによる食中毒発生の危険性が高まります。冬に感染が増えるノロウイルス。餅つきはお正月に行われることが多いのでより気をつけなければいけません。
餅つき大会で食中毒を起こさないためには、いくつかの注意が必要です。
餅つきにかかわる人が注意すべき点
餅つきにかかわる人は限定し、把握しておきます。風邪を引いていたりお腹はゆるくなったりしていないか健康状態の確認も必要です。また、手洗いうがいを徹底し、事前に手洗い方法などの確認を行うと良いでしょう。清潔なエプロンやマスク、手袋を着用することも大切ですね。
手の消毒を行う際、ノロウイルスはアルコール消毒では死滅しないため、家庭用塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムを使うのがオススメです。
- 子どもたちでも楽しくできる「正しい手洗いの方法」は、下記の記事に載っています。
>>『インフルエンザの症状と対策』
道具の管理方法で注意すべき点
臼(うす)や杵(きね)は素材や種類により保存方法や扱い方が異なります。木の臼は前日によく洗った後、水を入れ浸し、ひび割れを防ぎます。餅つき後は、洗剤は使わずお湯とたわしで十分に洗い、直射日光と風を避けて乾かした後、新聞紙などに包んで保管しましょう。
作業中に注意すべき点
作業中は、手返しに使う水とその容器をこまめに交換します。手返しを行う人、餅をちぎる人は固定すると良いでしょう。
子どもと行う時に注意すべき点
楽しい餅つきは、子どもたちにも経験させてあげたいですよね。大人数の場合は、衛生管理が難しくなります。子どもがついたものは、飾り用に使うなど、餅を分けておくと安心です。
予防チェックリスト
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□ 携わる人と参加者の体調を把握する
□ 手洗いうがいを徹底する
□ エプロン・マスク・手袋を正しく着用する
□ 臼や杵など道具の管理方法を確認する
□ 使う道具は全て洗っておく
□ 手返し水と容器の交換を徹底する
□ 手返し、調味の人を決める
□ 子ども用の餅を準備する
参加する保護者や地域の方にも意識していただけるよう手紙などで注意点を伝え、衛生管理を徹底し、最後まで楽しく過ごしたいですね。
今回は食中毒について触れましたが、餅つきの際はそれ以外の安全対策も必要です。子どもたちは、楽しくなると興奮していつもより食べすぎたり、はしゃいで喉に詰まらせたりする恐れもあります。餅つき中だけでなく、食べている時も注意を払い安全に配慮しましょう。
みんなでおいしい餅がつけますように。
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