絶対に避けたい保育中のプール事故~水の事故の原因と対策~


夏の保育と言えばプールが代表的ですね。
楽しいプール!しかし、危険も隣合わせです。
毎年この時期になると、プール中の水の事故が急増します。
水の事故で恐ろしいのは、死亡率が高いということです。
正しい知識、情報を知り安全に楽しく過ごしましょう。
今回は、プール遊びの注意点などを紹介します。
どうして起こる?プールでの事故
プール中は、保育士や監視員など多くの大人の目があるにも関わらず、なぜ事故が起きるのでしょうか?
まず子どもにとってプールは非日常であり、とても楽しい場であるということです。
そのため普段よりも興奮し、はしゃいでしまい事故が起こりやすくなってしまいます。
また予測できないことが多く、目が離れた瞬間に事故に遭うことが多いようです。
何回も入り慣れた場所でも、毎回プールに入る前には子どもたちと”約束”をし、一度落ち着けるような声掛け、手遊びなどを行いましょう。
- 約束
- ・走らない
・飛び込まない
・押さない
・嫌がっている子に水をかけない
・上に乗らない
遊んでいるうちに、楽しくなって忘れてしまうこともあるので注意して見守りましょうね。
約束ばかりを言い過ぎても楽しくなくなってしまうので、約束は始める前のみにし、あとは、危険な行為をしたときに個々に伝えるようにするといいですね。
プールの事故の主な原因
プールの事故の原因は様々ですが、大きく分けて4つあります。
溺水事故
溺水とは気道内に液体が入り、気道が閉塞することにより窒息してしまうことをいいます。
よくいう「溺れた」ということです。
水遊び中や入浴中に起こることがよくあります。
溺水事故は死亡事故につながることが多いのも特徴です。
「溺れる」と聞くとどのような様子を思い浮かべますか?
手足をバタバタさせて、助けを求める動きを想像する方が多いのではないでしょうか?
しかし溺れているときは、声も出せず手足もうまく動かせない時もあるのです。
そのため、すぐそばにいても気が付かないことがあります。
≪二次溺水≫
二次溺水とは、溺れかけた時に肺に水が入ってしまい、後々に胸の痛み、せき、発熱、極度の疲労感などの症状が出ることをいいます。
治療を受けずに放っておくと、呼吸困難を起こし命にも関わることもあります。
飛び込み事故
入水時にプールの底や壁に、頭などを強く打ちつけてしまい起こる事故のことをいいます。
まだ技術が未熟にも関わらず、指導員がいないところで飛び込んでしまったことが原因で起こることがあります。
今年の6月にも中学校での飛び込み事故がありました。
近年は溺水事故の対策として、水位を低くしていることがあり、それが原因で飛び込み事故に繋がるケースがあるのです。
転倒事故
滑りやすいプールサイドで、走ったりふざけたりすることで転倒し起こる事故のことをいいます。歩いていても転びそうになることはあります。
排水溝の吸い込み事故
プール内の排水溝に全身、身体の一部が吸い込まれることで起きる事故のことをいいます。
1960年代~2000年代に多く起こり、現在は管理が徹底されてきていますが、必ずしも安心とは言い切れないと思います。
園全体でのプール遊びの安全を確保しよう
プールが始まる前に、園全体でプールの安全確認をし、配慮点や過去のヒヤリハット事例などを報告し合うことも今後の事故防止に繋がりますね。
全体で確認したいポイントを紹介します。
- プール・プールサイドの安全点検
- □ 尖った危険物や箇所はないか
□ 破損部分などはないか
□ プールサイドは滑りにくい床の素材になっているか/ゴムマットなどを敷いているか
□ 虫や浮遊物は浮いていないか/水質はきれいか
□ プールサイドは十分な広さを確保しているか
- 救急体制
- □ 気分が悪くなった園児の救護場所や部屋はあるか
□ すぐに身体から水分を拭き取れるようタオルは準備しているか
□ すぐに水分補給ができるよう飲み物は準備しているか
□ 救命具やAED(自動体外式除細動器)などの準備はできているか
- 排水溝
- □ 排水溝に吸い込み防止金具の設置をしているか
□ 排水溝の上にふた(金網のようなもの)は設置しているか
□ 排水溝の吸い込み防止金具、ふたはきちんと固定されているか(ボトルやねじは緩んでいないか)
□ 排水溝の場所を把握いているか
≪画像引用≫文部科学省、国土交通省「プールの安全標準指針」
保育園、幼稚園での集団プールでの注意点
園では、プール事故と共に感染症も気になりますよね。
個々の様子を細かく見て、異変を感じたらプールへの入水は可能か考えましょう。
夏の感染症の記事はこちら→夏の感染症
泳ぐ前の注意点
・保護者と健康状態の確認をする
・食後から時間をあける
・排泄を済ませる
・耳や爪を清潔にする
。水着の紐は短く結ぶ
・水泳帽を着用する
・準備運動をする
・点呼をとる
泳ぐときの注意点
・炎天下で長時間入らない
・ふざけたり走ったりしていないか確認する
・水が怖くて泣いている子は落ち着かせる
・複数の大人で見守る
休憩の必要性
・定期的に休憩をする
・全身の水を拭き取る
・日陰で休む
・冷たすぎる飲み物は避ける
・タオルなどを巻き身体を温める
・体調を確認する
集団での注意点
・医師の判断で止められている子は入水しないようにする
・大人のそれぞれの役割を決めておく
(見守るひと、共に遊び関わる人、緊急時に対応する人)
園外保育や夏休みの水の事故にも注意しよう
プールだけでなく、川や海でも水の事故は起こります。
平成26年中に発生した水難発症件数は1491人、そのうち約半分の740人が亡くなったり、行方不明になったりしています。
自然では、急に水位が増えたり天候が変化したりするので危険も多くあります。
川や海での注意点
・危険な場所を確認し近づかない
・健康状態が優れない時は入水しない
・悪天候の恐れがあるときは近づかない
・必要に応じてライフジャケットを活用する
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楽しいはずのプール遊び。ちょっとした油断から死亡事故にまで繋がってしまうのです。
水遊びの際は、大人が注意して子どもを見守るのはもちろん、子どもたちにも怖がらない程度に危険性や約束を伝えていきましょう。
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