作品展のテーマにピッタリ!年齢別オススメ絵本&制作アイデア

幼稚園や保育園では4月から子どもたちとたくさんの制作や遊びを行ってきたと思います。制作ではさまざまな技法を体験し、遊びでは友だちとの関わり方など多くの経験をしました。
その成長を発表できる場でもある作品展!毎年何をテーマにし、どのような飾りつけにしようか迷ってしまいますよね。今回は、作品展のテーマ決めの案を絵本からご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
絵本の世界へようこそ!作品展のテーマ向け絵本
毎年保育に携わっていると、担当しているクラス内で大人気になる絵本が何冊かあることでしょう。絵本を何度も繰り返し見るのが大好きな子どもたち。その毎日の繰り返しの中で、実はさまざまな発見をしています。そこで人気の絵本をテーマに、子どもたちの発見を作品作りに盛り込んでみるのはいかがでしょうか。今回は年齢別に作品展にオススメの絵本を考えてみました。
年少にオススメ!作品展にピッタリの絵本
登場人物が少なく内容が単純で、イメージしやすい内容がオススメです。
『ばけばけばけばけ ばけたくん』
おばけの ばけたくん が人間に見つからないようにコッソリ納豆やスパゲッティ―などを食べると…食べた物に化けてしまいます!夢中になって食べていると、誰かがやってくる音が!そこで、見つからないようにある食べ物を食べました。
●オススメポイント●
ばけたくんがさまざまな食べ物に化けるのがおもしろく、たくさんの食べ物が出てくるので”食”にも興味が持てます。絵本に登場してくるのが”おばけ”と”食べ物”と単純でわかりやすく、子どもたちにとっても身近なのでイメージがつきやすいですね。
共同制作でおばけを作り、個人制作で好きな食べ物を作ることもできます。
『三びきのやぎのがらがらどん』
三びきのやぎの名前はどれも”がらがらどん”。三びきが山に草を食べに行く途中、谷川の橋があります。小さなやぎから順に渡ることにしましたが、そこには恐ろしいトロルがいます。トロルに食べられないよう、小さなやぎは機転を利かせ、最後は大きなやぎが勇敢に戦い、無事山へとたどり着くことができるのです。
●オススメポイント●
トロルが怖くて泣く子もいますが、繰り返し読んでいくうちにトロルを退治しようとやぎと一緒に戦おうとしたり、応援したりするように…みんなで大きなトロル1匹と自分だけのヤギをそれぞれ作ったら、クラス人数分の『○○組のがらがらどん』が完成します!みんな一緒に立ち向かうので怖いものなしですね!
「トロルをやっつけたんだ!」と得意げに保護者に話す姿が思い浮かびます。
年中にオススメ!作品展にピッタリの絵本
登場人物や内容が少し複雑になっても、印象に残るシーンや結末がはっきりした内容であればイメージもつきやすいのでオススメです!
『からすのパンやさん』
からすのパン屋さんのお家に4羽の赤ちゃんが生まれました。両親はパン屋の仕事をしていても、赤ちゃんが泣くとお世話をしに行くのでパンは丸焦げ。そのためパンは売れなく貧乏になってしまいました。赤ちゃんがが大きくなると子どもたちの意見を取り入れて変わった形の楽しいパンを作るように…おかげでお店は大忙しになりました。
●オススメポイント●
年中さんになると相手の気持ちを考えて行動することも多くなるので、みんなが楽しくなるようなパンを作ってもいいですね。自分の好きな物でなく、みんなが喜んでくれるにはどうしたら良いか考えながら作ります。完成しみんなが喜んでいるのを見られたら子どもたちも嬉しくなるでしょう。
何人かでグループを作って、パン屋さんを作っても楽しいですね。
『くろくんとふしぎなともだち』
大人気!くれよんのくろくんシリーズです。くれよんたちが線路を書いてあげて、その上をバスや船、新幹線などの乗り物が走ります。意外な結末で終わるので子どもたちの印象にも残ります。
●オススメポイント●
みんなで大きな線路と乗り物を作って…まるで自分たちが くれよん になったかのような気分を味わえます!もっと楽しくするために、好きな色のくれよんで花やお店を描いて、大きな町を作るのもいいですね。
年長にオススメ!作品展にピッタリの絵本
年長さんは、絵本と重ね合わせた体験ができるものがオススメ!絵本を読んで気付いた大切な点や、楽しいと感じた気持ちを、作品作りを通じてあらためて味わうことができれば、より良い経験につながることでしょう。
『スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし』
小さな赤い魚の兄弟の中で唯一真っ黒で生まれてきたスイミー。ある日大きな魚がやってきて兄弟たちみんなを食べてしまいます。一人生き残ったスイミーは兄弟たちに似た小さな赤い魚に出会います。「遊ぼう」と声をかけますが、赤い魚たちは大きな魚を怖がって岩陰から出てきません。そこでスイミーは考えて…小さな魚たちみんなでくっついて大きな魚となり、大きな魚を追い払うことができました。
●オススメポイント●
「みんなで協力すると一人ではできないことも成し遂げられる」と子どもながらにわかる内容です。一人ひとりが赤い魚を作り、それをつなげ合わせたら大きな魚に!実際に作ってみるとより理解が深まります。
また、「虹色のぜりーのような」「ドロップみたいな岩から」など、イメージがより広がる表現がたくさん出てくるので、それらを形にしていくのも面白さの一つです。部屋中をスイミーの世界にできますね。
●オススメポイント●
絵本自体は乳児さん向けですが、「ころころころ」と丸いものが転がる姿を見て、自分たちで”丸いもの”はどのようなものがあるか考え、それが転がるような仕掛けを保育室いっぱいに作ります。丸が転がるにはどのようにしたら良いかみんなで考え、話し合うことも楽しく、完成した時の達成感も大きなものになります。
絵本から考える作品展に向けた制作物
絵本にはさまざまな世界観があり、見ているだけでも楽しめます。それを作品にしていくと、まるで絵本の世界が飛び出してきたかのように感じます。絵本のイメージは一人ひとり異なりますので、個人製作にもピッタリですが、皆でアイデアを持ちよって、1つの大きな作品を作る共同制作に発展させるのもオススメです。
みんなで作ろう!共同制作
何人かのグループで力を合わせて作るのが共同制作です。「一人では作れないような作品もみんなでなら作れるんだ!」「みんなで作ると楽しいな」と思えるような活動にしていきたいですね。共同制作にオススメな制作物をいくつかご紹介します。
- 巨大立体物
登場人物や絵本の中心となるものを作ります。それがあるだけで絵本の雰囲気が一気に演出できますよ。
- ●作り方の案・ポイント●
・ダンボールを組み立てて色を塗る
・新聞紙を丸めて、ダンボールなどにたくさんつけ”張りぼて”を作る
・模造紙などの大きい紙に絵を描いたり手形をつけたりして作品を完成させる
- 顔はめ
登場人物の顔の部分に穴をあければ、写真スポットにもなり子どもたちも役になりきれます。
- ●作り方の案・ポイント●
・ダンボールに絵を描き、顔の部分は開けておく
・絵は絵の具や花紙で描くと迫力が出る
- 保育室全体を使って
一人ひとり担当を決め、保育室全体を使って飾りつけをします。担当箇所がはっきりわかるので、責任感も育つでしょう。
- ●作り方の案・ポイント●
・保育室全体を使って絵本の好きな場面を一つ表す
・保育室のスペースごとに場面を分け、いくつかの場面を作る
思い思いに作ろう!個人制作
自分のイメージを思うままに個人で表現するのが個人制作です。表現が得意な子は次々と作品を作っていきますが、苦手な子にとってはなかなか難しいもの。普段の遊びからさりげなく取り入れておくと、いざ作品を作る時も苦手意識が少なく取り組めます。下記は自由遊びでも取り入れやすい個人制作です。
- 絵
普段の保育から取り入れることが多い絵。印象に残った場面や、あえてみんなで同じ場面を思い出しながら描くのもいいですね。それぞれの表現方法に個性が表れます。
- ●作り方の案・ポイント●
・クレヨンやクレパスで描く
・絵の具を使って思い切り描く
・綿棒を使って細かい部分まで表現する
- 登場人物の粘土・紙粘土
絵は平面でしたが、粘土は立体で表現ができます。
- ●作り方の案・ポイント●
・手だけでなく、粘土へらなどを使って作る
・紙粘土は色がつけられる
- 廃材を使って
お菓子の空き箱や、ヨーグルトのカップなどを再利用して制作を行います。最初は思うようにいかない子が多いですが、普段の遊びから取り入れていくと自分のイメージを形にすることができます。
- ●作り方の案・ポイント●
・それぞれの素材に合った道具を使う(のり、紙テープ、ホチキス、など)
・発達に合わせ、さまざな素材を用意する(扱える道具から考える)
共同制作と個人制作を一緒に飾ろう
共同制作も個人制作も絵本のテーマで統一した場合は、一緒に飾るのがオススメ。個人制作はきれいに並べても良いですが、共同制作の中に溶け込ませると、より世界観がでます。
こんな作品も飾っちゃおう~普段の保育を活かした飾り~
作品展に向けて活動を行っていると、自由遊びの中でも作品展にちなんだ制作をする子もいます。せっかく作った作品、そのままにしてはもったいないですよね。作っていない子もいると思うので、名札はつけずに作品展でそのまま飾ってあげても良いでしょう。
- ●普段の保育から活かせるもの●
・ブロック
・粘土
・おえかき
・糸通し
作品展は、普段の子どもたちの成長を披露する場でもありますが、子どもたちが作品づくりそのものを通じて、完成した時の感動や達成感を味わい、更に成長できる場でもあります。
保育者は保護者への発表の機会ということで、飾りつけについ熱が入りがちですが、そういった子どもたちの成長にも目を向け、適切な援助によって自主的な活動を促してあげられたら良いですね。
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