0歳から100歳まで、成長に合わせて違った楽しみ方ができる図鑑を制作している方がいます。6年間保育士として勤めた後、詩人に転身した詩太(うーた)さんが作る『いきもの図鑑』です。
一般的な図鑑のようなイラストと説明だけではなく、読み手を楽しませるための遊び心が詰まった図鑑となっています。
一人だけでじっくり読むこともでき、子どもと一緒に見ながら楽しむこともできます。保育者も楽しめるため、自然と子どもたちにも楽しさが伝わります。読み聞かせでの活躍が期待できます。
本日は『いきもの図鑑』制作者の詩人の詩太(うーた)さんに、図鑑や子どもへの想いをうかがいます。
▲ 詩人・アーティスト 詩太(うーた)さん
保育士を目指したきっかけは姪っ子だった!
―――保育士を目指そうと思ったきっかけをお教えください。
きっかけは高校生の時に姉の子どもが生まれたことです。なんとなく「子どもっていいな」と思い、保育系の専門学校に進学することを決めました。
ずっと保育士になりたいという強い思いがあったわけではなく、保育士の魅力は就職してから知ることになりました。
―――その魅力とは何でしょうか?
365日、毎日が変化に溢れていて同じ1日がなく、感情豊かに仕事ができることや、子どもの魅力、大人にはない子どもの力に気付けることです。子どもの将来を担う大切な時期に関われることも魅力の一つでしたね。
その魅力は、働いていく中でやりがいになっていきました。
保育士を退職し詩人の道へ
――――保育士を辞めて詩人に転身したきっかけをお教えください。
保育士になる前から詩人を本業にしたいという夢があり、”いつか”それを叶えるために副業として活動していました。
2012年、一人のお客様から、「本気でこれ一本で食べていきたいなら”いつか”ではなく”いつまでに”か決めないと」と厳しいお言葉をいただいたことがきっかけです。その時に30歳までに独立することを決意しました。
期限を決めたことで、活動により熱意を持てるようになり作品依頼も増えてきたため、2014年27歳の時に詩人を本職にする覚悟を固め保育士を退職しました。
―――退職する時、保育士としての未練はありませんでしたか?
もちろんありました。3年目くらいから保育の楽しさを感じ始め、やりがいをもちながら保育士を続けることができ、6年目の最後の年は2歳児クラスの担任として自分のしたい保育を思い切り楽しめました。
これからもっと自分にしかできない保育ができるのだろうなと想像すると、保育士を続けていこうかと悩みましたが、保育の外から自分にしかできない方法で子育てに貢献していこうと決め、詩人としての独立の道を選びました。
―――両方それぞれに魅力があるのですね。保育士と詩人で共通点はあるのでしょうか?
相手の気持ちを想像して詩や言葉を書く詩人、子どもの気持ちを想像して言葉をかけたり関わったりする保育士、どちらも共感的理解をする力が必要で、完全な理解はできないとしても理解しようとする心がけは詩人としても保育士としても大切にしています。
元保育士が作る”いきもの図鑑”は保育園や幼稚園でも大活躍!
―――『いきもの図鑑』はどのような図鑑なのでしょうか?
一言でいうと、「詩」と「イラスト」と「知識」と「遊び心」をギュッと詰め込んだ図鑑です。
基本的なページの構成は、
- ①生き物のイラスト
②詩や言葉
③生き物の特徴や生態・豆知識
さまざまなシチュエーションを想定して制作する予定です。具体的には、
・まだ字を読めない小さな子どもでも見るだけで楽しい絵と色使い
・子どもの“知りたい”欲求に応える生き物の生態や豆知識
・親子間や保育園での子どもへの読み聞かせ
・一人でじっくり読みたい方が読み込める部分
・落ち込んだ時、辛い時にそっと心に寄り添う詩や言葉
・生き物とリンクした遊び心のある詩
・本の中のいろいろな隠し要素を探す楽しみ
といったものを考えています。
――――シチュエーションをお聞きしただけでもワクワクしますね!なぜ”図鑑”を作ろうと思ったのでしょうか?
言葉だけの詩ではなく、挿絵を入れた詩を一日に一作品書く『一日一創』という活動をする中で、次第に生き物をテーマにした作品が生まれ「生き物を擬人化して書く詩」のおもしろさに気付きました。
次回の作品の参考のために息子の図鑑を見た時、「そういえば、息子は図鑑を見る時いつも目をキラキラさせているなー」と思ったんです。図鑑って大人が見てもワクワクしますよね!
その時に「詩集と図鑑を合体させた本なら、子どもから大人まで楽しめる!」と『いきもの図鑑』を思いつきました。
この図鑑は、保育士、詩人、父親を経験した自分にしか作れないと思っています。『いきもの図鑑』は詩集のような図鑑であり、図鑑のような詩集なのです。
自分の手を離れた後に、子どもと大人が笑い合う姿がはっきりと思い浮びます。
――― 子どもも大人も一緒に楽しめるのはステキですね!保育園や幼稚園で読み聞かせをする時のポイントはありますでしょうか?
それぞれの年齢でお伝えします。
0歳児 | 1対1でページをめくり一緒に絵を見る。指さしに優しく応える |
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1歳児 | 1対1または集団へ読み聞かせをする時に、生き物を指さしながら「これはなーんだ?」と問いかけて遊ぶ |
2歳児 | 詩の読み聞かせ、生き物の特徴をかみ砕いて伝える |
3歳児 | 詩の読み聞かせ、生き物に対する質問を尋ね詳しく伝える |
4歳児 | 詩の読み聞かせ、詩の背景にあるストーリーもかみ砕いて伝える。コーナー遊びの際、自分で選び遊べるようにする。絵の具遊びの導入として使う |
5歳児 | 詩の読み聞かせ、作品に込めた思いや作品が生まれた背景も読み聞かせる。絵本コーナーの棚に置いておき、見たい時に見て遊べるようにしておく。(全ての字に振り仮名が振ってあるので、中には一人で読める子もいると思います。)絵の具遊びの導入として使う |
――― 一つの図鑑でもさまざまな楽しみ方があることがわかります。保育士としての経験が活かされていますね。
間違いなく保育士の経験が生きています。保育士としての経験がなければ、いきもの図鑑を作ろうという発想すら思い浮かばなかったかもしれません。
例えば、保育日誌に毎日園での子どもの様子やエピソード記述を書いて伝えてきたことで文章力が鍛えられました。
また、何より子どもから教わったことがたくさんあります。言葉の大切さや選び方、子どもの感性、親から子への愛情の大切さ…など数え切れません。
具体的に保育園での子どもとのエピソードを書いた記事もありますのでご覧いただければ嬉しいです。
いきもの図鑑を応援してみんなで図鑑を完成させよう!
―――クラウドファンディングについてお教えください。
クラウドファンディングは単なる「資金集めの手段」ではありません。作る過程を見せ、共感してくれる仲間を集め、パトロン(支援者)の皆さまとともにプロジェクトを育てていくものだと思っています。
一人では作れないものを、一人で作るよりずっと面白いものを、皆さまと一緒に作りたいです。この輪がどんどん広がっていくことを願っています。
―――クラウドファンディングに懸ける想いをお聞かせください。
この図鑑は、自分にとって初めてつくる大切な一冊です。”詩”は、受け取ってくれる相手がいて初めて輝くものだと思っています。
受け取ってくれる”誰か”を想像して、一生懸命、約50の詩を書きます。絵を見て微笑んでくれる子どもたちを想像して一生懸命、絵を描きます。
この本をたくさんの人に届けたい。
この本がたくさんの親子の間にあってほしい。
この本があなたのカバンの中でいつも心の支えになってほしい。
その願いを実現させるべく、クラウドファンディングに挑戦しています。
ご支援くださった皆さまには、裏表紙に直筆でサインと一言メッセージを書いた完成本と一緒に金額に合わせた素敵なお返しを用意いたします。
―――最後に読者の方に一言お願いいたします。
私が現在作っている『いきもの図鑑』は、ただのいきもの図鑑ではありません。
赤ちゃんから成長する心に合わせてさまざまな楽しみ方ができる一冊。大人になって辛いことがあった時、心の支えになるかもしれない一冊。0歳から100歳までともに生きていける本です。
子どもと両親のためだけに作るわけではありません。現代社会を一生懸命に生きるあなたが、辛い時、苦しい時支えになるように願いを込めて約50の詩を綴り、温かなイラストを添えました。
私は、保育士の皆さまが子どもたちと一緒に笑顔でいきいきと過ごすことが、最高の保育の第一条件だと思っています。
保育士の仕事の大変さはよく知っています。その仕事を選択しただけでもすごいことです。ご自身に誇りを持ってほしい。
そんな素晴らしい保育士の皆さまが心削られ、病んだり、笑顔をなくしたりしてしまうのを見るととても辛いです。
ほんのちょっとだけでいい。この本を読んでくれたあなたが優しい気持ちになれたり、明日も頑張ろうと思えたり、子どもたちと笑い合う時間が作れたりできたなら私は幸せです。一生懸命、今までにない『いきもの図鑑』を作ります。クリスマスの時期にあなたにお届け出来ることを楽しみにしています。
詩太さんは、『いきもの図鑑』の作成以外にも各地でさまざまな活動をされています。10月には東京都有楽町に移転する「北九州市東京事務所」のオープニングセレモニーでライブペイントに出演されるそうです。
保育士、詩人、父親としての経験、そして全国の人との触れ合いで培った経験、さまざまな視点から『いきもの図鑑』を制作しています。
『いきもの図鑑』は、表紙から最後の1ページまで、楽しめる要素がたくさんあります。園で子どもたちと見るのもよし、家で一人でじっくり読むのもよし、興味がある方はクラウドファンディングに参加してみてはいかがでしょうか?
『いきもの図鑑』が完成するのが楽しみですね!
≫公式blog『詩太のポケット詩集~「うーた」×「ヒト・モノ・コト」で生まれる詩と物語~』
『詩太Instagram ID』poet.uta
今回取材させていただいた方 | 詩太(うーた)さん 詩人・アーティスト『あとりえ~温~』代表。1987年生まれ。 専門学校時代のアルバイト先で筆ペンを使って文字を書いたことをきっかけに、詩や言葉を書き始め、詩人になる夢を抱く。卒業後、保育士として6年間勤務する傍ら、詩太(うーた)というペンネームで詩人としての活動を続け、2014年に保育園を退職、詩人として独立起業し【あとりえ温】をオープン。 現在、『詩とArtで一人でも多くの人の心と人生(日々)を豊かにする』『子どもを取り巻く環境の一因として子育てに貢献する』を目標に、表現・活動している。主な活動は、名前と言葉で綴るオーダーメイドギフト制作、詩・書作品制作、ライブペイント出演、題字制作、講演など。また、元保育士の経験を活かし、子どもの将来を支える幼少期の[意欲・好奇心]に火をつけるため【書×こども】という活動を行っている。 |
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