ログイン登録

明日の保育がもっと楽しくなるサイト

メニュー
  • ホーム
  • >
  • コミュニケーション
  • >
  • ニュージーランド流保…

    ニュージーランド流保育に学ぶ!アクティブ・ラーニングで「生きる力」をはぐくむ ③日本でよく見られるNG例から考える

ニュージーランド流保育に学ぶ!アクティブ・ラーニングで「生きる力」をはぐくむ ③日本でよく見られるNG例から考える

  • コミュニケーション

  • ERIKO

本連載第二回目「子どもの主体性を育てる環境とは?」では、ニュージーランドの保育園で実現されている「主体的な学び」と、それに保育士がどう関わっているのかについて紹介しました。
第三回目の今日は、ニュージーランドではNGとされる、日本の幼児教育及び初等教育の現場で見られがちな事例を通して、それぞれの事例が子どもの「主体的な学び」を阻む危険性について考察したいと思います。
(*尚、前回同様に今回の記事でも、信州大学の科目履修生として北欧の教育・AL・幼児の発達などについて学んださやかさんが、ニュージーランドの保育園でボランティアをした際の気づきを紹介しています。)

「何を学んだか」を決めるのは子ども自身である!

日本の小学校では、担任は「学習指導計画書」を作成する際「〇〇の知識(または、力)を身につけるため」という具合に「目的」を明確にする必要があるそうですが、保育士さんも「○○の発達を助長する」など、一つ一つに対して「目的」を考えながらプログラムを作っているのではないでしょうか?
もちろん、「目的」を考えることは必要ですが、留意すべき点は、その「目的」に固執しないことです。
子どもが「主体的な学び」を行った結果「何を学んだか」を決めるのは、あくまでも子ども自身です。
仮に子どもが大人が意図した「目的」通りのことを学ばなかったとしても、それを理由に「学びがなかった」ということはできないのです。

筆者の次女が、日本一時帰国の際に大阪の小学校の1年生のクラスに体験入学をしたとき、算数の練習問題で出された設問を例に挙げて考えてみたいと思います。

【算数の練習問題の設問】
2+4がいくつになるか、下の〇を塗りつぶしてみましょう。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

次女は一生懸命に考えて「●〇●〇●●〇●〇●」のように、左右対称で見た目が美しい配列になるように塗りつぶしました。
しかし、担任の先生からは「日本では左端から順に塗りつぶします。」とコメントされました。
2週間の体験入学期間中ということで大目に見て〇をもらえはしたものの、本来であれば△。
正解は「●●●●●●〇〇〇〇」ではないといけないというのです。
おそらく先生の中にあったこの課題の「目的」は、「数を数えながら順番に〇を塗りつぶすことにより、足し算の概念を理解する」というようなものだったのでしょう。
大人(教師)の基準が確固たるものとして存在した結果、次女の「美しい配列を作ろう!」という意志と努力は完全に否定されてしまいました。
次女の場合は先に指を使って「2+4」の答えを出し、それから設問に沿う形で答えを記すために、配列を考えながら塗りつぶすという作業をしました。
答えそのものは合っていましたが、そのプロセスが先生の意図したものとは違っていたわけです。
しかし、仮に彼女が正しい答えを出すことができず、この課題から「足し算の概念」を学ばなかったとしても、例えば「美しい配列とは何か」について学んだのだすれば、それはそれで素晴らしいと思うのです。

「目標」は自分で決めてこそ意味がある!

勉強にしてもスポーツにしても、目標を設定することでよい成果が出やすくなることは周知の事実ですが、ここで注意したいのは、「誰」がその「目標」を設定するのかということです。
下の例で考えてみましょう。

「なわ跳び20回できるようになりましょう!」「英語で食べ物の名前を10言えるようになりましょう!」など、全体の目標を設定し、みんなで一つの目標に向かって頑張ることを推奨する。

このような、大人が子ども個々人の意思を考慮に入れることなく決めた「目標」には、「子どもの主体性を育てる」という観点からは、意味がないばかりか悪影響ですらあるといえるでしょう。
なわ跳びの例でいうならば、「なわ跳び20回」という目標を設定することで、20回以上できる能力のある子どもは、「20回できれば、それでいい」と解釈し、それ以上にできるように努力することをやめてしまうかもしれません。
逆に、その目標に到達できない子どもは、他者と比べて「できない自分」を認識することになり、自己否定感を身につけてしまうことにもつながります。
小さな子どもであっても、自分が目指すべきゴールを決めるのは子ども自身であり、決して他人から押し付けられるべきものではないのです。

子どもの想像力は無限大!

下は、子どもが工作品をうまく仕上げられるように、保育士が良かれと思ってしたアドバイスのNG例です。

子どもが粘土で「ウサギ」を作っていた。耳の短い「ウサギ」だったため、保育士には猫に見えたので「ウサギさんだったら、耳をもっと長くした方がいいんじゃないかな?」とアドバイスした。

耳の短いウサギがいたってよいではないですか。
そもそも耳の短いウサギを否定するのであれば、サンタクロースだって妖精だって、ライオンとキリンが仲良く一緒に遊んでいるなんていう絵本でよく見られる世界のすべてを、実際には存在しないものとして否定しなければならなくなってしまいます。
大人の固定観念を幼児教育の場に持ち込むことは、こどもの想像力や創造性の芽を摘み取ってしまう危険性をもはらんでいるのです。

子どもの想像力を奪った例と、引き出した例

最後にこの項では、さやかさんがニュージーランドの保育園で折り紙セッションを行った際の体験を紹介したいと思います。

子どもの想像力を奪ってしまった例

折り紙セッションでは、簡単に作れる「犬」と「猫」の顔を紹介することにした。事前に、教えやすくするためにサンプルを作り、各々には「犬」「猫」だとわかるように顔を描いて持っていった。
子どもたちは喜んで作り、サンプルに描かれていた顔もそのまま真似て描き写した。

さやかさんの試みは、「主体的な学び」という視点からはNGだったようで、担当保育士から以下のフィードバックを受けました。

【保育士からのフィードバック】
「『猫』『犬』などとラベルしてしまったら、その途端、子どもにはそれは犬と猫にしか見えなくなる。だから今度からはサンプルには顔を事前に描き入れないで、子どもの想像力に任せてみて。」

保育士からのフィードバックに納得したさやかさん。翌日、別の方法を試みるものの…。

翌日、子どもたちには白い紙を正方形に切っただけのものを準備し、サンプルも同じ白い紙で形だけを作ったものを持っていった。しかし、前日に「犬」「猫」として紹介してしまったため、子どもたちにはもう他のものには見えなくなってしまっていて、「また犬を作りたい」や「猫の顔を描きたいから昨日のを見せて」と言われた。

この体験により、さやかさんは、自分が手を加えすぎてしまったがために子どもの想像力を奪ってしまったことを痛感するとともに、「一度ラベルしてしまったものを払拭することの難しさ」を知ることとなりました。

子どもの想像力を引き出した例

上で学んだことを活かし、さやかさんは、プレイセンター(保護者が運営する幼児教育施設)ではアプローチの仕方を変えて、子どもたちに折り紙を紹介してみました。

3つの形状の異なる折り紙(原型、短冊切りにしたもの、箱型に折ったもの)を準備し、「箱だよ」とか「これで輪っかを作れる」などは一切言わず、「ここにあるものを使って何でも好きなものを作っていいよ!」とだけ子どもたちに伝えた。
そして、あっと驚く作品を作り上げたKちゃん!

【さやかさんの気づき】
これが何だったかは残念ながら聞くことができなかったけど、子どもの力に感激した瞬間でした!
「○○を作ろう!」などと事前に大人が声かけしていたら、こんな素晴らしい作品を見ることはできなかっただろうと思います。

                                  

ニュージーランドの保育・教育に興味のある方へ 〜お知らせ〜

筆者が代表を務めるBlue & Green NZ Limitedでは、海外の保育・教育に興味がある方を対象に、ニュージーランドの保育園・小学校のボランティア活動を手配しています。
ボランティア参加に興味はあっても、大手エージェント主催の高額な参加費用を見てあきらめてしまう方が多いという事実に憂いを感じ、より多くの方たちに参加いただけるよう、格安の料金で手配させていただいています。大手エージェントのような至れりつくせりのサービスは提供できませんが、「自分でできることは自分でやってみよう!」という意欲のある方たちを応援したいと思っています。
ご興味のある方はこちらのHPをご覧ください。
 
 

スポンサーリンク

合わせて読みたい

新着一覧

ライター記事一覧

関連するキーワード

コメント

コメントをどうぞ

この記事を書いた人

ERIKO
1999年にニュージーランドに移住。 ニュージーランドでの子育て経験を通して、子供の主体性・思考力を育てるバランスのとれたニュージーランドの教育に感銘を受けました。そんなニュージーランド流保育・教育について、日本のみなさまにもご紹介したいとの思いから、 2011年にBlue & Green NZ Limited を立ち上げ、 現地の保育園や小学校でのボランティア活動の手配業務を開始。グローバル化が叫ばれる今、より多くの方に、英語力はもちろん、国際的な価値観や感覚を身につけて視野を広げるお手伝いができればと願って活動しています!→ウェブサイトはこちら
あそび 行事・催し物 コミュニケーション 学びとキャリア その他

オススメサイト

サービス一覧
/
/