子どものためのアンガーマネジメント

こんにちは、クーミンこと眞田 久美(さなだ くみ)です。
保育士、園長を経て、保育サービス企業にてスーパーバイザーや教務関連業務や研修を行っておりました。現在は、フリーランスで保育士向けの研修やカウンセリングなどを行っています。
今回は、保育士が知っていると役立つ教育プログラムとして、子どものアンガーマネジメントについてお話しさせていただきます。
アンガーマネジメントって知ってますか?
皆さんは、アンガーマネジメントやアンガーコントロールという言葉を聞いたことはありますか?
数年前から日本でも、このアンガーマネジメント・アンガーコントロールを大人向け、子供向けにプログラムを推進している団体も設立され、各地でセミナーなどが行われています。
私は、カナダ在住時代に、現地の幼稚園や小学校で、子どもの怒りのコントロールに対するプログラムがあることを知り、興味を持ちました。
北米でも日本と同じように、キレる、いじめというような、子どものコミュニケーションに関する問題があり、その問題解決の一つとして、アンガーマネジメントが用いられていました。
怒りのコントロールプログラム
怒りに対するコントロールは、メソッドごとに多少の違いはありますが、私は、あるご縁で、子ども向けの非認知スキル(心の知能指数(EQ)など)を育てるプログラムを推進している団体の方とお会いしました。
そして、その教育プログラムの実践発表会を拝見させていただきました。
この教育プログラムは、子どもたちが、自分の感情をコントロールしたり、相手の気持ちを想像し、慮ったり、話し合って問題を解決する力を育んだりするための学習プログラムなのですが、そのプロセスは、とても系統的でわかりやすいものでした。
具体的にご紹介はできないのですが、一つだけ、お伝えできることして、怒りを抑えるために、呼吸ということがキーポイントになっていること。
これは、普段の保育の中でも、様々な場面で使えるのではないかと思います。
怒りのコントロールの実践例
例えば、子どもたちは、様々な場面で並んで何かを待つことがあります。
トイレや手洗いの際に、並んで順番を待ったり、教室から教室への移動の際に並んで待ったりすることがあります。
そのような時、前や後ろのお友だちが押した、押されたでもめたり、ケンカになったりすることはありませんか?
そのような時、どちらかの子どもがすぐに怒る場合、その子どもに対して、このプログラムで用いられている呼吸を利用した言葉がけをしてみることで、相手に対し、怒鳴ったり、手を挙げたりせずに解決できるのです。
怒りをコントロールするステップ
それでは、このプログラムを用いた言葉がけの例を挙げてみます。
①ケンカやもめ事が起こった時に、すぐ怒ってしまう子どもと1対1になり、先ずは、現在の怒りを落ち着かせるために(泣いていても)、「先生がお話し聞くから、大きく息を吸ったり、吐いたりしてごらん」と声かけをして呼吸を整える。
②呼吸が落ち着いたら、「●●くん/ちゃん、何で怒っちゃったのかな?」と、客観的に怒りの原因を探らせる。(この時に、誰がということより、何がを引き出す)
③怒りの原因を否定するのではなく、「●●くん/ちゃんは、△△をされる(言われる)と怒っちゃうんだね。」と共感する
④怒りの原因を確認したところで、次の提案をする。
「もし、また怒ってお友だちを叩きたくなっちゃったらね、さっきみたいに、大きく息を吸ったり吐いたりして、ドキドキを止まるようにしてみようか」
「ドキドキがおさまったら、〇〇は、怒っているんだよ」と言ってみようね。
「だから、止めてって言ってみようね」
と言葉がけをして、時間があったら、練習してみましょう。
自分自身の感情を確認するプログラム
このプログラムでは、自分の感情をコントロールする→自分の気持ちを確認するという段階を経て、ゆくゆくは、相手の気持ちを想像し、慮る→話し合って問題を解決する力を育む、が最終ゴールとなっています。
このプログラムの特徴は、ケンカをさせない、嫌がることをさせない、というような互いの言動を全否定して、解決するのではなく、自分の怒りの根本(怒りには様々な感情が隠されているもの)を探り、理解することで、自分自身を知ることです。
子どもの心を育てる保育士になる一つの知識として、このようなプログラムを知っておくことも、スキルアップにつながることでしょう。
クーミンは保育者向けのセミナーやカウンセリングなども行っています。
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