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    ニュージーランド流保育に学ぶ!アクティブ・ラーニングで「生きる力」をはぐくむ ⑤他者との対話から生まれる学び

ニュージーランド流保育に学ぶ!アクティブ・ラーニングで「生きる力」をはぐくむ ⑤他者との対話から生まれる学び

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本連載第四回目の「自己肯定感が学びに与える影響」では、自分に自信を持つことで能力が最大限に引き出されるということについてお話しました。
第五回目の今日は、ニュージーランドの保育園で主体性をに身につけた子どもたちが、他者との対話を通して遊び(学び)を広げていく様子を紹介すると同時に、消極的な子どもへのアプローチについても考察したいと思います。
(*尚、第二・三回目同様に今回の記事でも、信州大学の科目履修生として北欧の教育・AL・幼児の発達などについて学んださやかさんがニュージーランドの保育園でボランティアをした際の気づきをもとに考察していきます。)

他者との対話が学びを生む!

さやかさんがニュージーランドの保育園で目撃した、子どもたちの「対話的な学び」の場面を紹介します。

(1) 話すことで、気づきが促された例

Fちゃんは、木の絵を描いていました。私が「どんな絵なのか教えて?」と質問しそれについて話し始めるFちゃん。そして私に伝えることを通してあることに気づきます。
「私、紙が木からできていることは知ってるの…でも…紙がどうやって木からできているかは知らないなぁ」と。

「自分の知っていること・分かっていること」と「自分がまだ知らないこと・分からないこと」を彼女が自力で区別し認識することができた瞬間だったと思います。

まず、話すということ。
自分のしていること、考えていることを言葉にして表現するプロセスを通して、今まで頭の中でごちゃごちゃに存在していたものが整理されることは、誰しも経験したことがあるのではないでしょうか? 
また、自分の発した言葉を聞くことで、気づきが促されることもよくあることです。

(2) 他者を受け入れることで、新たな楽しさを見出した例

A君が1人でアイス棒を使って遊んでいました。この時点で彼の中にはその棒を使ってキャンプファイヤーを作るという具体的な目標があったようです。

そこに女児Lちゃんが加わりました。Lちゃんはアイス棒の他に木のビーズも持ってきました。
A君は最初自分の計画を崩されるのが少し嫌そうでしたが、Lちゃんと話しながら一緒に遊ぶうちにイマジネーションがどんどんと広がり、キャンプファイヤーだけだった予定が、小川が流れている設定になり、近くにあったミニカーも登場し、車庫が作られたり…と設定がどんどん広がり二人の遊び(学び)は豊かになっていきました。

最初はLちゃんに邪魔されていると感じている様子のA君でしたが、最後はとても満足そうな表情でその遊びを終えました。
その経験により彼は「他者を受け容れる」という要素を楽しむことができたのではないかと感じました。

上は、興味・関心の異なる二人の子どもが、対話を通して自分と違う他者を受け入れることができたことによって、遊び(学び)が広がっていった良い例です。

(3) 他者と協働することで、目的をより充実した形で達成した例

私の保育園でのボランティア最終日のこと。その日が私の最後だと知って、DちゃんとMちゃんが折り紙を切ったもので私にパーティー用のごはんを作ってくれました。食べ物はたくさん作ってくれたのですが、「これじゃ喉が渇くな~、飲み物は?」と私が聞きました。

すると2人は自然と担当を分け、Dちゃんは引き続き食べ物を、Mちゃんは飲み物を作ってくれました。そこにH君が参加し「プレゼントも必要だよ!」と言って同じ材料を使っておもちゃを作ってくれました。

みんな使った材料は同じですが、子ども同士、また私との対話を通して各々が違うものを作ったり、パーティーの準備に広がりが出ていく様子が興味深かったです。

上は、「お別れパーティーを開いてさやかさんを喜ばせる」という共通の目的を持った子どもたちがそれぞれ自分の役割を見つけ、自然と役割を分担することによって、目的を達成していった例です。
パーティーの内容を充実させてさやかさんを喜ばせることができた子どもたちは、大きな達成感を得られたに違いありません。

「消極的な子ども」は、どうすればいい?

これまでは、主に子どもをいかに「積極的」にするかについて焦点を当ててきましたが、もともと消極的な性格で、発言することを好まない子どもや遊びの輪に入れない子どもはいったいどうすればよいのでしょうか?
彼らは、「対話的」な場面で学ぶことはできないのでしょうか?
ここでは、連載第一回目で紹介した「よくあるAL失敗例」を思い出していただきたいと思います。
確かに「②課題の内容に興味のない」生徒と「③必要な知識・能力を持ち合わせいない」ために「消極的な生徒」には特に学びがなかったかもしれません。
しかし、「①もともと消極的」または「④『間違うのが怖い』『反対意見を言われるのが怖い』」がゆえにALの授業に参加しなかった「消極的な生徒」は、本当に何も学ばなかったのでしょうか?
彼らは人前で「話す」という形で表現することが苦手なだけで、グループ内の他の生徒たちの意見を聞くことによって頭の中では積極的な子どもと同じくらい、もしくはそれ以上に深い思考を巡らせ、彼らなりの学びを得ていた可能性は十分にあります。
さやかさんが勉強された北欧の教育では、消極的な子どもに積極的な発言を求めるのは正しいアプローチではないとされ、作文を書かせたり先生と一対一の環境で表現させるような方法がとられているそうです。
ALを実施するに当たっては、「消極的」という特性を一つの個性として認めたうえで、たとえば書記役など、「話す」以外の場面で活躍できる環境を提供してあげることが必要です。

消極的でも「対話的な学び」は成立する!

保育園での例に話を戻し、それぞれの場面に「消極的な子ども」がいたと仮定した場合の子どもの「対話的な学び」が成立する可能性について考えてみましょう。
(*尚、ここでいう「消極的な子ども」とは「対人関係において消極的な子ども」を指すものとします。)

(1) のケース

【Fちゃんが消極的だったと仮定】
自分から、しかも文章にして表現することは苦手な子どもでも、質問に対して単語でなら答えられるという場合は多いですし、時間さえかければ表現できる場合もあります。
保育士がFちゃんからの返答を根気強く待ち、時間をかけてFちゃんから返ってきた単語を頼りに次の質問をするということを繰り返すことで、やはりFちゃんに上のような気づきを促すことができるのではないでしょうか。
仮にFちゃんから何の返答も得られなかった場合でも、保育士からの質問をキッカケにFちゃんの頭の中で思考が巡らされ、何らかの気づきが得られた可能性は十分あります。
どちらの場合にせよ、Fちゃんに「対話的な学び」は成立していることになります。

(2) のケース

【消極的なB君が、2人のやり取りをそばでじっと見ていたという場面を仮定】
A君とLちゃんが対話を通して遊びの世界を広げていく様子を観察することで、B君にも素晴らしいアイデアが浮かび、あとで一人で作品を作り上げたかもしれません。その場合、たとえB君が直接的には誰とも対話していないとしても、B君の中ではA君やLちゃんと確かにつながっていて彼らの影響を受けているという点から「対話的な学び」は成立しているといえます。

(3) のケース

【消極的なGちゃんが、3人の様子を眺めていたという場面を仮定】
3人の遊びを観察することで、Gちゃんはパーティーらしくするためにテーブルのデコレーションを作ることを思いついたかもしれません。そして、「今度のママの誕生日に、今思いついたデコレーションでテーブルを飾ってあげよう!」と決心し、それを実行したかもしれません。
Gちゃんは3人の輪の中には入れず、上のB君同様やっぱり誰とも対話はしなかったのですが、それでもGちゃんに「対話的な学び」があったことには変わりありません。

みんなちがってみんないい!

今日の社会では、ややもすると「積極的である」ことが理想であるかのように語られますが、「対話的な学び」は、必ずしも他者との直接的な対話を必要としません。
そんな中、「消極的な子ども」を受け入れる環境を整えることなく形式だけALを取り入れてしまうと、ALが原因で劣等感を持ち、不登校になってしまう子どもが出てくる可能性も否定できません。
ALを実施するに当たっては、決して消極的な子どもを置いてけぼりにする教育になってしまわないような配慮が必要になります。
「消極的な子ども」に「話す」以外の方法で自らの学びを表現できる場を提供し、そのうえで彼らが少しづつでも「話す」ことに慣れていけるような環境を作ることが、幼児教育を含めた教育全般にかかわる大人たちに与えられた大きな課題となるのではないでしょうか?
ALの「対話的な学び」を通して幼児期に「自分とは違う他者を受け入れる」ことを学んだ経験は、将来のいじめ防止につながるという側面も期待されています。
子どもたちが「みんな違って当たり前」という感覚を当たり前に持つことができるように、私たち大人が働きかけていきたいものです。

ニュージーランドの保育・教育に興味のある方へ 〜お知らせ〜

筆者が代表を務めるBlue & Green NZ Limited では、海外の保育・教育に興味がある方を対象に、ニュージーランドの保育園・小学校のボランティア活動を手配しています。
ボランティア参加に興味はあっても、大手エージェント主催の高額な参加費用を見てあきらめてしまう方が多いという事実に憂いを感じ、より多くの方たちに参加いただけるよう、格安の料金で手配させていただいています。大手エージェントのような至れりつくせりのサービスは提供できませんが、「自分でできることは自分でやってみよう!」という意欲のある方たちを応援したいと思っています。
ご興味のある方はこちらのHPをご覧ください。

【参考】
・雑誌「教育」No.850 2016年11月号 特集「アクティブ・ラーニング!?」

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この記事を書いた人

ERIKO
1999年にニュージーランドに移住。 ニュージーランドでの子育て経験を通して、子供の主体性・思考力を育てるバランスのとれたニュージーランドの教育に感銘を受けました。そんなニュージーランド流保育・教育について、日本のみなさまにもご紹介したいとの思いから、 2011年にBlue & Green NZ Limited を立ち上げ、 現地の保育園や小学校でのボランティア活動の手配業務を開始。グローバル化が叫ばれる今、より多くの方に、英語力はもちろん、国際的な価値観や感覚を身につけて視野を広げるお手伝いができればと願って活動しています!→ウェブサイトはこちら
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