子どもをまとめられない~ある日のご相談から~

こんにちは、クーミンこと眞田 久美(さなだ くみ)です。
保育士、園長を経て、保育サービス企業にてスーパーバイザーや教務関連業務や研修を行っておりました。現在は、フリーランスで保育士向けの研修やカウンセリングなどを行っています。
目次
派遣保育士、非常勤保育士の方からよくあるお悩み
今回は、以前、派遣保育士の方からご相談いただいたことをベースに皆さんと対策を共有したいと思います。
この方のご相談だけでなく、研修やセミナーをさせていただいていると、非常勤や保育補助の方からよく尋ねられることとして、
「子どもたちをまとめられない」
ということを相談されます。
例えば、主活動の前後、給食の前後など、常勤・非常勤に限らず、リーダーの先生が準備をしている間に子どもたちを集めて、絵本を読んだり、手遊びをしたりして待っていることがあります。
そのような時に、子どもたちが言うことを聞いてくれなかったり、集中してくれなかったり、落ち着かなかったりすると、自分には、まとめる力がない、力不足なのだと悩んでしまうのです。
私は、研修の時に、その派遣保育士の方に、「先生の能力のせいではないですよ」、と答えました。
子どもをまとめるということ
そもそも、子どもをまとめる・・・という言葉は、誤解を生みやすいと思います。
(年齢や活動にもよりますが)静かに先生の話していることを聞くこと、言った通りにすることがまとまっているというのでしょうか?
先生がやっている手遊びを一緒にやっていることがまとまっているというのでしょうか?
(人に対しての)まとめるとは・・・リーダーシップをとって、皆を引っ張っていくという大きな意味から考えると、まずは一人一人を知ることからなのです。
皆に同じ動き、同じ行動をさせることではないと思うのです。
それでは、集団生活にならないというご意見もあるかもしれません。
しかし、集団を大切にする前に、個々を大切することが必要なのです。
「なぜ、子どもたちが集まってくるの?」
例えば、自由遊びを例にあげてみましょう。
私が施設長時代、あるパートの職員が、「どうしても、ベビーシッターのように一人シッターでしか、遊べない」と悩んでいた方がいました。
そして、たまたま私が自由遊びの時に、1,2歳児を5名ほど集めて遊んでいたところ、「なぜ、子どもたちが集まってくるのですか?」と尋ねられました。
その時、私は、その先生に次のように話したのでした。
まず、自由遊びの中で、1人ないし2人と順番に遊ぶ
↓
1人、2人であっても、3,4人相手にしているかのように、声かけをしながら遊ぶ。
↓
そこに、同じ遊びを共有したい子どもが1人、2人と加わってきた
↓
その楽しそうな様子を共有したい子どもがまた加わる
この時、その遊びをしたい子どもだけでいいのだということを伝えました。
1人1人と遊んで楽しい気持ちを共有することを積み上げる
このような、遊びの経験を積み上げて、子ども一人一人が、先生と遊ぶとおもしろい!この先生と遊びたい、何かを共有したいという感情を築いていくのです。
そして、絵本を読み聞かせする、手遊びをするなどの時も、まずは、先生自身が好きな話や手遊びを選んでみましょう。
先生が楽しく、お話ししたり、感情表現をしたり、思いを分かち合うことで、子どもは、その楽しみ、感情を共有したいという思いが積み上がります。
先生が、子どもたちをまとめることを目標にせず、楽しみを分かち合う気持ちで子どもと遊んだり、活動したりしてみましょう。
同じ遊びにのらない子どもがいてもいい
また、1人2人、のらない子どもがいてもいいのです。
その子どもに、普段から
「●●ちゃんの好きな絵本は何?」
「●●くんの好きな手遊びは何?」と聞いておき、その子どもの好きなことを尊重すること。
そして、自由遊びの中で楽しみを共有し、皆が集まった時に、子どもたちの前で披露してもらってもいいのではないですか?
子どもたちは、誰かが先生(大人)に特別扱いされたり、注目されたりすると自分も同じようにしてほしい・・と思うもの。
それが、子どもたち全体に広がった時に、まとまるのではないかと思います。
年少以上になると、中には、このような場面を通して、思っていたより意外とリーダーシップを発揮する子どもも見えたりします。
子どもを同じ方向を向いてもらう(まとめる)のは、先生(大人)だけとは限りません。
子どもをまとめるのではなく、楽しみを共有する気持ち
あまり、まとめよう、まとめようとせず、楽しみを皆で共有しようという気持ちを大切にしましょう。そして、違う思いの子どもがいてもいいと思っていて大丈夫です。
子どもたちは、一つでも自分の好きなこと、楽しみと思っていることを、気持ちから共有してくれる先生をわかってくれます。
子どもをまとめようとする前に、まずは、自由遊びを大切にすることを念頭においてみましょう。
クーミンは保育者向けのセミナーやカウンセリングなども行っています。
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