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子どもと信頼関係を築くには…3つの大切なこと

子どもとの関わり

子どもと信頼関係を築くには_アイキャッチ

保育士おとーちゃん(須賀義一)保育士おとーちゃん(須賀義一)

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少し間があいてしまいましたが、前回からの続きです。前回は、「信頼感を築くためにはどうしていけばいいか」というところでしたね。

前回の記事はこちら

そのヒントは第1回のくすぐりの話のなかにあると述べました。第1回を見てみると、くすぐりのなかに大切な3つのことがギュッとつまっていると書いてあります。

●積極性
●共感性
●身体の心地よさ(スキンシップ)

第1回の記事はこちら

信頼感を築くためにはどうしていけばいいか

●積極性

子どもと信頼関係を築くには_積極性

大人の方から子供に関わろうとする積極性は、大人が「あなたに関心を持っていますよ」という姿勢の表れです。子供は、大人に見守られているという実感を得て、そこで安心して過ごすことができます。安心できないと、子供は成長に前向きになれませんし、情緒も安定できません。

大人の目線が常にあたたかいものであり、見守られている、関心を持たれていると実感できることが、子供の安定した生活にはとても重要です。

大人が積極性を持って子供に関わることは、その大人が安心、安全を提供してくれていると子供が実感できることです。子供がそれを実感していれば、当然ながらその大人を信頼するようになります。

このことは、もちろんくすぐりにおいてだけではありません。たとえば、おむつ交換するとき、大人はそこになんの積極的なあたたかい関わりもなしに、ベルトコンベアー式に次から次へと機械的におむつ交換をしてしまうこともできてしまいます。しかし、それでは子供との間になんのプラスもありはしません。

些細なことのようですが、生活のなかで日々行われることの繰り返しはとても大きな蓄積となります。そのように無機的に子供のおむつ交換をするのと、あたたかい交流を持ちながら笑顔で「きれいになったね」「気持ちいいね」と言葉をかけたり、服を脱いだおなかをプニプニして笑い合ったり、そのようなことを積み重ねていくのでは、とても大きな違いがでてきます。

●共感性

子どもと信頼関係を築くには_共感性

楽しいことがあったとき、大人と子供で「楽しいねー」と笑い合ったり、おいしいものを食べて「おしいいねー」と共感したりすることは、大人と子供が感情レベルで通じ合うことです。

また、子供は共感を通して大人から“認めてもらっていること”を実感しています。

なにかやってみた遊びを「楽しい」と感じるだけでは、そのときだけのことで終わってしまうかもしれません。しかし、さらに「楽しいね」と誰かと共感できたら、それは「楽しいことなんだ」再認識することができます。それは、楽しいことはより楽しく、おいしいものはよりおいしくなるということです。

おむつを交換して「これでさっぱりしたね、きもちいいねー」と共感してもらえることによって、子供はその状態が「きもちいいことなんだ」と認識していきます。それはその行為が”いいもの”になるということです。

ときどき、おむつ交換をひどく嫌がる子がいます。もしかすると、その子にとっておむつ交換は”いいもの”になっていないのかもしれません。

生活のひとつひとつのことを”いいもの”にしてあげること。このことは、保育士としての力量の見せ所ですね。それは別の言葉で言えば、”モチベーション”です。

食事を大人が「食べさせてしまうこと」は簡単です。それはつまり、”結果”だけを出すことですね。でも、本当に大切なのは、食事を子供自身が”いいもの”と思って自分から取り組むようになることです。その意欲を育てるのは、そこでの大人との信頼関係をベースとした「共感すること」なのです。

子どもと信頼関係を築くには_保育の中で

上記は理屈で言ってしまいましたが、共感って本当は理屈ではなくて感性レベルのことなんですよね。ですから、「子供をこうするために、共感してやろう」などと作為的な気持ちでは、あまりいいものにはなりません。

あまり難しく考えず、普段から「心の言葉」を使うことだと僕はお伝えしています。「うれしいね」「楽しいね」「おいしいね」「きれいだね」「悲しいね」「残念だったね」「またやりたいね」などなど。

そういった、感性や感情から発されるものを言葉にして出していく。子供に投げかける言葉でもいいし、独り言でもいい、そんな小さな積み重ねが子供の心も伸ばしていき、大人との信頼関係も厚くしていってくれるのだと思います。

僕は、普段からこの「心の言葉」を使って大人と子供の間に共感性を伸ばしていくことを、「心のパイプを太くする」ことだと考えています。大人との間に心のパイプを太く持っている子は、大人からのさまざまな働きかけがしっかりと伝わります。それだけでなく、自分から進んで大人の気持ちに寄り添った行動をとろうとするようになります。

いま、各家庭の養育力が下がっていると言われています。保育園に来る子も、最近では長時間保育が当たり前になってきています。そのような中で、大人との間に信頼感や共感するちからが十分に形成されてきていない子がたくさんいます。

これからの時代、保育士はなおさら共感を意識して保育していく必要があるでしょう。

●身体の心地よさ

子どもと信頼関係を築くには_身体の心地よさ

子供には、なによりも“実感”が大切です。

心の中で、その子のことを”大切にしている”と思うことは簡単です。でも、それでは子供には実感としては何も伝わりません。

その気持ちを言葉にして出したら、それはかたちになります。思っているだけよりも子供には伝わりやすくなりますが、それが本当に伝わるかどうかは、そのときにより、その子によりまちまちです。

言葉にすることも簡単のように見えますが、実のところなかなかできないものです。とくに日本人は、相手のことをどう思っているかをあまり言葉に出す文化がないので、普段から過不足なくできる人はそう多くはないでしょう。

子供にスキンシップをして、身体で心地よさを感じられることは、疑いなく明確な実感が持てることです。

大人の方から頭をなでてくれれば、そこには大人の積極性がありますから、子供は”自分は守られている”、”大切にされている”と安心感を得ることができます。大人が子供を抱きしめようと両腕を広げてくれたら、子供は自分が”受け入れられている”と満たされた気持ちになることができるでしょう。

信頼関係を築くということ

子どもと信頼関係を築くには_保育

信頼関係を築くのはこれらばかりではありませんが、このような子供との間に信頼関係を築こうとすることが、保育の基礎中の基礎となります。

とくに、0、1、2歳といった乳児保育の中では、「信頼関係の構築がすべて」と言ってすらいいと思います。その大人との間に、信頼関係ができてさえいれば、ことさらある姿を作ろう、出させようと思わずとも子供は自然とそれを身につけていくことができるからです。

たとえば、先程のの食事の例で言えば、子供に苦手なものを食べさせようとあの手この手を労さずとも、その大人に強い信頼感を抱いていれば、その大人の期待に応えたいと子供自身が思うようになるからです。

保育者は”信頼関係を築くエキスパート”に

子どもと信頼関係を築くには_保育者

保育の一番最初の段階から、「大人の言うことを聞かせる」「○○をできるようにする」と考えて、この信頼関係を厚くすることをおろそかにしていたら、決して子供は思うように育っていってくれはしません。

思うようにならないので、大きな声を出して指示したり、怒ったり、叱ったり、小言を重ねたり、怖い顔でまるで監視するかのように子供をみることになってしまいます。

信頼関係を築くプロセスをきちんと保育者が持っていれば、子供は自分から大人のことを尊重し寄り添ってきてくれます。そうなれば、大人から見ても子供をかわいく感じられるようになるでしょう。

そこで行われる保育は、保育者自身楽しくやりがいのあることとなるはずです。それがまさに、保育の醍醐味ではないかと僕は思います。

保育者は、”うまい支配者”になる必要も、”ものを教え込むことが上手”になる必要もないのです。
まず第一に、子供との間に“信頼関係を築くエキスパート”になってもらいたいと思います。

▽保育士おとーちゃんの著書

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この記事を書いた人

保育士おとーちゃん(須賀義一)
1974年生まれ。公立保育園勤務の後に退職し、現在は子育てアドバイザーとして講演、執筆活動を行なっている。従来の子育てを見直し、個々を尊重した関わり、子育ての仕方を提案している。 二児の父でもあり、保育士としての経験を生かした子育てブログ『保育士おとーちゃんの子育て日記』が多くの人の支持を得る。難しくなりがちな現代の子育てを具体的に楽しいものにしていける方法を提案している。著書に『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』(PHP研究所)がある。→著書『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』(PHP研究所)はこちら →ブログはこちら
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