保育士からの相談~子どもが嫌いなのではないか…~


はじめまして!保育・教育ティーチャーサポーターの眞田 久美(さなだ くみ)と申します。
主に保育士・幼稚園教諭の皆さんの自己肯定感を上げるべく、研修やセミナーを提供させていただいています。ほいくらいふを通して、皆さまの心のサポートができると嬉しいです。
仕事柄、私は保育士や幼稚園教諭の方からご相談メールをいただくことがよくあります。
ご相談の内容はそれぞれ異なりますが、子どもや保護者、同僚との関わり方など人との関わり方についての相談が多く見受けられます。この傾向は、保育士研修後のアンケートなどでも”学びたいこと”のテーマにも表れていて、いつも、「保育士や幼稚園教諭の皆さんが悩まれている」ということを感じておりました。
そこで、『保育士のお悩みレターより』として、3回の連載でよくご相談いただく3つのテーマを挙げて、私がカウンセリングや研修でお話しさせていただくことをお伝えしていこうと思います。
第1回目は、「子どもが本当に好きなのかわからない」と題して、子どもとの関わりについて、お話しさせていただきます。
保育士からの相談~子どもが本当に好きなのかわからない~
以前、私の元にこのようなメールが届きました。(一部、抜粋)
楽しいと思えずあまり笑えません。疲れて声を出すのも嫌になることもあります。でも、そんな自分が嫌なんです。保育士に向いていないのかな?
このようなご相談、実は結構あります。
保育士や幼稚園教諭になってみて、自分の思っていたイメージと子どもたちが異なると「こんなはずじゃ…」「私、本当に子どもが好きなの?」と壁にぶつかってしまう方も多いようです。
保育士になって壁にぶつかってしまったら…
そのようなご相談をいただいた時に、口頭で詳しくお話を伺えればピンポイントでお答えできるのですが、そうではない時はある”秘訣”をお話ししています。
- 「言うことを聞かない…」と思ったら、まず保育者がそれもありだと思っていい
集団保育において”子どもが言うこと聞かない”という時、たいてい、その意味は“まとめられない””子どもたちが集中しない”ということではないかと思います。
集団でいればどこでも数人、落ち着きのない子どもはいるのでそんなに驚くことではありません。むしろ、言うことをちゃんと聞く、面倒をかけない(手がかからない)、 周りに迷惑をかけない子どもの方が心の成長に伴う学びが少ないのではないかと感じます。
したがって、”言うことを聞いてくれない”ことは、保育者のせいではありません。そこで悩む必要はないのです。それでも、集団保育には(特に幼児組には)自制心の育成なども含まれているので、そういう時は「子どもの心を一つに向けたい」と思うのは当然のことですね。
子どもの心を一つに向けるには…
注目させるのは、保育者でなくてもよいのです。子どもに集中させることを意識するより、興味を持たせることを工夫してみましょう。 落ち着きがない、おしゃべりが止まらないなど、集中力に欠ける、騒ぐ子どもの中には、自分に注目してほしいという心理的欲求からそのような行動をする場合もあります。
そのような子どもには、ミッションを与えてみてはいかがでしょう。
例えば「○○ちゃん(くん)、ちょっと前に出てくれる?」「先生の代わりに、○○って言ってくれる?」 と声をかけて、「用意はいいですか?」など、注目させる時の決まり言葉などを皆の前で言ってもらうのです。注目されたい子どもは、 他の子どもたちの関心を引くことで特別感を得ることができます。
そして、自分も特別感を得たい子は「次は自分も先生の代わりをやってみたい」という気持ちが生まれ、保育者が前に出ると期待を込めた緊張感をもつようになり、気持ちが保育者に向いていくでしょう。
- 自由遊びを大事にするとさまざまなことが上手くいく
子どもの心を一つに向ける前提として、”個”を大切にすることから始めましょう。”個”との信頼関係を築くには、自由遊びの時間がカギとなります。
集団保育では、自由遊びという時間が必ずあります。自由遊びは、何をする時間でしょうか? 現役の保育士ならばご存知だと思います。ほとんどの保育者は、「子どもが好きな遊びを選択する」、「子どもの興味や関心を知る」や「その日の子どもの心身の状態を知る」などとお答えになるのではないでしょうか。
そのような自由遊びの時間において、私は、一緒に遊ぶことが一番大切だと思っています。なぜなら、自由遊びの時間は、園内で過ごす子どもが一番素を出しやすい時間だからです。
その一番、素を出している時間に遊びを通して、
- ・子どもたちと五感を共有する
→見えるもの、聞こえるもの、感触など、子どもたちが感じていることを共感し合う
・遊びの中の危険性(ケガ、ケンカ、体調不良)に早く気づく
→危険が察知でき、子どもの心の変化に即対応する
・子どもが素の状態(好きな遊びをしている時の安心感、開放感)にある時に、感情(喜怒哀楽)を共有する
→自分の感情をわかってくれる人を子どもが認識する
その結果、信頼関係ができます。
この時間に一人ひとりと築いた信頼関係は、保育者は自分を見てくれている存在という認識がベースになっています。したがって、 自由遊びに保育者が子どもたちと楽しくて大笑いしたり、ちょっと悲しい絵本を読んで泣いたり、意地悪なことを言われて嫌な思いをしたりする姿を見せることも、子どもたちの心にその時々の思いを残していきます。
そして、”個”が互いに共有し合うことで、”心が一つ”になっていくのです。中には、相手の感情に気づきにくい子どももいますが、その姿を見せていくこと、それが教育です。
自由遊びは子ども一人ひとりを見られる大切な時間。この時間を充実させることができれば、他のどのような状況にも安心感、信頼感で結びつけていけるのです。
子どもたちは、もっとあなたを好きになる
子どもたちは、ちゃんと保育者を見ています。そして、保育者のことが気になるのです。しかし、発展途上の子どもたちは、全てにおいて学習中ですからどのように表現して良いかも学び中です。
保育者が、子どもたちに「こっちを向いて」と思っているように、「ぼくたち、わたしたちのことを信じて見て!」と子どもたちは思っています。
だから、大丈夫です!悩むということは、保育士の心を学んでいる証拠です。まずは、子どもたちとたくさん遊びましょう!おもしろい時は大笑いしましょう。悲しい時は悲しい顔をしましょう。怒りを感じた時は、”嫌な気持ち”も表現しましょう。
子どもたちは、そんな喜怒哀楽を共有してくれる保育者が大好きです。
クーミンのブログはこちら≫『言葉が心を育てる…保育・教育ティーチャーサポーターの思う”こころ育て”』
クーミンは保育者向けのセミナーなども行っています。≫『K.Sティーチャーズマインドサポート』
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