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ニュージーランド流保育に学ぶ!アクティブ・ラーニングで「生きる力」をはぐくむ ⑥保育園でもできる効果的ないじめ対策

  • 子どもとの関わり

  • ERIKO

本連載第五回目の「他者との対話から生まれる学び」では、アクティブ・ラーニングで「自分とは違う他者を受け入れる」経験をすることがいじめの防止につながる可能性についてもお伝えしました。
日本の学校ではいじめによる自殺者が出るなど、「いじめの深刻化」が社会問題となっています。

ニュージーランドでももちろんいじめはありますが、日本のように何人もの生徒が主犯格の生徒に同調して集団でいじめを行うといったケースはほとんど耳にしません。
それは、幼児教育からのAL型体験によって「自分とは違う他者を受け入れる」という下地ができているからにほかなりません。
人間は集団のときの方が残酷になる傾向があります。同調が起こらなければ、いじめが日本でニュース報道されるケースほど陰湿かつ非人道的になる可能性も少なくなります。
保育園でも程度の差こそあれ「いじめ問題」は存在するようです。

第六回目の今日は、禁止事項を定めた規則をなくすことでいじめが激減したというニュージーランドの小学校で実証済みの研究結果をもとに、保育園でもできるいじめ防止対策について考察します。

規則がいじめの原因となっている!?

集団生活には多少なりとも規則は必ず必要であり、それは保育園でも同じです。日本で、状況ごとに細かな禁止事項を設ける園があるのも、子どもたちの安全を考えればこそのことでしょう。
しかし、その規則がいじめを含む子どもの各種問題行動の一因となっていることを証明する研究結果があるのです。
2014年に発表された、ニュージーランドのオークランド大学とオタゴ大学が行った研究を紹介します。

【研究概要】

●研究の目的:
規則を廃止することで、子どもたちの学校の校庭での活動を活発化させ、肥満やいじめの防止につなげられるかどうかを検証する。

●実施内容:
木登りやスケートボード、ブルラッシュ(*闘牛ゲーム)は、「危険を伴う遊び」としてニュージーランドのほとんどの学校では校内でこれらの遊びをすることを禁止している。
この研究の実験校になることに承諾したオークランド市内のSwanson小学校でも禁止されていたが、これらの禁止事項を定める規則を廃止し、子どもたちの行動の変化を観察。
(*闘牛ゲームのルール:ドッジボールコート大の長方形の枠内に闘牛役の子ども(ブル)、枠外の片側にその他複数の子ども(闘牛士)が待機。ブルが色を指定すると、指定された色のものを身につけている闘牛士はブルのタックルを交わして枠内を走り抜け、反対側の枠外にたどり着かなければならない。タックルされたらブルが交代となる。)

●結果
・いじめや壁へ落書きなどの問題行動及び校内でケガをする子どもの数が激減した。
・授業中の子どもたちの集中力が高まった。
・子どもたちの創造性が豊かになり、木切れやタイヤなどを利用した新しい遊びを生み出すようになった。

生徒がケガをしないために作った規則を廃止したことで、ケガをする生徒が増えるどころか逆に減ってしまったというのです。
この実験開始後子どもたちの創造性までも高まったという驚くべき結果について、研究者らは「子どもに自由を認めてリスクを学ばせることが、子どもの創造力を刺激する」と結論付けています。

危険にさらされることで、子どもの脳は発達する!

この研究結果は、同小学校の校長先生だけでなく、研究者たちをも驚かせることとなりました。

【校長先生のコメント】

実験を開始してからの校庭の様子は混とんとしていて、大人から見ると子どもたちがいつケガをしても不思議ではない状況でした。ところが、結果は違ったのです。
子どもたちのやる気は向上し、活発になりました。

私たちは子どもたちの安全を考えるがゆえに、彼らを保護しすぎています。
私の経験でいうと、子どもたちが問題を起こすときというのは彼らが退屈でやる気が出ないときです。そういったときに、彼らは他の子どもをいじめたり、壁に落書きをしたり、物を壊したりといった問題行動を取るのです。

実験後、保護者の学校への満足度は高まりました。子どもたちの満足度が高まったからです。

実験中、大人が押し付けた規則から自由になった子どもたちは、自分自身で、しかも大人が管理していたときよりもずっと効果的にリスク管理を行うようになったのです。
この研究結果は、子どもたちを危険から遠ざけ保護しすぎることは、長い目で見るとより危険な行為だということを如実に示しているといえるでしょう。
子どもはリスクにさらされたとき、続いて起こり得る結果を考えることで脳の前頭葉を発達させるそうです。そしてその過程は、誰かに教えてもらうことはできません。自分で体験するしかないのです。

「自分で判断できる」子どもを育てる!

ニュージーランドの保育園では、子どもが高台から飛び降りたり、フェンスによじ登って遊んだりといった光景は当たり前のように見かけますが、日本ではこのような遊びは「危険を伴う遊び」とみなされ「安全性の確保」という理由から禁止している園がほとんどだとのこと。
しかし、「ダメ」と言われればやりたくなるのは人間共通の心理です。特に子どもではその傾向が強くなりますので、隠れて実行する子どもも出てきます。
そうであれば、「危険を伴う遊び」を下手に禁止して子どもの欲求を抑え込むよりも、自由に行動させて、自らが「どこまでなら安全で、どこからが危険なのか」を学べるようにサポートするやり方の方が、悪影響が少なく効果的です。

本連載に何度も気づきを提供していただいたさやかさんがボランティアをしていた保育園でも、子どもを必要以上に危険から遠ざけることはしていません。
過去には園内で遊んでいた子どもがケガをして保護者からクレームを受けたケースもあったそうですが、それに対する園の対応は以下の通りです。

①保護者に子どもがケガをした状況についての詳細を説明する。
②子どもを必要以上に危険から遠ざけることはしないという園の方針についてきちんと説明する。
③そのうえで、今後も園に通わせるかどうかは保護者の判断に任せる。

保護者が園の方針に納得できない場合は、他に移ってもらった方が双方のためにもなります。

ALの観点からいえば、危険を伴う行為を「規則で禁止されているからやらない」子どもではなく、「自分自身で考えて危ないと判断したからやらない」もしくは「危険性が最小限になるように工夫してやる」子どもを育成するべきなのです。

特に幼児期の子どもはエネルギーがいっぱいで、子ども自身がそのエネルギーを持て余すことも多いです。そのあり余ったエネルギーが行き場を失ったとき、いじめなどの良からぬ行動として現れてしまうのです。

まとめ

大人が子どもの危険を回避しようと先回りしてルールを設定するのでありません。必要なのは、子ども自身に体験として学ばせることにより子どもが自分の力で自分にとって正しい判断ができるように促し、子どもにはそれができる能力があると信じることです。
それはすなわち、子どもを尊重することであり、連載第二回目でもお伝えした、子どもが「自分が尊重されることにより他者を尊重することを学ぶ」ことにも通じています。
規則をなくすことでいじめや子どもの問題行動が少なくなるばかりか、子どもの創造力が豊かになるというのですから、日本の教育現場でもこれを取り入れない手はないでしょう。

ニュージーランドの保育・教育に興味のある方へ 〜お知らせ〜

筆者が代表を務めるBlue & Green NZ Limited では、海外の保育・教育に興味がある方を対象に、ニュージーランドの保育園・小学校のボランティア活動を手配しています。
ボランティア参加に興味はあっても、大手エージェント主催の高額な参加費用を見てあきらめてしまう方が多いという事実に憂いを感じ、より多くの方たちに参加いただけるよう、格安の料金で手配させていただいています。大手エージェントのような至れりつくせりのサービスは提供できませんが、「自分でできることは自分でやってみよう!」という意欲のある方たちを応援したいと思っています。
ご興味のある方はこちらのHPをご覧ください。

【参考】
・School ditches rules and loses bullies | Stuff.co.nz
・New Zealand school bans playground rules and sees less bullying and vandalism
・Project Play at Swanson School (Article by Bruce McLachlan)

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