1歳児の発達段階・遊びとかかわり~好奇心を大切にする保育~

こんにちは、クーミンこと眞田 久美(さなだ くみ)です。
8月上旬、以前セミナーにご参加いただいた方から保育士試験一次試験に合格したとのうれしいメールをいただきました。最近は資格試験を経て、保育士になられた方も多く、「子どもとのかかわり方」について学びたいとのご希望をいただくことも増えました。
そのようなご要望にお応えして、先月より「各年齢における発達やかかわり方、言葉がけのポイント」として、0~5歳児までの生活においてのかかわり方や言葉がけ、遊びについてお話しさせていただいています。
今回は、歩行、言葉、感情の成長が著しい1歳児とのかかわり方について考えてみます。
0歳児の発達段階やオススメの遊びはこちら↓
『0歳児の発達段階・オススメの遊び・言葉がけのポイント』
目次
1歳児の発達と保育観点~機能別・かかわり方のポイント~
1歳児の発達を一言で表現すると、身体的な成長および感情表現の成長が見られる時期といえます。機能別に大まかな発達ポイントを確認し、かかわり方のポイントも見ていきましょう。
運動面
発達の目安 | ・歩行を始める ・姿勢を自由に変える ・直線的歩行だけでなく、方向転換する ・調整しながら歩く(転ばなくなってくる) ・手や指で道具を操作する |
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かかわり方のポイント | ・歌や音楽を用いて、一緒に歩くことを楽しむ ・「○○を取ってきて」など、遊びや生活の中で多方向に視線や体を向けるよう声かけする ・何でも真似をする時期。リズム遊びや体操は保育士が見本を見せながら行う ・手指を使って道具を操作する遊びや活動は、見守りながらできるところまで自分でやらせてみる |
感覚・認知面
発達の目安 | ・離乳食を終了し、味覚がはっきりしてくる ・においの違いをとらえる ・目と手の協応を遊びのなかで経験することで、物の距離感をつかめるようになってくる ・物と言葉を一致するようになる |
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かかわり方のポイント | ・色の濃い野菜などを拒むようになることがあっても、無理に口に入れない(食べている子どもの様子を「○○ちゃん、大きなお口で食べてるね!」「おいしそうに食べてるね!」など肯定的な言葉で伝え意識させる) ・スプーンが上手に使えなくてもよい。経験と見なし「お口に入るかな?」などと言葉がけし、徐々に自分で食べられるよう促す ・子どもたちが手にした物(遊具、食べ物など)を都度「○○だね」と言葉で表現する |
感情面
発達の目安 | ・感情に合わせて表現する(泣く、笑う、怒る) ・大人の発した言葉を真似ようとする |
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かかわり方のポイント | ・子どもの感情表現を都度、「悲しいね」「うれしいね」「いやだよね」など、保育士が共感し言葉で表す ・子どもの前で、乱暴な言葉遣いをしない ・語彙が増える時期なので、動詞や形容詞だけでなく、保育士が主語をつけて復唱してあげる(例:「おいしい」⇒「○○(食べている物)、おいしいね。」「遊ぶ⇒「○○(遊具)で遊ぶ」など |
遊び
発達の目安 | ・運動玩具、操作的玩具、再現遊び玩具、素材的玩具を使って手指を動かし、模倣することを楽しむ |
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かかわり方のポイント | ※遊びの詳細は次項「1歳児の発達を促す活動と遊び」で記載 |
1歳児の発達を促す活動と遊び
身体的、認知的機能が著しく発達する年齢だからこそ、各機能に働きかけることがより発達を促すことにつながります。
- 運動機能
- 散歩を取り入れ、バランスを取りながら歩くことを体感させることが全身運動の基礎になります。また、できるだけ同じコースを通ることは安心して散歩ができ、散歩中のさまざまな発見に好奇心や興味が広がるでしょう。
室内でもリズム体操やマットを使って低い段差を上がったり、下がったり、ジャンプしたりする運動を取り入れるなど、工夫して体を動かす経験を積み重ねることもバランス感覚を身に着けるための全身運動になります。
- 感覚機能
- 目と手の協応が育ってくる時期でもあるので、手指を動かし操作したり、細かい動きを繰り返したりすることができる遊具を使うことで脳を活性化させます。
また目に見えること、聞いた言葉を何でも真似をしたがるので、ままごとや人形など再現遊びができる遊具を選びましょう。遊具そのものでなくても、子どもが手にしても安全な布製品(ハンカチやフェルト、お手玉など)や段ボール箱などを用意しておくことで、みたて遊びの道具になることもあります。
- 認知機能・感情表現
- 再現遊びなどを始めても、まだ1人遊びの段階です。しかしながら、そばにお友だちが遊んでいることに気がついている時期です。保育士は、一人ひとりの遊びを見守り、言葉がけをしつつも「○○ちゃんは、××しているね」や「△△くんは、××作ったのね」など、同じ空間で遊んでいることを意識させることでより一緒に遊ぶことへの興味を促していきます。
1歳児の発達を促す遊具の例
- 遊具
- 操作する、再現する、手指を動かす、模倣する、細かい動きを繰り返すことで脳を活性化させる遊具を選びましょう。
- 絵本
- 乳児期は、明度の高い黄色やパステルカラー、赤をはじめ青・緑などの、はっきりとした原色が見えやすく、色の認識をしやすくなります。また言葉が出始める1歳児には、身の回りにあるものが題材になっている内容の絵本がよいでしょう。私のオススメの絵本をご紹介します。
自由遊びや活動の時間に童謡やわらべうたを取り入れよう!
わらべうたは、シンプルなメロディーとリズムで構成されており、その音階は人が話すような音階でつくられたものが多く、子ども(とくに乳児)にはとてもなじみやすいものです。
またそのリズムは、心臓の鼓動にあったリズムといわれています。0~2歳児のスキンシップが大事な時期に、子どもに触れながらわらべうたを歌うことで子どもは安心感を持つことができます。
1歳児には、保育士の真似をしながら楽しめるわらべうたがオススメです。
- 1歳児にオススメのわらべうた
・うちのうらの
・おせんべやけたかな
・いっぽんばし
・あがりめさがりめ
・にらめっこ
・げんこつやまのたぬきさん
・お茶を飲みに来てください
手遊びでなくても、歌にシンプルな振りをつけて歌ってみましょう!
ときどき1歳児担当の保育士から「あまり手遊びを知りません。1歳児クラスでできる手遊びは、どんなものがよいでしょうか?」というご質問をいただきます。
手遊びを知らないのであれば、童謡はいかがでしょうか?もちろん、ご自身で手遊びの本などで勉強したり、保育士同士で教え合ったりしてもよいでしょう。
しかし手遊びをしなくてはいけないということはありません。童謡を用いて、振りをつけてみましょう!決められた振りでなくてもいいのです。花やどうぶつなどの特徴を表現し、動き、表情をつけて好きなように歌ってみましょう。
先生の声で歌を聞き、振りを真似することで「聴く、見る、動かす」3つの機能を同時に行い、楽しさは、より脳を活性化させます。さまざまなことに興味や関心を持ち始める1歳児。その好奇心を大切にする保育をしたいものです。
次回は、乳児保育で一番おもしろい、2歳児についてのかかわり方を考えます。
「0歳児の発達段階やオススメの遊び」について知りたい方はこちら↓
『0歳児の発達段階・オススメの遊び・言葉がけのポイント』
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≫『K.Sティーチャーズマインドサポート』
クーミンのブログはこちら
≫『言葉が心を育てる…保育・教育ティーチャーサポーターの思う”こころ育て”』
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