【コラム】子どものわがままと向き合う

子どものわがまま?試し行動?
2学期になり子どもたちは4月の緊張が取れたのか、毎日保育をしている中でわがままを言うことや、「この先生は何をしたら怒るのかな?」と保育者を試し始める子はいませんか?
保育園や幼稚園だと集団生活の中で、子どもたちのそのような行動にてんやわんやしてしまうことや、気持ちに余裕を持てなくなってしまったことはありませんか?
よく見かけるのは実習生に対しての試し行動です。本当は自分で服を着替えられるのに「できない」と言ってみたり嘘泣きをしてみたりする子をよく見かけますよね。
実習生は普段の子どもたちの様子を知らないこともあるので、手伝ってしまうことが多いですが、実習生以外に担任の先生にも試したり、わがままを言ったりすることもありますよね。
保育者を試したり困らせたりする理由って?
子どもたちにとって保育者というのは信頼できる大人なのだと思います。大好きだからわかって欲しい。そんな気持ちの表れなのではないでしょうか。
子どもたちは、自分の想いを伝える方法を練習しているのです。うまく表現できずにわがままや、試し行動で「こんな私だけどどう?」と言っているのかもしれません。
【事例】
3歳児M君3月生まれで月齢が低く周りの友達に比べると、自分のことを1人で行うのに時間がかかる。
本人も自分が周りよりできないことを自覚していて、時間がくるといつも先生が手伝ってくれるためなかなか集中しない。
朝の会の前にみんなでシール貼りをしていると、M君はシールを台紙から剥がして机に貼って遊んでいた。
先生に「M君シール貼りするの?」と聞かれると「するー」と返事はするが、目もあわせず机にシールを貼り遊び続けた。
その後先生がもう一度声をかけても遊び続けていたため、M君からシール帳とシールを回収した。
すると、Mくんは「だめー!」と泣き出した。
先生はMくんが落ち着くのを待ち、「Mさん、今は何をする時間ですか?」と聞くと「シール」と答えた。
先生が「見てください。みんな終わってます。Mさんだけ終わってません。朝の会はじめてもいいですか?」と尋ねると「だめー」と答え、先生から「じゃあどうするんですか?」と質問されて、「ちゃんとする」と答えていた。
その後先生は、「Mくんがわがまま言って終わらないと朝の会が始まりません。朝の会が終わらないと遊ぶ時間も無くなってしまいます。
その後Mくんはシール貼りを終わらせて朝の会が始まった。
この事例でのM君は普段から行動が遅く時間が来ればやってもらうことも多い子でした。
頑張らなくてもやってもらえる体験から、楽をすることを覚えてしまい、自分の力で取り組むことをとても嫌がる子になっていました。
わがままや試し行動をする理由はそれぞれ違うと思います。
ただ先生たちのアプローチとして頭ごなしにそのわがままは聞けないと伝えるだけでは子どもたちのわがままは止まりません。
子どもたちにとってその叱り方では、受け入れてもらえなかった経験(嫌な経験)になってしまい、余計にわがままを言い続ける原因になってしまいます。
例えば、先程の事例の保育者のように、先の見通しの立つような言葉(朝の会をはじめてもいいですか?やシールを終わらせて朝の会が終われば遊べるなどの声掛け)をしてからなぜいけないのか、(シールを終わらせて朝の会も終わらせないとみんなも遊ぶ時間が無くなること)
わがままを辞めて取り組んだらどんなことが待っているのか(早く全部終われば大好きなおもちゃで遊べること)をイメージしやすいように言葉で伝えてあげると、すんなり前に進めることも多いです。
たくさんの子どもたちと毎日過ごしていると、違うことをしている一人の子が気になってしまうこともあると思います。
保育者は感情的にならず一個一個わからないことをその子のにわかるようにしてあげると保育をしやすくなりますよね。
子どもたちにとって、保育園や幼稚園が楽しいなという記憶はその後の人間形成にもかかわってきます。
「やらなくてもだれかがやってくれる」という経験は良くない!!
「やらなくても誰かがやってくれる」という経験を積んでしまうと小学校以降努力をすることを避けようとするそうです。
小さいうちに、楽しく努力をする経験をできるだけ多く積ませてあげることで、その後の学習意欲や人間関係でも子どもたちの成長の基礎になります。
その基礎をどれだけ作ってあげられるかが保育者の専門性でもありますね。
コメントを残す