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「絶対に諦めない」苦難を越え前進を続ける”子育てシェア”~AsMama甲田恵子氏~

家族支援・子育て

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保育園・幼稚園で、「お迎えが間に合わない」「どうしても外せない用事があるのに子どもを預ける場所がない」ということはありませんか?保育者の方も保護者の方も困ってしまいますよね。ほんの少しでも頼れる方がいたら…そんな悩みを解決するサービス「子育てシェア」はご存じですか?

「子育てシェア」の生みの親、株式会社AsMamaの代表”甲田恵子”(こうだけいこ)さんに「子育てシェア」ができるまでの道のりや想いを伺ってきました。
「子育てシェア」が実現するまでに「気が狂ったのか?」と笑われたり、バカにされたりと、さまざまな苦労を味わったそうです。それでも実現したかった甲田さんの想いとは?

子育てシェアとは?

AsMama_子育てシェア_甲田恵子さま

▲子育てシェアの生みの親である甲田恵子(こうだけいこ)さん

子どもを預かってほしい!そう思った時、顔見知り同士で安心して気兼ねなく、託児や送迎を頼り頼られることができる「子育てシェア」。具体的な仕組みなどをお聞きしました。

―――子育てシェアとはどのような仕組みになっているのですか?

子育てシェアは、同じ園や学校に通うママ・パパが気のおける知人友人を検索したり招待したりしながらつながって、子どもの送迎や託児を頼り合うネットの仕組みです。

知らない人とはつながらず、1時間500円から利用できます。近所に知り合いがいなくても、AsMamaが認定した地域子育てのお世話役『ママサポーター』が強い味方になってくれます。

―――甲田さんの考える頼り合いとはどのようなものですか?

昔は「預けたら預かってあげる」という考えが主流でした。しかし、今は働き方や家庭の価値観が多様化しすぎて、昭和の持ちつ持たれつにはならないんですよ。

預かり合いだったものをインターネットの中で「ヘルプ」を投げれば、システム内でつながりのある知人友人の中から都合が良い人が手を挙げる仕組みに変える。りんごやタオルを渡せば成り立っていたお礼を、「あの人は高級チョコレートをお礼に持って行ったらしいけれど、リンゴではだめかしら…」など変な気を遣ってしまわないように一律500円とお礼のルールもあらかじめ決めておく。

今の時代にチューニングすることで、互いに気兼ねをせず、それぞれがハッピーになれると考えています。

創業期~「気が狂った」と言われても前進し続けた~

AsMama_子育てシェア_子連れミーティング

―――子育てシェアをはじめようと思ったきっかけはなんでしょうか?

私自身、このような事業を立ち上げようとは全く思っていなく、転職のため職業訓練校に通っていました。

そこには、出産を機に職種転換をしなければならない方がいっぱいいたんですね。このような方は、ちょっと子育てを助けてもらえる環境にあれば、前職を辞めずに済んだような人たちだったのだろうな、もったいないなと思ったんです。

一方で、仕事を辞めてから子育ての集まりなどに行ってみると、子育ては大好きで今の生活に極端に不満があるわけではないが、自由になる時間やお金がないと悶々と悩んでいる人たちがいっぱいいることを知りました。

ブログに「その人たちが、家事や育児を助けてほしい人たちと仲良くなり、預かることで対価を受け取ることができたら頼る方も頼られる方も豊かになる…」と書いたら、コメントにコメントが付き…それを読みながら、誰もが当たり前に頼り頼られるようにならないかなと考えるようになったんですね。

AsMama_子育てシェア_参加

―――実際に動き出してからの周りの反応はいかがでしたか?

最初は、あちこちで親子交流会を開催するものの「何かの宗教か」と言われたこともあるそうです。

「一人ひとりが育児も仕事もやりたいことも叶えるためのインフラを作りたいんだ」という話をしたら「気が狂った」「ネットワークビジネスに巻き込まれた」などと言われ、笑われるか、バカにされるか、心配されるかのどれかでした。

―――それでも前へ進んでいったのですね。

当初は、13人のメンバーでイベント開催などを行っていましたが、利益はなくもちろん給料もありませんでした。1年後11人のメンバーが「ついていけない」と去っていきました。

頭でわかっていたニーズも、実際の人物像が見えていなかったんですね。駅前でアンケートを配るなどし、実際の声を集めました。それから、頼り合うためのニーズが明確に見えてきて…ここまでくるのに1年以上かかったんです。

安心を届けるため、「アホですか?」と言われても実現した日本初の保険制度

子育てシェアには「有償で活動する全支援者に適用される保険」があります。対象年齢は1歳以上で、子育てシェアを活用した送迎・託児の時間内にケガや食中毒などの事故や破損があった場合に適用され、子育てシェアの登録者には一切保険料などはかかりません。この仕組みは日本初です。

次第に実際のニーズが見え、必要だと感じた保険制度…しかし、実現までの道のりは、苦悩の連続だったそうです。

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一番悩んだのはお金でも経営でもありません。「子育ては頼った方がいいですよ」と言って、万が一何かがあった時のこと。

子育ては頼った方がいいこと自体は間違いではないのに、そんなことを声高らかに事業者として言い出した以上は、万が一何かがあった時の社会的責任は逃れられない。逃れられないとはいえ、「私一人で責任を持てるのか」と言えばどうやってもそれはできないんですよね。せめて大きな保険会社さんが、バックにいてくださるなどの体制は必要と創業を決意した時から思っていました。

しかし、全然相手にされなくて、会ってもらえず、会ってもらえても、「どこのだれかわからない預かり合いに保険会社が保証するの?」「あなたはアホですか?」と言われました。

―――最後はどのように決定されたのですか?

前職で大変お世話になった保険会社に勤める方が、事業所の近くに越してきてクモの糸が下りてきたように感じました。最初は難しいと言われましたが、毎日通って説明し、最後は根勝ちのような形でした。よっぽど無理を通して作っていただき今も感謝しています。

年間800回のイベントを開催~地域・身近な人とのつながりを大切に~

AsMama_子育てシェア_イベント

AsMamaでは、近所の人やママサポーターとのつながりを増やすためにさまざまなイベントを開催しています。その数は年800回にも及びます。

―――地域・身近な人との繋がりを作るうえで、重要視していることはなんですか?

参加された人が3人と繋がって帰ってもらうこと。3人と繋がっていれば、困った時に頼れる確率がものすごく上がります。3人と関われるよう、適切な参加人数を考えたうえで、計画を立ててイベントを開催をしています。

―――ママサポーターとして働いている方はどのような方が多いのでしょうか?
実際に研修や試験を受け、AsMamaの活動理念を理解していただいた方がなっています。

ママサポーターになりたいと思って応募してきてくれる人の中で、試験に通過した方は1割いるかいないかです。空いた時間に子どもを預かってあげたいと思っているかたは、ママサポーターでなく一般登録者でできます。

出会いの場を作ったり、支援を応援するのがママサポーターの役割になるので、結構なボリュームの研修を受けてもらいます。

―――子育てシェアをされている方はどのような方が多いのでしょうか?

登録者は、専業主婦よりワーキングママが若干多いですが、利用されている方は半々。子どもの年齢や習いごとが同じ方が繋がっていることが多いです。登録しただけでは何もならないので、1回は使ってみてほしいですね。

利用者は80%の方がリピーターだそうです。預かるだけでなく、子どもたち同士の関わり合いができることも大きな特徴です。甲田さんご自身も何度も子育てシェアを利用してきたそうです。

私の子は一人っ子なのですが、子育てシェアを通して、兄弟姉妹の疑似体験ができました。

たとえば、一人っ子だとなんでも最初に好きなものがもらえたり、選べたりしますが、兄姉がいたら弱肉強食のシステムが生まれて、自分が食べたかったものがあっという間になくなることがありますよね。その一瞬のできごとに驚いたり、シュークリームを割って半分にして、カスタードクリームが手から溢れて「どうしよう!」と感じる経験をしたり…そんなちょっとしたことが大切だと思っています。

5年後「子育てシェア」が当たり前の世の中にしていきたい

AsMama_子育てシェア_ママサポーター

―――現在の利用者さんの反応はどうですか?

仕事に行かなくてはならない時、近くのママサポーターや友達から「いいよいいよ。行っておいでよ」と声をかけてもらった瞬間「泣きそうになりました」とか「それがきっかけで2人目を産んでもいいと思えました」などの声をいただき、もっと交流機会が広がっていけばいいなと思いました。

―――今後のビジョンはどう描かれているのですか?
5年後には、全国どこにでも当たり前にママサポーターがいて、子育てに困ったらその人たちに聞けばなんとかなると思えるようにしていくのが中期的なビジョン。

10年後には、行政の財政を頼らずとも、自分たちで生活を豊かにできる、そういう持続可能な経済システムを他分野でも他国でも展開していきたいというのが10年後のビジョンです。

甲田さんは子育てシェアを、5年後には子育てを頼り合える「プラットフォーム」に、10年後には世界に広がる知人間共助の「インフラ」にしたいと考えているそうです。子育てをする上で、どこでも頼れる安心感があるのは心強いと思いました。

さまざまな苦難を乗り越え前進を続ける”子育てシェア”「できない理由でなく」「できる手段を探していく」甲田さんはそう教えてくれました。今後もAsMamaのご活躍が楽しみです。

本日は、ありがとうございました。


今回取材させていただいた方 甲田恵子(こうだけいこ)さま
1998年、省庁が運営する特殊法人環境事業団に入社し、役員秘書と国際協力関連業務を兼務。2000年、ニフティ株式会社入社後、マーケティング・渉外・IRなどを務める。2007年、ベンチャーインキュベーション会社、ngi group株式会社にて、広報・IR室長を担当。2009年311月に株式会社AsMamaを創設し、代表取締役CEOに就任。

>AsMamaホームページ
>子育てシェアについて

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