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保育への『未来の投資』で元気なまちづくりを

河西景翔

保育士の河西ケイトさんが保育業界の課題に対し保育業界以外の人との対談を通して保育業界の課題解決のヒントを集め、また保育の現状を広く伝えるための連載企画です。
今回は東京都渋谷区議会議員の田中たくみさんに、社会課題からみる子育てや保育士の今後のあり方について話をお聞きました。

田中 たくみ(たなかたくみ)
渋谷区議会議員。2015年初出馬・初当選。政党「日本を元気にする会」所属の渋谷区議会議員は一人しかいないため、長谷部区長を輩出した会派「無所属クラブ」に合流し、5名の会派「シブヤを笑顔にする会(略称 シブヤ笑顔)」を結成。現在、会派「シブヤを笑顔にする会」副幹事長・政調会長、政党「日本を元気にする会」代表。
田中たくみwebサイト

子育ての環境整備や保育の質の向上で住みやすいまちに

河西 本日はよろしくお願いします。早速ですが、田中さんが感じる保育業界の現在のあり方についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

田中 待機児童が問題視されている昨今、様々な理由が挙げられていますが、保育士不足も大きな要因のひとつと考えています。保育士の賃金は2015年度からの3年間で、国による月額3万円の処遇改善のほか、東京都の補助金が月額4万4千円上乗せされました。理論値としては月額24万9千円だった給与が3年間で月額32万3千円にアップしたことになります。東京都に限って言えば、もはや「賃金」の問題よりも、残業などの労働時間や事務業務の負担、保護者対応などの対人コミュニケーション負荷など環境の面での問題が大きいのではと感じています。渋谷区の待機児童は、2016年は315人、2017年は266人、2018年はまだ集計が出ていませんが、前年より100人前後減少する見通しです。2018年の4月に新たな保育園を7園開設し、614人の定員を増やしましたし、2015年度からの累計では1,780人の定員を増やしました。施設整備だけでなく、ベビーシッター派遣や認可外保育施設利用者への保育料助成も開始し、あらゆる保育資源を複合的に活用しながら対応し成果も出ていますが、数字が『0』になるのはまだ先になると思います。その背景には、渋谷区は子育てに手厚いという口コミが広がり、転入してくる人も多く、保育環境を整備すればするほど転入によって子どもも増えるというジレンマを抱えています。

田中たくみさん

河西 私の周りでも渋谷区は住みやすいし、子育てしやすいと人気です。お話を聞いていて感じたのは、親が住みやすい・働きやすいというのは、子どもにとっても良い環境であるということなんですよね。生活しやすく、教育にも力を入れている渋谷区がどのように変化していくのか楽しみです。

田中 渋谷区では保育の質の向上にも力を入れていまして、レッジョ・エミリアやシュタイナー、モンテッソーリなどの先駆的教育をプログラムに組んだ保育園も増えています。乳幼児期教育の重要性への認知が急速に広まっていて、区の職員を研修のためイタリアに派遣しています。

河西 先日代々木公園に行ったのですが、そこにもレッジョ・エミリアの教育を取り入れた保育園が開園されていてびっくりしました。私も、最近ですがレッジョ・エミリア教育の本を読んで、 幼児教育のあり方を学び直しています。元々、学生時代に働いていた保育園がモンテッソーリだったので、この環境って子どもには良いなぁ…と思っていましたが、レッジョ・エミリアはまた違う視点で学ぶことができました。子どもの教育で大切なのは、保育士が主導ではなく、あくまでも子どもが主役であることなんですよね。レッジョ・エミリア・シュタイナー教育・モンテッソーリは、『子どものありのままの姿を受け入れて、先生は見守る』とうのが基本となっている気がします。今の保育環境では、まだまだ保育士が主体が多いなぁ…と私も感じていたので、渋谷区の教育部分での取り組み方に感心してしまいました。

河西ケイト

田中 ありがとうございます。子どもの未来を考えて最先端な教育をしていこうという区の方針を私も後押ししています。保育園から小学校へと就学すると、その後どのように成長したのかが見えないという意見が保育士さんたちの中で出ていますが、そこにも着目をして、保育園・幼稚園・こども園と小学校との連携をより緊密にすることもこれからの課題だと思っています。

幼いころから「違いを認め合う」社会を

河西 小学校では教育要領が改定されて、その中で、保育園や幼稚園で学んだことが基本として考えられている内容へと変わっていたのですが、保育士自身がそれに気づいているか?いないのか?では子どもの『教育』に大きく関わってくると思います。例えば、幼児クラスで子どもとの関わりの中で、世の中には『数』という表現法があり、この数が合わさると、 大きくなったり小さくもなる、こうした関わりの中から数に対して興味をもたせる。そうした何気ない生活の中での仕掛けは大切になって来ると思います。

田中 幼児期の発達の特性に照らして幼児の自発的な学びや豊かな感性を養うことが、生涯にわたる学習意欲の基礎になりますし、当然小学校以降の教科内容を深く理解できることに繋がりますからね。また最近は発達に気がかりな問題がみられる子も増えています。あるいは特定の分野で高い能力を発揮するものの、同年齢の友達となじめないなど、通常学級での学習に十分適応できていない子どももいます。そうした子どもを障がいとみるか個性とみるかなのですが、渋谷区では、才能を伸ばすことによって成長しやすくなるようにする新たな教育システムをはじめました。個性に応じた指導を展開する特別支援で、一人ひとりが持つ能力を最大限に引き出して、育てていくということを基本としています。

河西 それは素晴らしい取り組みですね。その子が持つ能力を高め、社会でそれを活かせばお互いに良い作用を生みますし、お互いにとってよりよい環境が築いていけると思います。渋谷区は、 中学生に向けて『認知症サポーター』を取り入れているんですよね?LGBTの方々が住みやすいように、パートナーシップをいち早く導入したりと、子どもと大人がどうしたら笑顔で暮らすこと ができるか?を考えているんだなと思いました。

田中 認知症サポーター養成講座は、小学生から取り入れているところもありますが、中学生は全員必須です。また、LGBTを理解するための研修も全校で行っています。渋谷区は日本で初めて同性パートナーシップ証明の発行を決めた自治体ですが、条例化するまでには約3年かかりました。互いに認め合う社会を作るには、差別だけではなく誤解をなくすことが大切だと思います。要は多様な人がいるということを実際に知っているかどうかなんですよね。

河西 私もそう思います。偏見や誤解をなくすとありましたが、幼いときから様々な人と触れ合うことで、偏見や差別はなくなると思います。また、偏見や差別が無くなるということは、『いじめ』も無くなることにつながると思うんです。だからこそ、幼児教育の中でも『世の中には色とりどりの花があるように、色んな人がいる』と伝えていくのって大切なんですよね。 私の知人でヴィヴィアン佐藤さんというアーティストがいるんですが、この方は、八戸の子どもたちに、化粧や衣装を着せて街を歩くという面白い形の地域支援をしているんですね。支援の様子を見ていると子どもたちの表情が生き生きしていて、子ども本来の輝きが見えた気がしたんです。こうした活動を是非、東京でもしていただきたいし、渋谷区に先駆けて行ってもらいたいと思います!

田中 それはおもしろそうな活動ですね。私も熊本で震災が起きた時に、個人的に被災地を二度視察に訪れたんですが、避難生活というのは精神的にも追いつめられた状態で、自分にも他人にも余裕がないんですよね。障がいのある方が、大きな声を出すと、『うるさい!』というクレームがあって避難所を離れざるをえなくなった…なんて話も聞いたことがあります。でも、普段からそういう人がいるということを知っていれば気にならないことです。幼いころから互いを認めあう教育は大切です。

保育士の育成が未来への投資に

河西 違いを認めるということがやはりキーワードになりますね、子どもの時に学ぶということはとても大事だと思います。保育の問題を保育現場だけでなく社会全体で問題と捉え、行政や民間が関わっていくためにはどうしたらよいでしょうか?

田中 一例をあげるとすれば、本当は0歳児は家庭で育てたいけれども、1歳児でいきなり保活すると待機児童になりかねないという理由で0歳児から預けている人がいます。調整指数を上げるためにわざと人気園に第1希望だけ提出して待機児童になる人も結構います。0歳園の整備が最も大変ですから、行政が制度設計を見直すとともに、企業にも1年間は育休をしっかりと取れるように協力してもらうことと、育休明けには必ず元の役職以上の職階で復帰できるようにしてもらえれば大分変わると思います。また、保育士さんが保護者対応などの対人コミュニケーションで困らないように、一般企業のようにビジネススキルを身につける機会があったらいいのではと思います。大企業などはCSRで社会貢献・地域貢献に取り組んでいますので、そこに保育科の学生のインターンを受け入れてもらい、一般的なビジネスマナーやクレーム対応を学んでもらうことなどを行っても面白そうですね。

河西 保育士のスキルアップをサポートする環境がもっと良くなると、学びたい保育士も増えていきそうですね。最後に、保育園や保育士の今後のあり方についてどのように考えていますか?

田中 私は平成30年度の予算審議でも『未来への投資』を重視しましたが、保育士の育成も投資の中のひとつとして捉えています。子どもたちの健やかな成長を一番初めに手助けしていく場所は、保育園ですよね。本年度保育のICT化を大きく進めますが、ICT化が 進むことで保育士さんの業務負担を軽減する。気持ちに余裕ができれば、 保護者対応や自身の専門的なスキルを高めるために学ぼうとする時間が増えると思います。研修面も強化します。保育士さんをサポートする従来の巡回チームに加え、体系的な研修やアドバイスを行う巡回指導員を創設しました。身近な場所で小規模な研修をすることにより、質疑応答がしやすいなど深く学ぶことができると思うんです。また学びたいけれど、時間がなくて学べないという人にとっても参加しやすくなります。保育士さんの多くはとても誇りをもって仕事をしています。一方で、保育士は誰にでもできる仕事とも言われがちなのは違うんじゃないかと思います。幼児教育の研究は今後さらに進化すると思いますし、AIに取って代わることのできない、まさにこれからの職業だと思います。若手の能力を高められるように、私もサポートしていきたいと考えていますし、社会にとっては将来の保育資産になります。保育士という仕事のステータスがもっと認められるそんな世の中になって欲しいと願っています。

河西 ありがとうございました。田中さんのお話を伺っていて、世の中の一般の目線で物事を捉えて、 皆がよりよい環境で過ごせるにはどうしたら良いのか?と考えて行動してくださる方がいることに感動しました。『差別』という言葉をなくし、皆が幸せに笑顔で暮らせる世の中になっ て欲しい…これは誰もが願うことだと思います。その世の中を作るのは私達大人なんですよね。今 後も、渋谷区の動きには更に目が離せなくなりそうです。日本を変えるためにも、田中さん頑張ってください!!本日は貴重なお話をありがとうございました。

第一回目はこちら
託児所付きネイルサロンから考えるこれからの保育

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