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障がいのある子どもの保護者との信頼関係の築き方

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障がいのある子どもの親は、子どもが幼少期のときほど障がいについて受容できていない方が多くいると感じます。わが子の子育てに不安を持っている保護者に対して、保育士はどのように関係を築いていけばよいのでしょうか。

保護者と接するときに大切になってくるのが、コミュニケーションの機会を増やし関係性を築いていくことです。保護者とのかかわり方のポイントを事例とともにお伝えします。

わが子に障がいがあると知ったときの保護者の気持ち

障害のある子の保護者対応 気持ち

わが子に障がいがあると知ったときの保護者の気持ちを想像したことはありますか?気持ちを想像することで、より保護者の視点に立った考え方ができるようになるでしょう。

保護者はわが子に障がいがあると知ったとき、漠然とした不安に襲われます。

「障がいがあることを認めたくない。」保護者を見ているとまずは受け入れがなかなかできない方が大勢います。普通の子とは少し違うだけで、大きくなったら馴染める。そう自分に言い聞かせ、漠然と不安な日々を過ごしていたり、将来のことを考え落ち込んでしまったり…

他の子どもたちと比べてしまい、できないわが子に厳しく当たってしまうことも…できるなら普通の子と同じように生活をしてほしいと思うものです。

放課後等デイサービスと児童発達支援事業所を運営している中で、お聞きした保護者の声をご紹介します。

「何度言っても聞く耳を持たず、自分の子だと受け入れられない。」

「周りの子と比べ少し発達が遅れているだけで、成長してくれば普通の子と同じようになるのではないか。」

「正直、どのように子育てをすればよいのかわからない。」

「うちの子に対する周りのお母さんたちの目がとても冷たい。周りの目ばかり気にしてしまう。」

「自分の子育ての仕方が悪いのではないか。」

「できない所だけが目についてしまう。」

「この子が社会に受け入れられるか不安。将来のことばかり考えてしまう。」

不安ばかりでなく、ポジティブな意見ももちろんあります。

「個性を生かす生き方を見つけてあげようと思った。」

「私が最初にこの子の個性を受け入れないといけない。」

「障がいを持っても生まれてきてくれた。それだけで私は幸せ。」

わが子を受け入れようと葛藤する日々

最初はわが子の特性を受け入れられない保護者も、発達についての知識を勉強し徐々に受け入れようと努力していきます。

受け入れようと思うことに心の葛藤が何度もあります。受け入れまでの過程は、さまざまな所で研究されていますが代表的なフィンク(Fink)の段階理論をご紹介しますね。

1.衝撃(ショック) わが子に障がいがあるというショックから混乱状態になり、無気力状態に陥る段階
2.防御的退行 わが子に対する状況を否認したり、反対に願望のようなわが子が成長すれば発達的に追いつくのではないかと回復に対する期待を持つ段階
3.承認 いろいろな葛藤がありながらも、障がいについて理解をして少しずつ自分自身や子どもの状況を理解していく段階
4.適応と変化 現在の我が子の状況や自分自身を受け入れる段階

受け入れの段階として、認めたくない段階から認めていく過程はそれぞれで異なるでしょう。

最初は子どもの個性に振り回され、怒りが抑えきれなかったけど、最近は「まぁいいか。」と思えるようになったという方がいます。自分の心に整理をつける「まぁいいか。」という気持ちがとても大切だと私は感じます。

障がい児の保護者へのかかわり方のポイント

障害児保護者とのかかわり方ポイント

障がいがあることはわかっていても、受け入れられていない保護者も大勢います。まずはよい所を見つけ保護者に伝えてください。障がいのある子は保育士から見て、気になる部分に目がいきがちなこともあるでしょう。その子の持っている特性を理解し、保護者の気持ちに耳を傾けましょう。

家での育児の大変さや、こだわりや問題行動など、保護者からマイナスな発信があるときは気持ちを理解するよう心掛けてください。

保護者とかかわる上でとくに気を付けたいのは「~はできます。」「~はできるようになります。」と言わないことです。定型発達(発達が平均的な子)している子どもたちができることも、障がいのある子には難しいことがあります。「○○先生には~できるようになります」と言われたのですがと、保護者とトラブルになってしまうことがあります。

例:保護者への気をつけたい言葉がけ
「お話しができるようになりますよ。」
「落ち着いて座れるようになります。」
「成長してくれば箸で食べられるようになります。」など

保護者への報告の仕方~他児とトラブルがあったとき~

他児とトラブルがあったときを想定して事例をご紹介します。

事例1.信頼を損なう対応方法

障害のある子の保護者対応 かかわり方ポイント

まずは信頼を損なってしまう、悪い例からお伝えします。

保育士 今日、お友達とケンカがありました。天気がよかったのでお友達と外に行ったときのこと、A君は鬼ごっこがしたかったみたいですが、他のお友達はかくれんぼをしたかったようです。A君はお友達に鬼ごっこをしたいと伝えましたが、多数決でかくれんぼをすることになり、そのときにお友達に手が出てしまいました。

保護者 そうなんですね。お友達にケガはなかったですか?

保育士 ありませんでした。

保護者 よかったです。

保育士 叩いてしまった子の保護者にもA君に叩かれてしまったことを伝えました。

保護者 そうですか、親同士のつながりもあるのであまり言わないでもらいたいです。その後お友達とのケンカはありませんでしたか?

保育士 ありませんでした。

事例2.信頼関係を築ける対応方法

障害のある子の保護者対応 事例

続いて信頼関係を築ける事例を見てみましょう。

保育士 今日はA君、先生の書類を運ぶお手伝いをしてくれてとても助かりました。最近よくお手伝いをしてくれるんですよ。

保護者 そうなんですね、お手伝いをすると褒めてもらえるのがうれしいようで家でもよくやってくれています。

保育士 お手伝い上手ですね!今日の午後は、天気がよかったのでお友達と外に行きました。A君は鬼ごっこをしたかったみたいですが、他のお友達はかくれんぼをしたかったようで…A君はお友達に鬼ごっこをしたいと伝えましたが、多数決でかくれんぼをすることになったんです。そのときにお友達に手が出てしまいました。

保護者 そうなんですね。お友達にケガはなかったですか?

保育士 ありませんでした。そこで先生が間に入り、A君の気持ちを聞きました。A君の気持ちに寄り添い、「A君は鬼ごっこがしたかったんだね。お友達はかくれんぼをしたかったから、鬼ごっこできなくてイヤだったね。」とA君の気持ちを代弁し、「次は、もう1回言葉でやりたくないと言えたらよいね」とお話ししました。その後A君自身も納得し、叩いてしまった子にごめんなさいをしました。

保護者 家でも兄弟喧嘩が多くて、すぐに手が出てしまいます。家でも対応に困っていて、よい解決策があれば教えてください。
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保育士の対応として、本題から伝えるのではなくA君の普段の様子やよかった所から伝えてみましょう。A君と友達とのケンカは保護者が場面をイメージできるようになるべく詳しく伝えます。

事実のみを伝えるのではなく、A君が思った気持ちやケンカの後どのような対応をしたのかを伝えると保護者も安心しますし、保育士と保護者の事実関係のすれ違いも減ってきます。

悪い対応ではA君とどのような話しをしたのか、気持ちに寄り添った対応をしたのかを話していませんでした。保護者が知りたい情報ですので、保育士がA君にどのような対応をしたのかを話すことが今後の信頼関係を築いていけるかのポイントになってくるでしょう。

また伝える情報と伝えない情報をしっかりと区別することも大切です。「叩かれてしまった保護者の方に伝えました」という情報は保護者同士の横のつながりもあるのであえて言わない方がよいでしょう。

園全体としての配慮点

障害のある子どもの保護者対応_園全体の配慮点

園全体の配慮として、障がいがある子どもの情報共有をしておく必要があります。全職員が子どもの障がいの特性を理解し、支援のやり方を統一しておきましょう。

園の雰囲気作りも大切になってきます。障がいがある子どもは感覚過敏なことが多いので、やわらかい雰囲気を保てるようにしましょう。またリソースルーム(注1)を作り、全体の活動にスムーズに入れない子どもをリソースルームでもう一度詳しい内容の説明をしたり、個別の活動にしたりするなどの配慮ができるとよいかもしれませんね。

情報を共有し、支援の方法を統一することで、「障がいがあるとわかっている保護者へのかかわり方のポイント」で述べたような、「○○先生には~できるようになります」と言われたのですが…と、保護者とトラブルになることもなくなりますよ。

注1:リソースルーム:保育園、幼稚園に在籍する障がい児が、特別な教育サービスを受けるために通う教室。 クリニック、心理相談、通級指導など主に個別的治療、指導を行う場

障害のある子の保護者対応_かかわり方ポイント

保護者と信頼を築くにはまずは普段からの関係作りがポイントになってきます。保護者の悩み相談や子どものことなど、会話する機会を多くして、信頼できる保育士と思ってもらえるような対応をしていきましょう。

関係=信頼」だと思っています。事例にあったようなケンカの報告の仕方で悩んだときは、保護者に寄り添い対応をしましょう。しっかりと事実を伝え、どのように対応したのかを整理して気持ちを込めて伝えてください。

一所懸命さは保護者にきちんと届きます。トラブルがあったときは更なる関係性を構築するチャンスです。「伝えづらいな」「お話ししたくない」と思わずに、自信を持って伝えるようにしましょう。

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