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保育現場の人間関係を考える「対話が生まれる場づくりって?」~保育士13年目×4年目対談~

閉鎖的、年功序列、感情的、嫉妬・妬み、派閥争い……
こんな「人間関係」の壁に悩んだことのある保育士さんはいませんか?

子どもが大好きで一生懸命資格も取ったのに、「人間関係」が理由で退職してしまうのが多いのも保育業界の悲しい現実です。

今回は保育コミュニティを運営する現役保育士のお二人に「保育現場がよりよくなるためのコミュニケーションのあり方」について語ってもらいました。
キーワードは【対話】
みなさんにとっても「明日の保育がもっと楽しくなる」ヒントが見つかったら幸いです。

保育士13年目✖保育士4年目が語り合う

お話をいただいたのは、こちらのお二人の現役保育士さん。

保育士13年目の久保田修平さん

久保田修平さん(以下、修平さん):
都内の認証保育所に勤務する、現在3歳児担任の保育士。
保育者歴13年で、そのうち2年は世界一周しながら世界の保育を見てきた。
aurora journey -保育の世界を旅してみよう-」代表。現在はそのうちの研究会部門「えどぴ -保育の専門性を高める会-」のイベントに向けて奔走中!

保育士4年目高泉潤さん

高泉潤さん(以下、じゅんさん):
都内の保育所で働く、現在3・4・5歳児(縦割りクラス)の担任。
保育士4年目。
若手保育士の集まり「ぱれったぶる」を主催。

ぴよまる先生

お話を聞いたのは元保育補助のほいくらいふ編集部。
異業種から保育の世界に飛び込んだものの、やはり人間関係につまづきました。
今回はそんなお二人に「保育士ならでは!」なコミュニケーションのつまづきポイントをお悩み相談をもちかけるような形で聞いてみました。

※この記事は2020年9月におこなった取材に基づいています。

「園長がトップダウンで困るんです…」安心できる場づくりは?

ぴよまる先生

本日はよろしくお願いいたします!
さっそくですが最初のお悩みです。
「園長さんがパワーをもちすぎていたり、発言力のあるベテラン先生に若い職員が委縮してしまう」という現場は多いようです。
どうしたら良いでしょうか?

修平さん:
園長がトップダウンだからこそ実現できた素晴らしい保育もあるとは思いますが……。
それで委縮させてしまうようなら、それは心理的安全性(※1)が保たれているとは言えず、あまり健全ではないですね。
ここはぼくもこれから研究していきたいテーマでもあります。
一つの手段として、「外部から第三者を呼んで、客観的に整理してもらう」というのも手ですよね。

じゅんさん:
僕は相談する時は、価値観の合う、系列園の先輩や研究会の外部のつながりを頼ったりもしますね。園の外につながりをもつことで助けられることは多いです。

※1「心理的安全性」とは
チームのメンバーが、バカにされたり批判されたりすることなく、安心して発言したり振る舞える状態。
そしてそれがメンバー間で共有されている状態であること。
誰もが役職に関係なく、フラットに安心して話し合える状態を「心理的安全性が高い環境」だと言う。

「中立的な立ち位置で、自分の意見を伝えつつ、対話を引き出す」

会議など誰もが安心して発言できる場

修平さん:
一緒にコミュニティでトークイベントなどをしている時、じゅんくんの「中立的な立ち位置で、だけど自分の意見はしっかり伝えて、相手の言いたいことも引き出していく」話し方をすごく尊敬しているんだよね。心地よい!
これは主任などの中間に入る人には求められてくるスキルなのかもしれない。

じゅんさん:
ありがとうございます。
のちほどお話もしますが、仕事だけでなく、運営しているコミュニティでも場数を踏んでいくことができました。
ファシリテーション(※2)の力はもっと磨いていきたいと思います。

※2「ファシリテーション」とは?
話し合いなどの場で、目的に向かってメンバーの参加・発言を促していくこと。

修平さん:
テクニック的なことだと、話し合いの場をワーク形式にしたり、軽食やおやつを用意したり……。
あとは、話すことが苦手な人でも案外「ふせんに書き出す・文字化する」のが得意だったりします。
ただ会議のように「ハイ、発言してください」という形式ではなく、こういった環境づくりも意外と重要だね。

「動き方が分からない…」実習生・保育士1年目はどう動くべき?

ぴよまる先生

実習生や新人保育士さんは「動き方が分からない」という悩みをもたれる方も多いようです。

修平さん:
これまでもたくさん実習生を受け入れていますが、受け入れる側としても意識しているのは「時間を作って話を聞く」「よく観察する」ことかなと思います。
「積極的に質問してくるタイプの学生さんかな」「それともあまりこちらからグイグイいくとやる気をなくしてしまうタイプかな」なんてことをよく見てあげないといけない。これは子どもと接する時も同じですよね。
実習生・新人さんには新人さんの良さがあって、ぼくらも気づきや学びがあるんです。ぜひ尻込みせずに質問してきてほしいし、こちらもそれを大切に受け止めたいと思います。

「まずは一日の生活の流れのイメージをもってみる」

えんぴつ
じゅんさん:
「どう動くか分からない」とも聞かれますが、実は園生活って思った以上に「日課」といって時間できっかり進んでいくんですよね。
それを「生活の流れのイメージ」そのものがもてない中、「何をどうしたらいいか」、「誰と一緒になって動けばいいか」を察して動くというのは、実習生・1年目の方にはすごく難しいことだと思います。
だからアドバイスするとしたら「まずは1日の生活の流れをつかむように」でしょうか。
先輩保育者側ももっと一日のリズムを可視化するとかフォローできれば良いのかな、と。

修平さん:
そうだね。ぼくの知っている園では、実習生にあえて「子どもと遊ばないで」ってアドバイスするんだって。
「動かなきゃ! たくさんの子どもの相手をしなきゃ!」と慌てがちな実習生に、まずは俯瞰して保育の全体を見渡す力を付けて欲しいというねらいがあるみたい。

「この人合わないな……」と思ったら?

ぴよまる先生

最後に。「保育観が合わなかったり、こちらがどんなに努力しても陰口を言われてしまったり、どうしても苦手な人がいます」というお悩み。
それが原因でつらくなってしまう……なんてこともありますよね。
お二人はそんな人に出会ったことはありますか? そう悩んだ時はどう解決しましたか?

修平さん:
そういった方は……やっぱりいました。
どんなにこちらが丁寧な説明をしても、間反対にとらえられてしまったり、攻撃的であったり……。不協和音になってしまって、「どうもリズムが合わないなぁ」と言った感じ。
一つの考え方は「今はそのタイミングじゃないんだな、時が解決してくれるだろう」と思うこと。

じゅんさん:
「保育の世界では……」と考えるのではなく、普通の社会の単位で、と視野を広げてみると「自分と全く同じ考えを持っている人」の方がむしろ少ないじゃないですか。
それを「保育だから」と思いこむことで苦しくなることはある。

「この人は保育観は合わないけど、友だちとしてならやっていけそうだな」とか「保育の方法は違うけど、子どもにどう育ってほしいかのゴールは一緒なんだよな」とか、少しずつ考え方をずらしたり、共通点を見つけていくことで楽になれることもあると思います。

ただ「ここだけは曲げられない!」という時もあると思います。
そういう時は真っ向から対立するのではなく、じわじわと落としどころを見極めていったり、時として話し合いの場の環境を変えてみたり。賢く、戦略的に立ちまわることも必要かもしれません。

修平さん:
いずれにしても、相手が「絶対悪いんだ!」という極端な考え方をこちらがもたないことが大切だね。
「10人いたら10通りの保育がある」くらいの心もちでいたいですね。

「一人じゃない、どこかには同じことを考えている人がいる」

悩む人
修平さん:
ぼくは保育士生活8年目で、世界の子育てや保育を見るために世界一周の旅に出ました。
日本にいた頃は、「子ども主体の保育がしたい!」と思いながら、なかなかうまくいかなかったこともあったのだけれども、世界に出てみたら「子ども主体の保育」が実現できている国がたくさんあったんだよね。
「なんだぁ。同じことを考えている人はこの地球上のどこかにいたじゃん!」って。

ぼくが職場以外でも「保育」について考えられるコミュニティをやっている理由の一つだけど、「どこかには同じことを考えている人がいる」と思える場所、そういった人と出会える場所が必要に感じています。

だから、「分かってもらえない」「どうしてもつらい」と思っている方には、「同じことを考えている人は一人じゃないよ」と伝えたいですね。
今いる場所にとらわれずにフラっと旅に出てみたり、世界に出なくても身近な地域やSNSを使って、出会ってみたりすることで何か変わるかもしれません。

他者と、自分と、対話しよう

ぴよまる先生

なるほど~、「職場以外の場をもつこと仲間を作ること」は重要な視点ですね。
「つらい→視野が狭くなる→もっとつらい」という負のループから抜け出すヒントになりました。
改めてお二人の職場以外の活動についても少し教えていただけますか?

修平さん:
「えどぴ」では「保育の専門性を高める」ことに重きをおいた研究会・研修を主に行っています。
保育士さん達が集まって、話し合ったり、「自然保育」などとテーマを決めて学びあったり。
時には異業種……たとえばいろんな政党の政治家を招いてお話を聞いたりしたこともありました!

じゅんさん:
ぼくは、えどぴさんの活動のお手伝いもしていますが、若手保育士が気軽に集えるコミュニティ「ぱれったぶる」も主催しています。

これまでは、あえて「保育」から離れたような活動をしてもきました。
カメラとか映画とかカフェとか……「保育士の自己充実」は一つのテーマです。
「まずは自分が満たされていないと良い保育はできない」という思いからです。
「一人じゃ入りにくいオシャレなカフェ気になっていたんだよね、……じゃあみんなで行ってみよう!」くらいのノリの時から、郊外の面白い保育実践をしているところへ小旅行してみようという時まで。
敷居を低く、保育者同士で仲間づくりができたらなと思っています。

~対話しよう 子どもが笑い、地球が輝く~

えどぴフォーラムイベントの案内

ぴよまる先生

2020年9月19日(土)に開催される「 えどぴフォーラム ~対話しよう 子どもが笑い、地球が輝く~」について少し教えてください!

修平さん:
これまでの活動やできた仲間の展覧会のような、そんなオンラインイベントです。
1年前から企画しており、「会場を借りて、みんなで集まって」ということを想定していましたが、コロナの影響でそれは難しくなりました。
そこで、greenz.jpの鈴木菜央さんや汐見先生が代表を務める「ぐうたら村」の共同代表・小西貴士さんをはじめとする豪華なゲストも招いて、20番組をZOOM(ビデオ通話)で繋いで実施します。

じゅんさん:
イラストレーターの方を招いた「おたよりの書き方」といった保育のためになることや、フェアトレードの珈琲の話を聞ける番組、エコについて若手保育者が考える番組なんかもあります。
本当にたくさんの方が関わってくださったので、ぜひ気になったテーマを覗いてみていただけたらと……!
みなさんにとって、すてきな出会いがあれば嬉しいです。

ぴよまる先生

テーマに対話とありますが、イベントには「対話」が生まれるようなどんな工夫があるのでしょう?

じゅんさん:
オンラインといっても、ビデオ通話にしてみなさんと話しあったり、チャットで質問ができたり、双方向のイベントになるようにしています。
「座学の研修で手を挙げて質問するのは恥ずかしい……」と言うタイプの方には嬉しいですよね。(笑)

修平さん:
また、「他者」との対話だけではなく、「自己」と向き合った対話も一つのテーマです。
たとえば、イベントの最初と最後はヨガをして、深く呼吸をしてみたり……。
普段お疲れで、子どものことで頭がいっぱいになりがちなみなさんに、ぜひ自分をねぎらって、褒めてあげるプレゼントのような時間になればと。
そうしてまた明日からの「保育」に楽しく向き合っていけるようなイベントになるよう頑張っています。

ぴよまる先生

ぜひこのイベントで生まれた出会いや発見も「ほいくらいふ」に教えてください。
今回はありがとうございました!

<イベント概要>
第1回 えどぴフォーラム ー対話しよう 子どもが笑い、地球が輝くー
●特設サイト:http://edopiforum.aurorajourney.com/p/vol1.html?
●日時:2020年9月19日(土) 10:00〜17:30
●場所:Zoomによるオンライン配信、少人数限定観覧会場あり
●参加費:ドネーション制
●対象:保育・子育てに関心のある方

参考文献

  • 三沢良・森安史彦・樋口宏治(2020)「教師のチームワークと学校組織風土の関連性 : 「チームとしての学校」を実現するための前提の吟味」『岡山大学教師教育開発センター紀要』 (10), 63-77.
  • FAJ:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会「ファシリテーションとは」(2020/09/15)

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