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最近の風潮から保育園の在り方を考える~病児保育編 子育て・仕事で板挟みの母親~

保育ニュース

いちごいちご

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前回は、育児休暇中の二人目産後保育についてお伝えいたしました。今回は、ドラマ化され社会でも注目されている”病児保育の利用について”一緒に考えてみましょう。

以前勤めていた保育園は病児保育施設が併設しており、子育て支援として保健師・保育士が一環となった保育を行っていました。その経験から、母親の想いや病児保育についてお伝えできればと思います。

>前回の記事『育児休暇中の二人目産後保育』

子どもの具合が悪い!明日はどうしても休めないのに…

子育てと仕事_子どもの熱

「明日は大切な仕事。育児休暇明けにはじめて任された大切なプレゼン。なのに、なんだか子どもが具合が悪い。鼻水も咳も出ているし、いつもよりグズグズしていて機嫌も悪い。今晩あたり熱が出そう…」

大事な日に限って具合が悪くなることってありますよね。職場に着いてすぐに「熱が上がっているので、お迎えに来てください。」と呼び出しの電話があることも…。

「子どもが熱を出したので休みます(帰ります)」という肩身の狭さや心がギューっと苦しくなるような気持ちを、働く母親なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

母として社会人としての葛藤

子育てと仕事_母親の葛藤

「子どもの具合が悪いのは十分わかっている。でもこの仕事を今日やりきれば職場に迷惑をかけずに済む。」多くの働く母親は、具合の悪い我が子を想いながら、職場に迷惑をかけてしまう罪悪感や、社会人として自己実現ができないことへの閉塞感を感じて、心に小さくないダメージを負ってしまいます。

「母親なんだから、子どもを優先するのが当たり前」「社会人なんだから家庭の事情を仕事に持ち込むな」という目に見えないプレッシャーの板挟みにあいます。そこに加え、核家族化により祖父母など身内の協力や父親の協力が得られないことなども大きなストレスとなるのです。

心の葛藤を抱えたまま病児保育を利用

子育てと仕事_天秤

「具合の悪い我が子を預けてまで仕事が大切なの?」病児保育をいざ利用するとなると、親として心の中で一番葛藤する感情でもあり、周りからの冷たい視線を感じてしまいがちな部分でもあると思います。

実際に病気の我が子を目の前にし、本当ならそばに付き添って看病してあげたい。しかし「仕事」というのは、その人の置かれている立場・状況・人員配置などにより、どうしてもその日に自分にしかできないこともあるのが現実ですよね。

独身の時とは違う生活パターンの中、職場に精一杯迷惑をかけないよう変わらずに仕事をこなし、職場の期待に応えようと努力する。そんな中、思いもよらない子どもの体調不良。保育園からの呼び出し電話は、せっかく積み上げたものが一瞬にして崩れ去るような破壊力を持っています…。

たった1時間でもいい1日だけでもいい、そんな藁にもすがるような切実な思いで、病児保育を利用している、そんな母親の苦しい胸の内、病児保育の必要性をもっと世間に知っていただけたらと切に願います。

特に世の中の父親、会社の上司の方々、病児保育がなかった時代に「自分一人で子育てしてきた!」と豪語する女性、祖父母などの協力を当たり前に得られた立場の働く女性たち…。世間の冷ややかな視線や言葉が、働く母親をますます苦しくしているように思えてなりません。

病児保育を利用することと仕事の両立については賛否両論さまざまな意見がありますが、決して育児を放棄しているのでもなく、仕事と育児を天秤にかけているわけでもないのです。

保育園に求められること

子育てと仕事_保育士ができること

子育てと仕事で悩む母親に、保育士としてできることは何があるのでしょう。

全国の病児保育施設の数は、1610か所(病児保育事業について:平成25年内閣府)。病児保育が併設している保育園はもっと少ないため、病児保育の現場に携わることは少ないかもしれませんが、園児の具合が悪くなり保護者に連絡をする場面は多く、電話をすることに慣れてしまっている方もいるのではないでしょうか?

今一度、働く母親の気持ちや置かれている立場を考えてみましょう。

・職場によっては、有給があってもとれない
・核家族化により祖父母や親戚の育児への協力が得られない
・シングルマザーで頼れる身内がいない
・パートタイムや契約社員で欠勤すると給料が得られなくなる、有給がない
など。

勤務形態の多様化について本当に理解できているか、もう一度各家庭の事情を十分理解した上で、電話対応など行ってみてください。ちょっとした言葉が母親の心をほっとさせてあげられるかもしれません。

保育園では、体調不良の子を預かることは難しいですが、母親の日々の頑張りをぜひ受け止め支えてあげられるような拠り所であって欲しいと思います。

保育士として働いている時にはなかなか他職種の現状に気付きにくく、なぜ保護者が「すぐ迎えに来られないのか」「1日くらい休めないのか」など、つい園児主体で物事を捉えがちです。

しかし、保育士はチームで仕事をしているので、他職種よりも子どもの都合による休暇には比較的柔軟に対応してくれることが多いように思います。保育園という狭い世界の中に留まらず、広い視野を持つこと・広いアンテナを張ることがどんな場面でも大切だと、保育園という現場を離れて改めて感じています。

それが、いろいろな立場の保護者を支えていく保育士として、とても大切な能力であるとも思います。

そして、働く母親としての保育士も決して楽ではないことも事実です。以前勤めていた園の先輩ベテラン保育士の方々は、ご実家の協力があって働いている方が多かったので、核家族で協力を得られない自分には本当に葛藤の毎日でした。

保育士として働く母親の方々にも、もっと子育てをしながら働きやすい環境が整い、今一度職員の勤務や環境について見直すきっかけになっていただけたら嬉しく思います。

これからの社会に望まれること

子育てと仕事_父親の協力

女性が子育てをしながら社会で自分自身の能力を最大限に発揮して働くということは、まだまだ厳しいのが現実です。病児保育も、なくてはならない子育て支援の一つだと思います。

・病児保育の施設の充実
・病児保育の利用枠拡大
・保育園における病児保育施設の併設
など

病児保育がもっと利用しやすくなるような改善が望まれるでしょう。一方で、本来は病児保育がなくても、子どもに合わせて仕事が休みやすい社会になっていくことが理想であるとも言えます。

そのために、
・父親の有給休暇取得
・看護休暇の充実
・職場側の柔軟な体制
など
「母親だけ」が子どもを育てる風潮を少しずつ改善していけるような社会の仕組みを築いていく必要があります。

男性の育児休暇などはまだまだ取得率も低いですが、社会全体で子どもを育てていけるようにするために、まず一番身近で大きなパワーを持っているのは父親です。また、「看護休暇」など、子どものために休みをとることが制度として保障されていると、より休みやすくなります。

企業努力が大いに望まれますが、ぜひ男性も子どものために休みを堂々ととれるような仕組みができるとよいですね。

病児保育というテーマを通して、子育てのいろいろな大変さが見えてきます。子どものために休みをとること、病児保育を使うこと、社会全体で子どもを守る仕組み…さまざまな子育てに優しい制度が整い、日々の子育てがより楽しい社会になっていくよう、子育てを頑張る母親、保育士と手を取り合って子どもたちを育てていきましょう。

次回は【最近の風潮から保育園の在り方を考える「一時保育」編】をお伝えします。

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この記事を書いた人

いちご
発達支援の保育の仕事をさせていただきながら「メモリープランナー」として、地域のママたちが子育てを楽しめるようなイベントを企画したり、場所作りをしたりしています。 イヤイヤ期真っ最中の2歳児と反抗期真っ只中の中学生の2人の子育てにも日々奮闘中です。→ブログはこちら
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