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全国初!東京都荒川区が公園内に保育所を開設する理由とは?

平成27年4月に子ども子育て支援新制度が導入され、待機児童問題についてもますます注目が集まる中、東京都荒川区では待機児童解消に向け、全国で初めて公園内に保育所を開設することとなりました。

公園内に保育所を設置する理由は何か、現在の待機児童の状況はどうなっているのか、荒川区子育て支援部・保育課長の上田望さまに伺いました。

平成28年の待機児童解消はかなり厳しい…

平成26年度の待機児童数は減少!東京都23区内で2位

【東京都荒川区年度別待機児童数】

平成23年度 39人
平成24年度 46人
平成25年度 37人
平成26年度 8人
平成27年度 48人

【参照元:平成 27 年度 第 1 回荒川区子ども・子育て会議】

―――平成25年4月には37人だった荒川区の待機児童数が、平成26年には、8人まで減少したとあります。約30人も減った理由をお教えください。

当時、待機児童数が特に多かったのは、南千住駅付近の汐入地区です。汐入地区では都立公園を整備したり、集合住宅を作ったりと再開発を進めたことでファミリー世帯が増え、小学校や保育所が足りなくなっていました。

小学校は緊急的にプレハブを作って対応していたのですが、その後小学校を増やしたことによりプレハブが空きました。平成26年に待機児童が8人まで減ったのは、その余裕教室に保育所を作ったからです。

他にも、神社の駐車場を区が借り受け、定員最大200人まで入所できる保育所を開設できたことが待機児童解消につながった大きな理由ですね。

平成27年度の待機児童数は増加

―――平成26年の8人から翌年は48人まで増えておりますが、その理由はどのようにお考えでしょうか?

集合住宅が増えたことや女性の社会進出が進んだことなど、さまざまな理由が考えられますが、大きな理由は前年度に待機児童数が8人まで減ったことで、「荒川区は保育所に入りやすい」と考え、転入してきた方が多くいることだと考えています。

実際に区役所の窓口でも「荒川区は入りやすいと聞いて引っ越してきました。」「引っ越しを考えています。」という声がたくさんありました。

平成28年、現在の待機児童数は?

―――現在(取材日平成28年2月時点)の待機児童数はどのくらいですか?

定員の枠も0、1歳児を中心に増やしていますが、増やした以上に申し込みが来ている状況で、平成27年度から更に150人くらい申込者が増えている状況です。

―――やはり0、1歳児の申し込みが多いのですね。

今年は特に0歳児の申し込みが多いですね。1歳児からだと入りづらいという考えから、早め早めに申し込まれる方が増えていると感じます。

―――待機児童数が増えている現在、どのような対策をされていますか?

保育所の開設までは長いと数年時間がかかってしまいますので、今は更に先の年を見越して建設用地や空きスペースなどを探しています。昨年取得することができたファミリーレストランの跡地での建設計画も進んでいますが、最短で取り組んでも平成29年4月の開園となりますので、今年が厳しい状況になっているのが現状です。

こうした状況を受け緊急的な対策として、区役所近くのビル内への保育所整備や、既存保育園に保育士を増員して定員拡大を図るほか、保育所以外にも家庭的保育事業にも力を入れるなど、平成28年度のための対策もしております。

家庭的保育事業とは:保育ママ制度とも言い、区市町村の認定を受けた家庭的保育者の居宅やその他の場所において保育を行う事業です。
急激に転入者が増えたことなどで待機児童の解消が厳しい状況でも、今できることをさまざまな方面から考え、取り組まれていることが分かりました。その背景には、荒川区の西川太一郎区長の「子どもは未来社会の守護者である」という言葉の下「困っている保護者や未来を担う子どもたちのために」という思いがあるそうです。

―――保育所を新設する以外にもさまざまな取り組みをされておりますが、全国的に待機児童が減らない原因をどのようにお考えですか?

いろいろな分析をしてみましたが、先程もお伝えしたように複数の要素が絡み合っていることがわかりました。預けられるなら働きたいという方が増えてきていることも要因のひとつですし、東京特別区としての大きな問題は、人口が流入していることが挙げられるでしょう。

―――東京の中でも特に23区は人口が多いですよね。保育所の増設とともに保育士の確保も大変ではないですか?

社会福祉法人だけでなく、株式会社が運営している保育所など、どこも保育士の確保には苦慮されていますね。保育士の確保については国を挙げて対策を考えているので、区としてはその対策を最大限活用しながら保育士の就労支援・処遇改善などを行っていく考えです。

―――具体的にはどのような支援をされているのでしょうか?

保育士などの処遇改善は、ここ数年取り組んできております。また、民間の保育事業者が雇う保育士さんを宿舎に入居させる場合、その費用を補助する”保育従事職員宿舎借り上げ支援事業”を28年度から始める予定です。

保育所を増やすための最終手段は”公園”しかなかった

荒川区公園内保育所_
汐入公園内

荒川区 都立汐入公園内。住宅街の中にあるとは思えないほど広く、緑がたくさんあります。

―――待機児童解消のために保育所の開設や保育士さんの確保をされていますが、今回なぜ公園に保育所を開設することになったのですか?

荒川区の面積は東京都23区の中で2番目に小さいので、保育所を建設できる用地が限られてきます。ビル内の一角や、神社の駐車場を借り受けての整備、区有施設の有効活用などあらゆる手段を駆使して対策を行ってきましたが、それでも足りません。他に広い場所と言ったら、もう公園しか残されていなかったのです。

―――そもそも公園には法規制があり、保育所の建設は認められなかったと思うのですが…

何とかその規制を緩和できないかと職員のみんなで考え、国家戦略特別区域法という制度の規制緩和について内閣府に提案しました。

公園内に保育所を作ってはいけない理由のひとつに、どのような方でも利用できるようにするという公園の考え方があります。そこで考えたのが、「地域に開かれた保育所として運営していくこと」です。

現在の保育所は入所者以外の方にも活用していただけるよう、子育て支援として園を開放しています。今回の保育所でも「子育て交流サロンを作ったり、屋上を一般開放したりすることで、さまざまな方に利用していただく」と提案するなどの工夫をしております。

国家戦略特別区域法とは:国家戦略特別区域(経済社会の活力向上のため、産業の国際での競争力を高めるとともに海外企業を誘致することを目的とした地域)において、規制改革やその他の施策を総合的に推進するために必要な事項を定め、経済の発展及び生活の向上に寄与することを目的として定められた法律です。
荒川区公園内保育所_建設予定地

都立汐入公園地図。保育所の建設予定地。

―――その中でも都立汐入公園が選ばれたのはなぜですか?

汐入地区は再開発が進んだことで保育所の需要が多くあったこと、待機児童解消の緊急策で保育所として活用していた、小学校の余裕教室もいつまでも使い続けるわけにはいかないことなどの理由から、都立汐入公園を候補とし、東京都と調整を行ってきました。

―――現在ゲートボール場として使用されている場所に開設する予定だそうですが、公園利用者や近隣の方から反対の声はありませんでしたか?

もともと再開発の段階から防災拠点として整備された公園ということもあり、抵抗があった方もいらっしゃったと思います。「いつまで建てておくのか」という質問もいただきました。

現時点でいつまでと決めてはいませんが、10年単位でその都度保育の状況を考え継続を検討していく予定です。住民説明会を開き住民の方の疑問や不安点に応え、ご理解いただけるよう努めていきます。

―――ゲートボールをされていた方にも説明会を通してご理解いただけるように努めているのでしょうか?

ゲートボール団体の方にお会いして、説明しご理解いただけるよう取り組んでおります。

地域の方とも交流ができる保育所の屋上

荒川区公園内保育所_ゲートボール場

建設予定地のプレイグラウンド

保育所の開設後もゲートボールが行えるよう、屋上に2面分のコートが取れる広さを確保する検討をしているそうです。

―――屋上の一般開放にあたり、保護者の方の立場から考えると警備面が心配ではないでしょうか?

基本的に屋上に鍵をつけ、園が管理をするようにします。未定ですが、予約制にして使用できるようにするなど、安全面にも配慮しつつ事業者と調整を行っていく考えです。

―――いつでも誰でも使用ができるわけではないのですね。

基本的に、保育園が開いている時間帯のご利用を考えています。

公園全体が園庭になる

荒川区公園内保育所_ふれあい広場

建設予定地の目の前のふれあい広場

―――公園内に保育所ができることのメリットをお教えください。

保育所側のメリットになりますが、目の前に大きな公園があることで、いつでも遊びに行けることですね。他にも、住宅街での保育所建設は、子どもの騒音問題が懸念されます。

また、他の自治体では、実際に住民からの反対で建設がストップした事例もあると聞いているので、公園内だとその点の問題は少ないかと思っています。

―――逆にデメリットはいかがでしょうか?

保育所の運営者にとっては、通常の区有地などに建てるのとは違ったところでの不安はあるでしょう。一般開放や公園利用者との関係、防災拠点としての汐入公園の役割を考慮した災害時の対応など、デメリットではないですが、考える部分は多々あると思います。

自転車で地域を巡り保育所の用地を探す!

荒川区公園内保育所_完成予想図

保育所完成予想図。※保育園の名前や外装は検討中とのこと。

―――最後に待機児童解消に関する今後の取り組みについてお聞かせください。

現在も行っていますが自転車で区内を走りながら用地を探すことや、認可保育所以外にも認証保育所や保育ママさんの制度など、あらゆる制度を活用しながら課題を解決していき、4月の開設にこだわらず、年度の途中でも開設できるようできるだけスピーディーに進めていきます。
—————————————
全国初の取り組みとなる公園内の保育所開設。開設への反対の声も多かった中、設置するにいたった理由には、やはり待機児童問題が背景にあります。待機児童数が一向に減らない理由は、ひとつではありません。公園内に保育所を開設する取り組みは、荒川区以外にも品川区や世田谷区でも行われており、今後も待機児童解消に向けたさまざまな取り組みが予想されることでしょう。また、地域の方との交流機会が多くなることが予想される公園内の保育所。働く保育士さんにとっても、今まで以上に子育て支援などを考える良い機会につながるのではないでしょうか?

本日はありがとうございました。

今回取材させていただいた方 ●上田望さま
平成9年 荒川区役所入庁。福祉、教育、人事などの部署を経て、平成25年4月より子育て支援部保育課長。

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コメント

  1. 匿名さん(2016年7月2日)

    いままで大目に見てきた車での送迎や騒音はこれからはすぐに電話で苦情をいう。
    警察を呼んで取り締まりをさせる。

    迷惑なだけ。

    自分勝手な親には腹が立つ。

  2. 匿名さん(2016年8月25日)

    いいよ

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