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保育士の労働条件の改善のためにできること~介護・保育ユニオンに聞く~

保育士は労働時間が長く、残業代が支払われないことや休憩が取れないことが多いなど、働く環境が非常に悪いと言われています。深刻な保育士不足を解決するためには保育士の労働環境の改善が必要です。

今回保育士の労働条件の改善のため、保育士の働き方の相談や問題解決に取り組んでいる介護・保育ユニオンの池田一慶さんに、これまでの相談内容や労働条件の改善方法について話を伺いました。

働く人のための介護・保育ユニオン


——— 介護・保育ユニオンとはどういった団体ですか?
 
総合サポートユニオンの支部で、労働条件を改善するための交渉をサポートする団体です。個人で労働組合に加入して事業所と交渉をするのですが、労働組合というとなかなか馴染みは薄いかもしれません。労働組合は労働条件の維持改善を行う活動をするなどの団体で、賃金を受けている人には誰にでも作ることができるものです。その活動のサポートとして働き方の悩み相談を受けていますが、保育士から相談される悩みの9割近くが、休憩が取れない、残業がある、持ち帰りがあるといったものです。サービス残業があるから賃金を請求する、ということは勇気がいることでなかなか出来ないと思います。しかし組合という権利を使用すれば、雇用者は話を聞き交渉しなくてはなりません。

——— 労働組合というと企業内でつくる印象でした。個人加盟という形もあるのですね。

労働組合はまだ日本社会にはなかなか根づいていないものです。世の中では、企業内の組合が、春闘で年に一度賃上げを企業に対して一斉に求める、といったようなイメージがあるかと思いますが、世界でみると労働組合は個人加盟が通常です。保育の業界でも、事務と保育と栄養士とそれぞれの業務で組合をつくっています。日本の民間労働組合も1人から入ることが出来ます。

保育士の労働環境について


——— 保育士の約半数が毎日1時間程度の残業をしていると言われていますが、残業などの労働環境についてのご相談などは多いでしょうか?
 
2日に1件ほどの問い合わせがあります。保育園の運営形態で言うと、企業からの問い合わせが多いですね。やはり営利目的で運営していることが理由です。問い合わせのポイントは労働基準法違反が80%以上ということです。労働基準法とは、国が決めている労働基準の最低基準であり、国や労働基準監督署をもって違反を取り締まることができます。そのためこの労働基準違反の問題は必ず解決することが出来ます。賃金未払いでも、悪質な場合は書類送検などもあります。
 
相談内容は「残業代が支払われない」「補助金が下りてこない」「休憩が取れない」といったものから、「自費で必要なものを買う」「給食が少ない」などの相談もあります。これらの問題も違反を証明できるものを揃えて、正しい手順を踏み組合で行えば解決することができます。
 

——— 相談される賃金未払いは、1人あたりだとどのくらいの金額になるのでしょうか?

相談された内容で平均すると、1人1年間で50万円程度でしょうか。賃金未払いは2年間で請求できますので1人100万円ということになります。他の業種の相談も受けていますが、印象としては、保育園では労務管理が出来ていないところが多く、賃金の計算をきちんと出来ていません。保育園の場合はタイムカードがあるのに支払いをしていない、給与明細と残業の単価が違うといったこともあります。園長も保育園を頑張って運営していても、労働法規について知らないまま運営してしまっていることがあります。
 
——— 残業がつかない場合や休憩が取れないとは具体的にどのような相談でしょうか?

まず、労務管理が間違っているいうことです。タイムカードがある保育園が少ない、もしくはあっても正確な保育園が少ないです。賃金は正確に支払わなくてはなりません。残業については申請制が多いと思いますが、申請は保育園のルールに従う場合、例えば「保育の時間は残業を付けてもいいけど、それ以外は駄目」といったルールがあるところもあります。事務作業や行事の準備、制作などは残業を付けれないこともあります。例え雇用条件に入っていたとしても、「保育園はそういうものだ」といった習慣があると聞きますね。
 
また、休憩時間は業務から完全に解放されている時間です。ですので、保育の現場では午睡チェックや事務作業を休憩時間に行う場合、休憩が未取得になります。先程の賃金未払いの金額を一月で計算しきちんと支払われた場合、月に給与が5万円追加され、休憩も1時間取れるようになり、心のゆとりができます。ゆとりがない状態というのは、人間関係も壊れやすい。人間関係が壊れてくることで保育の質も落ちてしまいます。

労働条件の改善のために

——— どうして労働基準の違反が生まれるのでしょうか?

労働基準法違反の大きな原因は配置基準だと考えられます。配置基準というのは、保育の質を保つための最低基準であり、休憩時間中の人数を考慮していないため保育士は休憩を取りにくいです。また新保育制度になり事務処理が増え、運営時間も延びています。そうなると保育園の運営がますます困難になり、園長先生が一生懸命運営をしようとしても、人間関係もギスギスしてしまうということが増えてきます。以前は担任の先生には1年目の先生はつかせなかったり、保護者対応も1年目の先生には一人ではさせていませんでした。今はそういうこともできなくなり、新人の先生がつらい思いをすることもあります。
 
——— ユニオンに相談があった場合、どういった手順で問題を解決していくのでしょうか?

まず職場の環境について配置人数や園長の年齢などをヒアリングし、雇用契約書や給与明細を確認します。情報を集めていくと、法律的に違反しているところが出てきます。その情報を整理し、労働条件についての改善意見を相談者とユニオンのメンバーで準備します。その意見をまとめ、要求書という形で書面にします。要求書を作成しながら労働組合について学習し、必要な証拠を集め、申し入れをして園側と交渉していきます。
  
園側との交渉は専門スタッフと、他の職場の保育士も一緒に交渉します。自園だけなく他の園の保育士もいるので心強いですね。交渉はスムーズにいくと1回で終わり、時間がかかる場合は市役所や労働基準監督署に相談します。園もこれまで当然だと思っていたことが間違っていたと認識でき、これからは現場の保育士と一緒に運営を頑張っていこうという考えに変わります。園も社会的信用がありますので、誠実に対応してもらうことが出来ます。
 
一度園側と交渉すると、保育士と園と対等に話せる環境ができます。制作や事務作業も残業が支払われ、心に余裕ができ始め、保育士にとって働きやすい環境になります。さらに園の課題についても保育士と園とで話し合い、良い保育園を作っていけるようになると思います。
 
——— 保育士の労働環境の改善のためには何をすれば良いのでしょうか?

保育士は今の状況に不満があっても、なかなか勇気をもって相談することができないと思います。私は保育士が辞める時期が2つあると思っていまして、始めは新卒の時期で、自分に自信をなくしたり、体調を崩したりすることが原因だと考えます。また30歳になる前にも辞める人も多いと思います。仕事にも慣れこのままでいいのかという考えが生まれたり、結婚や出産で辞める人もいます。本当は保育士を続けたいけど、辞めるかしかないと諦めてしまう人がいると思いますので、諦めなくていい方法がある、長く続けられる方法があるということを知ってほしいですね。
 
今の給料を倍にすることはできないですが、ユニオンに相談すれば正当な条件で働けるようにすることはできます。何か困ったことがあったときに園と対等に話すことができ、長く続けることもできるようになります。同じような悩みを持つ人が多いので、横の連携もできます。ユニオンとして、保育の業界も良くしていきたいと思っています。働き方にお困りの方がいましたら、一人で悩みを抱え過ぎずに、気軽にご相談ください。

——— 本日はありがとうございました。保育士の働き方が改善されよりよい方向に進んでいければと思います。
 

保育士の労働条件の改善のために取り組む介護・保育ユニオン。保育士の労働条件は不満に思うことがあっても待っているだけではなかなか改善はされません。しかし違反があったり、おかしいと思うことがあれば、まず相談することで解決できることもあると思います。長く保育士を続けていくために、自分たちで行動をしていくことも必要なことかもしれません。

介護保育・ユニオンはこちら
 

 

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