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保育者・教育者が知りたいLGBTs入門~ケース別言葉かけを聞いてみました~

「子どもにも大人にも分かりやすく色々な性のありかたを知ってもらいたい!」
そんな思いからLGBTsをテーマにした絵本『みんな すっごく いいね! いろいろな個”性”』ができました。
その作者であるながえはるきさんにインタビュー。

前回のインタビューではLGBTs/LGBTQの基本的な知識やきっかけとなる本を教えてもらいました。

では実際子ども達と向き合う時にどんなことに気を付けたらいいのでしょう?
保育者・先生だけでなく、ぜひお子さんのいる保護者の方も一緒に考えてみてください。

「LGBTsについて十分な知識なく教育現場に出ていく」不安


ながえさんが制作した絵本『みんな すっごく いいね! いろいろな個”性”』※右下の「全画面」をクリックするとフルスクリーンで見られます

ぴよまる先生
編集部

今回もよろしくお願いします!
今日は元保育者という立場から、保育・教育現場で起こりうることを中心に聞いてみたいと思います。
まず、現在大学でながえさんご自身が「教育」を学んでいる上で、気づいたことや課題に感じたことはありますか?

ながえさん:
あらためまして、教育学部にて初等教育を学んでいる大学3回生のながえはるきです。
LGBTsをテーマにした『みんな すっごく いいね! いろいろな個”性”』という絵本を作りました。

さて、私が在籍する大学には、全学開講の総合コースにて「セクシュアリティと人権」という科目が設けられており、どの学部の学生であっても、多様なセクシュアリティを学ぶことができます。
しかしながら、教職課程の免許取得に必須ではないため、履修の有無は学生次第になっています。

私が課題に感じているのは、LGBTsについて十分な知識のないまま教育現場に出ていく先生がいることです。
前回の記事でも紹介があったように、LGBTsの人々は11人に1人の割合で存在します。
とても身近な存在なのです。

ですので、知識が不足している中、子どもたちと関わると「いない者」としてしまったり、子どもが相談してきた際に「それは、勘違いだよ」等と言ってしまい、適切なことばかけができず、傷つけてしまうかもしれません。

ぴよまる先生
編集部

こちらの調査では教員の養成校で「同性愛」・トランスジェンダーについて学んだことがあるという人は1割にも満たないようです……!
保育所保育指針などでも多様な性への言及はなく、養成校のカリキュラム・保育士試験の範囲でも目立って取り上げられていない印象です。

ながえさん:
はい、子どもと関わる人は特に性についてセンシティブ(敏感)であって欲しいと思います。
たとえば男性は君付け、女性はちゃん/さん付けという呼び方がありますよね。
性別に対して違和感を覚え始める子どもたちは、小学校入学以前から多いとわかっています。
そのため、男児・女児ともにさん付けすることが適切だと思います。

【解説】
医学者の中塚幹也さんの研究によれば、いわゆる「トランスジェンダー」の人が性別に違和感をもった時期は56.6%が小学校入学以前だったとされています。

(参考)小児保健研究『第31回小児保健セミナー 思春期と性の問題をめぐって』

ぴよまる先生
編集部

「呼び方」問題は保育所など園によってかなり決まりに差がありますが、このような視点も考慮されると良いですね。

ながえさん:
なので、私ができることは限られているかもしれませんが、SNSなどで性に関する情報を日々、発信しています。このことで、まずは身近な人から性について理解を深めていただけるのではないかと思います。

ぴよまる先生
編集部

制作された絵本からも「より多くの人に届けるために専門的な言葉を使わずに親しんでもらおう!」という熱意が感じられました。

知っておきたいLGBTsの諸制度

法律や制度について知ろう

先生になる世代が教育の機会に恵まれなかったとはいえ、「知らなかった」では済まされないこともありますよね。2010年代以降から様々な制度が整えられてきました。

LGBTsと教育にまつわる制度・法律

2017年にはいじめ防止基本方針の改訂によりLGBTs生徒への配慮が明記されました。

:○性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒に対するいじめを防止 するため,性同一性障害や性的指向・性自認について,教職員への正し い理解の促進や,学校として必要な対応について周知する。
文部科学省「いじめの防止等のための基本的な方針」より

ながえさん
ながえさん

文部科学省が発行している教職員向けのパンフレットもぜひ目を通しておきたいですね。

パートナーシップ証明

2015年には渋谷区で同性同士が結婚に準じるような「パートナーシップ証明」の発行が可決されました。それ以降、全国に同様の動きが広がりつつあります。

区では、「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」に基づき、男女の人権の尊重とともに、「性的少数者の人権を尊重する社会」の形成を推進しています。
パートナーシップ証明は、法律上の婚姻とは異なるものとして、男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備えた、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係を「パートナーシップ」と定義し、一定の条件を満たした場合にパートナーの関係であることを証明するものです。
渋谷区「パートナーシップ証明書」より

ぴよまる先生
編集部

自治体による判断も大きく、「多様な家族が増えていくかもしれない」とイメージをもっていただければと思います。保護者支援という点でもこれからも要注目です!

ながえさん
ながえさん

LGBTsの家庭だけでなく、多様な家族のあり方を知るためにはこちらの絵本もオススメです。

思わぬ差別で傷つけない為には?

小学校時代に女の子らしい玩具を選ばなくてはと悩んだトランスジェンダーの声

ながえさんが出会ったセクシュアルマイノリティの声

ぴよまる先生
編集部

とは言え、「男の子らしくてかっこいいね!」といった発言をつい自分もしてしまったり、「オカマみたい!」という子ども同士のからかいにうまく対処できなかったなどの後悔もあるのですが……。
ながえさんは、思わぬ差別で他者を傷つけないために、保育者・教育者が気を付けたいアイデアなどはお持ちですか?

ながえさん:
「相手に対する想像力」「ことばをすぐ発するのではなく、一度思考すること」ですかね。
といっても、前提として日頃から性に関して情報を得る意識がまず大切かと思います。

ぴよまる先生
編集部

まずは関心をもって「知る」ことから。大人自身も…大人だからこそ「らしさ」の先入観や固定観念に縛られていることはありますね。柔軟な子ども時代に「知る」きっかけを作る・整えることも大切ですね。

ながえさん
ながえさん

★ポイント★
LGBTsについてちょっとアンテナを張っておくだけで、たとえば普段目にしている新聞でもこんなニュースが目につくようになってきます。

【ケース別】言葉かけ・対応例を考えてみよう

「どういったことばが人を傷つけているのか」を事例から学ぶことで不意に人を傷つけないよう防げることがあるはずです!

ケース別にみていきましょう。
ながえさんの提案も示してありますが、ここに挙げたことが絶対的な答えではありません。
ぜひ読者のみなさんも「自分ならこんな時どうするかな?」と考えながら読んでみてくださいね。

【ケース1】女の子にはピンク色のドレスのお人形?

ピンクのドレスのお人形

保育士風の大人

〜ちゃんは女の子だから、ピンク色のお人形さんやぬいぐるみで遊ぼうね~!

【考えてみましょう】
身体の性が女性であるから、子どもたちに与えるものを意図して、与えていませんか?
もしかすると、ブルーや黒色が好きかもしれませんし、車や恐竜が好きかもしれません。

ながえさん
ながえさん

性別をもとに物を与えるのではなく、子どもの興味関心を尊重するように意識してみませんか?

ぴよまる先生
編集部

お子さんがいるご家庭のおもちゃや服装選びでもぜひ心がけてほしいことですね。

【ケース2】好きになるとは限らない?

恋バナやラブレターを回したり

保育士風の大人

〜〜君は、すきな女の子はいるの?

【考えてみましょう】
子どもの身体の性が男性だからといって、性的指向(誰を好きになるか)の対象が女性(異性)とは限りません。
両性愛かもしれないし、無性愛(恋愛感情・性的欲求を持たないセクシュアリティ)かもしれません。

ながえさん
ながえさん

たとえば「〜〜さんは、好きな子いたり、する?」といった聞き方なら、傷つけてしまう可能性が低いですよね。

ぴよまる先生
編集部

学童児さんとは恋愛に興味が出てきたり、仲間や大人とも恋バナで盛り上がりたくなる年頃ですが、ちょっと想像力を働かせてみたいシーンです。「おかま」「ホモ」などのからかいが生まれないようにする環境づくりや、からかいが起きた場合は「なぜいけないのか?」を話せるようにしたいですね。

【ケース3】家族はパパとママからなるもの?

家族のあり方

保育士風の大人

パパとママに連絡帳を渡してね〜

【考えてみましょう】
両親がパパ(男性)2人、あるいは両親がママ(女性)2人の家庭かもしれません。

ながえさん
ながえさん

「おうち(家族)の人に連絡帳を渡してね〜」等の方が良いかもしれないですね。

ぴよまる先生
編集部

現在日本では同性同士のカップルが子どもをもつことは難しい状況にあります(※里親制度など例外はあります)。ひとり親家庭も含め、多様な家族のあり方に配慮した言葉選びをしたいですね。

まとめ

最後に保育者・教育者ができることをおさらいしてみます。

・日頃から多様な性についての情報を自分から探してみる
・相手に対する想像力をもつ
・ことばをすぐ発するのではなく、一度考える
・子ども達が多様な性にふれるきっかけを作るためにどうしたら良いかを考えてみる

絵本やドラマ、身近な素材から「このような言い方は傷つけないかな」「どんな関わり方をすれば良いのだろう?」とイメージを膨らませる…などちょっとしたことから始められると思います。

ながえさん、今回もとても分かりやすく教えてくださりありがとうございました!

この記事を通して、誰もがもつ個性・自分らしさを大切に、日々を楽しく過ごせるようなヒントがお伝えできたら嬉しいです。

【お話を伺った方】ながえはるきさんのプロフィール

LGBTsをテーマにした絵本『みんなすっごくいいね!』の作者。
現在、関西学院大学教育学部の3回生。

『みんなすっごくいいね!』は全国色々な場所で子ども達に手にしてもらえるようクラウドファンディングを開始します。(2020年秋頃開始予定)
その様子はnoteから日々発信しています。

ながえさんのTwitterはこちら:@Haruki_volo

※この記事の内容は2020年5月インタビュー当時の情報です
※この記事はインタビューに基づき構成しましたが、情報の正確性およびその責任の所在はほいくらいふ編集部にあります

またこの場を借りて、本記事制作の監修をいただきました皆様にもお礼申し上げます。
ありがとうございました!

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