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【第3回】学童保育で働くきしもとたかひろさんに聞きました~子どもも大人もしんどくならないよう大切にしたいこと~

きしもとたかひろさんインタビュー 保育の質を聞くTOP

やさしい語り口とほのぼのするイラストで人気を集めている学童支援員のきしもとたかひろさん。

ほいくらいふでは、2回に渡ってお話を伺ってきました。
第1回:学童保育のお仕事編
第2回:保育業界をどう良くしていくか編

3回目となる本日は日々の保育実践の中できしもとさんが大切にしたいことを聞いていきます。
子どもとの関わり方から職場の人間関係・チーム作り……。
みなさんの保育、子育てがもっと楽しく・肩の力を抜いて楽になれるようなヒントがたくさんです。

子どもと関わる上で大切にしていること「軸」を決める・共有する

ぴよまる先生
編集部

いよいよ、保育の現場―子どもとの関わり方についてお聞きしたいと思います。きしもとさんが子どもと関わる上で特に意識していることはありますか?

きしもとさん:
この質問も答え出したらきりがない(のと、ついつい話が長くなってしまう)ので短く伝える努力をしますね。(笑)

まずは、何を軸に子どもと関わるかを決めておくようにしています。
自分の行動指針となるもの、例えば基本的なことですが、「子どもの人権」「子どもの最善の利益」を軸にして子どもの姿を見たり自分の言動を決める、などです。

きしもとさん:
ひとりの人として向き合うのはもちろんのこと、保育に迷った時にそれは子どもの最善か?子どものことを人として尊重できているか?子どもはしんどい思いをしていないか(これからしないか)?立ち返る指標となるからです。

次に「常に振り返る」「すぐに改善する」

ぴよまる先生
編集部

ここでのマンガでも描かれていますね。その場の行動だけを見るのでなく長い目で子どもを見守る。

きしもとさん:
それから、自分の関わりが最適だったのかどうかを常に振り返ることと間違っていたと思ったら言い訳せずにすぐに改善することを心がけています。
そもそも全ての知識を頭に入れることはできないと思っているので、すぐに答えを出せない自分を責めたりせず、その都度調べたり相談したりして一つずつ解決していくようにしています。

ぴよまる先生
編集部

このような考え方は自分が間違えたら反省するだけでなく、他の職員が失敗しても、きちんとフォロー・解決できそうですね。

きしもとさん
きしもとさん

職員同士でこれらを共有できていればチームは同じ方向を向いてそれぞれが最適解を求めて行動できるようになっていくでしょう。

職員の連携は「行動指針(クレド)」を「真ん中に」

ぴよまる先生
編集部

チームの話が出ましたね。きしもとさんが職員との連携やチーム作りで意識されていることはありますか?

きしもとさん:
施設ごとに差はありますが、基本的に3人で支援にあたっています。6施設で同じ方向を向くために8人の常勤職員で連携を取り合いそれぞれの施設で実践しているという形です。
【第1回】参照

チームづくりで大切にしたいのもやはり「ぼくたちの役割を明確にしておくこと」でしょうか。

僕たちの仕事は「放課後の子どもたちが生活と遊びを通して健全に育つための支援をすること」
その根っこにあるのは「子どもの最善の利益」とその子が自分の人生を生きるという「主体性」、そして一人の人として尊重される「子どもの人権」
それを軸にして物事を判断していこうということです。

自分の価値観や思想ではなく、行動指針(クレドといいます)となるものを真ん中に置いてそのために自分たちができる最善を見つけようというものです。
トップのリーダーが引っ張っていくのではなく、その目的のためにそれぞれが考えて行動できるように。

この行動指針を職員間で話し合って決めて共有しておくことはチームで質の高い支援を実践するためにとても重要になってくると実感しています。

ぴよまる先生
編集部

ディズニーランドなどでも採用されているものですね!

きしもとさん:
ですから、補助員さんが本来は僕に確認していたことを子どもの最善を考えて自分で判断して行動した時なんかはとても嬉しくなります。
もしそれが失敗したりフォローしなければならなくても、心から「すばらしい!最高!」と思って嬉しくなります。

ぴよまる先生
編集部

「子どもの最善の利益」を考え、クレドに沿った行動ができれば、職員間もフラットに褒め合える文化になりそうですね。

暑い日に、ルールを破ってコンビニでお茶を買ってもよいものか?

【事例】
たとえば、春先に散歩に出かけて思ったより暑かったとします。
一時間ほどで帰るつもりだったから水筒を持って行っておらず子どもは喉が渇いている。
そんな時にルールが前にあると「いつもは園にあるお茶を持って出ることになっているし、外で買う場合は許可を取らなければいけないし、勝手にコンビニで買ってはいけないから我慢させて急いで帰ろう」と思ってしまいます。

しかし「子どもの最善のために動く」のを保育者全員の行動の指針にしていれば迷わずに「熱中症にならないように、子どもの活動を妨げないために購入しよう」となります。

きしもとさん
きしもとさん

その時の裁量で動く僕たち保育者は、方法論やルールでその行動をまとめてしまうと最善の方法を選べなくなります。

「標準化」の前に大切にしたいこと

ぴよまる先生
編集部

こちらを拝読して、ひとつの鍵は「標準化」なのかなと考えておりました。

きしもとさん:
まずはチームが同じ目的を持って仕事ができることが大切だと思っています。
標準化・体系化はその先にあると思っています。

「子どものこと」について語る時間を確保する

きしもとさん:
子どものことについて話す時間を「できたら」ではなく「必要なこと」としてケース会議や保育報告を日常的にできるように気をつけています。

保育の現場では一番必要なことのはずなのに「しなければいけないこと」に追われて後回しにされることが多かったりするんです。

「組織の仕事」化でフォロー体制を

きしもとさん:
また、それぞれの施設の業務や係、役割など振り分けるなどしてそれぞれの仕事がありますが、それを「個人の仕事」にしないようにしてます。
遅れていたり忘れていたりしても責めたりせず「組織の仕事」という意識を持ってフォローしたり仕事を振ったりできるように気をつけています。

誰かの責任にして子どもの最善の利益を損なうのはチームのミッションに反していますし、能力もキャパもそれぞれ違いますから、それぞれの能力とできる範囲で「子どもの最善の利益」を考えて行動してフォローしあうチームになっていると感じます。

たとえば僕が書類を作成し忘れていてギリギリで慌てていたら「もう作って出しておきましたよ」ということがあると「さすが!」と思います。

一年目でもベテランでも非常勤でも、それぞれの立場でそれぞれの役割があってお互いに協力しあえていますし貢献しているので、「敬意を持って感謝し合いながら助け合いながら多様性を認め合いながら」ということは大切にしたいですね。

性格も仕事をする動機も全く違って、ぼくみたいに業界を変えたいと思っている者もいれば、特別子どもが好きというわけではないという職員もいて、仲良しこよしではないけれど、そんな多種多様な者たちが同じ目的に向かって質の高いものを追求できるというのは、本当にいいチームだなと感じます。

ぴよまる先生
編集部

大人も一人ひとり個性がある。当たり前のことですが、その視点を忘れると「しんどさ」につながってしまう。組織一丸で子どもに向き合えているのですね。

「学童保育」のやりがいは「今」を見守れること

ぴよまる先生
編集部

ではズバリ、この仕事の魅力、面白さはなんでしょう?

きしもとさん:
なんでしょう?
聞かれたらわからないものですね。
それぞれがもっているものだとは思うんですけれど。

子どもたちの育ちのためにある仕事とはいえ、未来ではなく子どもたちの今を見守れることですかね。

ぴよまる先生
編集部

「未来」ではなく、「今」ですか?

きしもとさん:
なにかできるようになるとかの達成感ではなく、ただただ充実している姿って刹那的なようでその子の育ちや未来に続いている。その今を見守ることができるのはこの仕事の魅力だと思います。

ぴよまる先生
編集部

たしかに未来視点だと「立派になる」「良い子」を期待してしまう恐れも。「今」を充実感もって過ごせるように考える姿勢はとても大切ですね。

「辞めたい」となる前に、「無理をしない」努力をする

ぴよまる先生
編集部

では、子どもと向き合う時間をより楽しむために、きしもとさんが工夫・実践していることはありますか?

きしもとさん:
これもまた難しい質問ですね。
「楽しむために」という風に考えたことがないのですが、あえて言うなら「無理をしないこと」でしょうか。

「楽しめなくてもちゃんと子どもの支援をすればOK」と思っているので、大人だって機嫌が悪くなりそうだったり調子が悪い時は無理に子どもと関わりにいかないようにもしています。

また、「何かする」よりも「邪魔をしない」ことの方が大切だと思っているので。

もちろん楽しいですし笑うことが多い職種だと思いますが、あくまでも仕事なのである側面では淡々と向き合っている自分もいます。

誇りをもって「子どもと遊んでいるんだよ」と言える仕事にしたい

ぴよまる先生
編集部

最後に、これから「学童・保育の仕事をしよう」と考えている人や新人の指導員さんに、先輩としてアドバイスするとしたらどんな助言をしますか?

きしもとさん:
ボクの立場からアドバイスというのは難しいですね。
偉そうにアドバイスできるほどなにも成し遂げていないですから、印象的なエピソードを一つ。

新卒で教員採用されなかった方が学童保育でアルバイトを始めました。
ほかの同学年のみんなは新卒で正社員として働いているなかで自分は学童保育で働いていることを引け目を感じて、友達に会ったり連絡を取り合ったりするのが嫌になっていたそうです。集まったら「最近仕事どう?」って話をしますもんね。

働きはじめて一年が過ぎようとしていたある日「この間学生時代の友人と集まったんですけど」と話してくれたんです。
「学童で働いていることが話しづらかったかな?」と思うボクの心配をよそに
「友達に『一年間なにしてた?』と聞かれたので『子ども達とあそんでたよ!』って答えましたよ!」と誇らしげに教えてくれたんです。

なんだかそれがすごい嬉しくて。

それだけ子どもにも保護者にもこの仕事にも真剣に向き合っていたということなんですけれど、「そうだよね、誇りを持って堂々と遊んでいるんだよって言える仕事にしたいよね」って思ったんですよね。

正直、体力的には長期休みを除いたらそこまで大変な仕事ではないです。
子どもが来るのは夕方だけですし。
でもそれでいいと思うんです。

きしもとさん
きしもとさん
無理せずに心の余裕を持って子どもと保護者とこの仕事に向き合うことが僕たちの仕事。
とても大切なことだし、誇りを持っていたいなと思います。

ぴよまる先生
編集部

しんどい状況を一歩一歩でも改善していく。
子どもの今を見守り、「子ども達とあそぶ」に誇りをもつ。
忘れがちですが、改めて保育の仕事の魅力が分かった気がします!

きしもとさん、今回は本当にありがとうございました!

きしもとたかひろさんプロフィール

きしもとたかひろさん
関西の社会福祉法人運営の学童保育所で働く保育者。
子どもとの関わりの中で気づいたこと、考えたことをSNSにマンガで発信してみたところ、多くの方の目に留まるように。
Twitterのフォロワー数は1.5万人を超え、保育理論や子どもへの寄り添い方を分かりやすく解説したnote人気。
現在「grape」にて子育てにまつわる悩みや、子どもとの温かいエピソードを連載中。

◆きしもとさんの情報はこちらから◆
・Twitter @1kani1dai
・Instagram @1ka.ni.1dai
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・grape 連載コラム

※この記事の内容は2020年6月インタビュー当時の情報です

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