発達障害をもつ保育士~たこぼうずの幼少期と現代~


こんにちは!保育士として働いている”たこぼうず”と申します。私は今まで「保育業界とワークライフバランス」というテーマで、コラムを連載してきました。今回より「発達障害」についてのコラムを書いていきたいと思います。
過去記事はこちら≫保育業界とワークライフバランスについて
発達障害をもつ保育士
私は発達障害をもっており精神障害者保健福祉手帳(3級)を取得しています。発達障害をもつ子どもについてのブログはよくお目にかけますが、「発達障害をもつ保育士」という視点のブログは、あまり見たことがありません。
そもそも発達障害をもちながら保育の仕事をすることに、抵抗のある方がいらっしゃると思います。実際、保育業界で働くことで、”困ること”や”ご迷惑をおかけすること”はたくさんあります。私自身もできることなら、自分の障害のことは隠しておきたいですが、自分の力や障害の特性を生かして働けることを実感することがあり、そのためには周囲の理解をいただくことが必要であることも学んできました。
もちろん発達障害といえども十人十色で、私の語れることが全ての発達障害の方には当てはまらないでしょう。ただ、発達障害をもちながらも社会生活を送る術があることを知っていただき、発達障害をもつ子どもや大人が希望をもてるようなコラムを書けたらと思い、今回執筆することに至りました。お気に障る点がありましたら申し訳ないですが、誠意をもってお届けしていきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
広汎性発達障害をもつ”たこぼうず”の幼少期
子どもの頃は”変わった子”とよく言われていました。保育園に通っていた頃は、担任の先生が嫌いで「担任の先生の言うことは絶対に聞かない」と決めていました。言うことを全く聞き入れないため、しばしば保育園から親にヘルプの電話がきたそうです。先生方には、大変苦労をかけたと思います…。
みんなと一緒に何かをすることが苦手で、着替えなどは「なぜみんな一緒に着替えないといけないんだろう」と、外倉庫のようなところにこっそり隠れて、1人で着替えていた記憶があります。
他にも凝り性なところがあり、好きな大相撲の力士の名前(幕内から序ノ口まで)を全て覚えるだけではなく、非常に細かい手書きの星取表を作り、勝敗を記録することが好きでした。当時小学1年生ながら、力士の漢字も全て覚えていました。
保育士としての現在
20代の時に、※広汎性発達障害(アスペルガー症候群、ADHDの要素を含む)の診断を受け、精神障害者保健福祉手帳3級を取得しています。
現在は、30代(男)、妻と子の3人家族です。公立幼稚園教諭として勤務した後、私立保育所に転職し、主任保育士をしてきました。2016年1月から、兼ねてより志望していた事務職に向け事務員見習いを始めています。仕事内容は多岐にわたり、何でも屋だと思って働いています。
好きなことは家事(特に料理)、インターネット、漫画、音楽、珈琲、ビール、文章を書くことです。特に料理では、安価で良い素材選びから始まり、素材の良さを引き出す調理法が好きです。最近では、カワハギの肝和え、雑煮が美味しく作れました。音楽に関しては、3歳からピアノを始め、14歳から作曲を続け、ピアノ、ギター、ベース、ドラムの演奏ができます。
仕事における特技は、主任保育士として働いていた頃に力を入れていたスケジュール管理、リライト、作業スピードをアップさせることです。
スケジュール管理では、計画し実行する一連の流れに快感を覚えます。リライトは、例えば会議の場で話されたことをその場で要約してパソコンで記録にすることで、会議録作成などに役立っています。作業をする時は、常に最短距離をイメージして効率的・合理的に進めています。
苦手なことは、大人数での雑談、曖昧な状態や表現、耳で聞いたことを理解することなど、たくさんあります。大人数での雑談が苦手なため、いわゆる”飲み会”のようなものには基本的に参加しませんが、1対1でのコミュニケーション…サシ飲みは大好きです。職場でのコミュニケーションも1対1を大切にしています。
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※広汎性発達障害
社会性に関連する領域にみられる発達障害の総称で自閉症やアスペルガー症候群などを含む。
※アスペルガー症候群
知的障害を伴わないが、興味・コミュニケーションについて特異性が認められる自閉症スペクトラムの一種。
※ADHD(注意欠陥多動性障害)
多動性・衝動性と注意力の障害を特徴とする行動の障害。
保育現場で困ること~”聴覚”について~
今回は、“聴覚”について簡単にご紹介したいと思います。
保育現場で困ることの1つが、“保育中に職員同士で打ち合わせをすること”です。例えば、子どもが遊んでいる保育室内で「明日の○○どうする?」のように同僚から話しかけられると、うまく答えられないことが多くあります。なぜかというと、聴こえないからです。
アスペルガー症候群の人は聴覚が敏感な方が多く、周りの音を全て”必要な情報”として拾ってしまいます。多くの人は、ざわざわした雰囲気の中でも、話しかけられた声だけに集中して聴くことができますが、私は”ざわざわした音”と”話しかける声”が同じ音量で聴こえるため、必要な音が聴こえなくなってしまいます。
イメージとしては、目の前で口をパクパク動かしている人がいて、聴こえるのは周りのざわざわした音…という印象です。この場合、話しかけた職員に対し的を射ない返答になってしまうため、相手を困惑させてしまうことがしばしばあります。
互いに困惑しないように、日頃からチームの先生方には、事務所や午睡中などの静かな環境で話をしていただくようお願いしています。急ぎの場合は、他の保育士に保育に入っていただき、保育から抜けて事務所で話すこともあります。
最もありがたいのは“メモ書き”や“書面”でいただくことです。メモ書きであれば音を聴く必要はありませんし、正確に情報を得ることができるので、丁寧に返答することができます。
ただ自分でも不思議に思うのは、子どもの声だけはざわざわした環境でも”聴こえる”のです。保育中に子どもが話しかける声や、遠くで泣いた声、どこかにぶつけた音は明確に聴こえるため、保育をする上では困ったことがありません。そのあたりは、発達障害といえどもひとくくりにはできない興味深いところだなと思います。
今後はこのように、保育業界で働く上で、どんなことに”困っている”のか、どうすれば”困っている”ことを解消できるのかを具体案も含めて書いていきたいと考えています。次回は、「視覚的情報の有効性」についてです。お付き合いいただければ嬉しいです。
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