自主性を高めるモンテッソーリ教育とは?教具と特徴を知ろう!

一部の幼稚園や保育園で取り入れられている”モンテッソーリ教育”についてご存じでしょうか?受験するのに有利、勉強ばかりで戸外で遊べなくなりそうなどというイメージを持たれている方も少なくないと思います。
私もしっかりと勉強するまではそうでした。しかし、よくよく勉強してみると、モンテッソーリ教育とは普段何気なく行っている行為がほとんどなのです。
モンテッソーリ教育では、子どもたちが使っている物を”教具”と呼んでいます。”教材”というより玩具と教材を合わせたイメージです。このような特徴があるモンテッソーリ教育とはどのようなものか紹介します。
モンテッソーリ教育とは?
モンテッソーリ教育は20世紀初頭にイタリアの女性医師マリア・モンテッソーリによって考案された教育法です。日本では1960年代に紹介され保育園や幼稚園などで導入されるようになりました。子ども一人ひとりをよく観察し、子どもの自主性、独立心、知的好奇心などを育み、社会に貢献する人物となることを目的としています。
マリア・モンテッソーリは子どもを観察しながら教育法を構成し”教具”という木製の玩具を開発しました。
大人が子どもをどう見るか、どのように援助するか、その見方、援助の仕方がモンテッソーリ教育の本質です。
モンテッソーリ教育での保育者の役割とは?
モンテッソーリ教育では、幼児期の子どもが月齢・年齢ごとにさまざまな事柄に興味を持ち、能力を獲得するのに最適な時期を”敏感期”と言い、子どもたちの”自由”の保証と”敏感期”を育むことが大きな特徴になっています。
その中での保育者は下記のような役割が大切になってきます。
- ・発達段階に合わせ自由に教具を使用できる環境を整える
・やりたいと思えるような魅力的な教具を用意する
・教えるのでなく、子どもたちが自主的に取り組めるよう援助する
子どもの「自分でできるようになりたい」という気持ちに対して、適切な時期に援助を行うことで、穏やかで忍耐強い知性を備えた人格が形成されると言われています。
モンテッソーリ教育の5分野
- 日常生活の練習・運動の教育
立つ、座る、歩く、折る、切るなどの運動、挨拶やマナー、身だしなみなども教育内容として組み込まれ、依存から自立へと成長させ、自立心や独立心を育てます。大人にとっては当たり前の日常生活ですが、子どもにとっては内容豊富な教育内容です。
- 感覚教育
0~3歳の時期は、大人の真似をしながら無意識に周りのものを吸収し、3歳頃からこれまで吸収してきたことを整理していきます。3~6歳の時期は五感(視覚、触覚、聴覚、味覚、嗅覚)が著しく発達する時期です。モンテッソーリ教育では、さまざまな感覚教具を用いて五感を刺激し、概念形成の手助けをします。
また、友だちとの関わりの中で社会性も身につけられるようになっています。
- 言語教育
子どもはお腹の中でもお母さんの声を感じています。乳児期から、幼児語ではなく正しい言葉を遣って話しかけ、語彙を豊かにすることが大切です。
モンテッソーリ教育では、発達段階にあった教具を使い「読む」よりも「書く」活動を先に行っています。それから文法や文章構成にも触れていくのです。
- 算数教育
具体物を使用し、量や数の感覚を身につけていきます。具体的に感覚で捉えることのできる「数量」、言い表す時に使う「数詞」、書き表す時に用いる記号の「数字」の3つが一致してはじめて理解したことになるので、数を1から100まで数えられるので数量を把握しているとは限りません。
- 文化教育
子どもは自分の身の周りの動植物や天気などさまざまな分野に知的好奇心を持つようになります。生命、地球、生物、音楽、美術などへの興味や芸術に関する表現力を身につけられるよう、子どもの疑問や好奇心に対し、分かりやすく伝えていくことが大切としています。
実際に園で取り組んでいる活動
本来ならば対象年齢が3歳以上を目安としていますが、教具によっては0歳児でも使えます♪私の園で実際に行っている活動の一部をお伝えします。
モンテのお仕事
モンテッソーリ教育を行うときは『モンテのお仕事』と言って参加をします。
- ①机と椅子は基本的に机一台に一人が基本ですが、難しい場合は壁側に机を付け、一人ずつの間隔を空けて座ります。
②一人ずつ名前を呼ばれたら椅子を中にしまい、棚から自分のやりたいお仕事を一つ机に持っていきます。この時お盆に教具を乗せている場合は片手ずつお盆の持ち手を持って運び、机に教具を置いてから椅子を出します。
③終わったら椅子を中にしまい、片手ずつお盆の持ち手を持ってから片付けに行きます。
④終わりの合図はベル。ベルがなったらおしまいです。
教具によってはゴミを捨ててから片付けたり、のりを使う場合は手を洗ってから片付けたりするものがあります。ごく当たり前の行動ですが子どもが自然と身に付けられるようになっています。
教具は専門の方が作ったものもあれば、手作りの物もあります。馴染みの手作りのおもちゃもモンテのお仕事になるんです!
モンテのお仕事は現実と重視しているので、絵カードもリアルに描かれています!
箸の導入で例えると、現在はエジソン箸がありますが、箸を持つ時に使う三本指や手首の動きをさまざまな教具で使うようにし、慣らしていくととてもスムーズに使えるようになるのです!基本的にできるまでの過程を大切にしています。
年々、モンテッソーリの教具も数が増えたり、作りも細かくなったりと際限が無いので幅広い年齢で取り組めます♪実際に研修を受ける時には教具も使うのですが意外と面白いです(笑)
モンテッソーリ教育で使われている教具
私の園には、今は小さい子向けの教具しかないのですが、実際に使われていて、家でもすぐにできそうな教具を紹介します!
- はめこみ円柱
指定工場で作られた教具で、高さや大きさの違うものが4種類あります。円の大きさが違って高さが同じものから、円の大きさが同じで高さが違うものまであります。
遊び方は、まず1つからはじめ、慣れてくると2つ3つ4つと増やしていき、最終的には全部使って行う子もいます。
- 手作り教具1~棒はめ~
穴の中に丸い棒のようなものをはめていく教具です。これよりもさらに細かい物もあり、段階を踏んであげていきます。この程度なら一歳児でもできます。基本的にモンテッソーリの教具は数がピッタリなるように作られています。
- 手作り教具2~ぽんぽん落とし~
ぽんぽんを落とすものですが、ぽんぽんの大きさが違うのでそれに合わせて穴の大きさも違います。大きいぽんぽん以外は100均ショップで揃います。
ペットボトルの蓋は2つを貼り合わせ1つにして、中にはビーズなど入れて音を変えています。
- 手作り教具3~ボタンはめ・マジックテープ留め~
ボタンはめやマジックテープ留めで、わっかにしたり繋げたりして使用します。写真の教具は薄い布を重ねて作っていますが、フェルトでも作れます。
- 手作り教具4~シール貼り~
描かれている丸い枠の中にピッタリシールを貼るようにします。シールは1枚ずつ切ってあるので子どもが一人でもはがせるようにしてあります。ここにはありませんがカップが2つあり、1つはシール、もう1つはシールの台紙のゴミを入れるもので、終わるとゴミを自分で捨ててから片付けます。
ごく一部ですがお家でもすぐにできそうな物が多いのではないでしょうか?
次回以降は専門の機関が作った教具もお見せできればと思います。
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