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子供の力を引き出すために心も育てる~東京いずみ幼稚園園長の保育観~

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前編に引き続き、”ミュージックステップ”や”石井式国語教室”などの活動を取り入れている、東京いずみ幼稚園の園長、小泉敏男さんにお話を伺います。

前編では、東京いずみ幼稚園の魅力についてご紹介しました。
>>前編記事:『IQ120!東京いずみ幼稚園で実践するミュージックステップの魅力』

後編では、小泉園長の保育観について詳しく伺ってきました!

幼児教育は心を育てることも大切

皆様は、”心を育てる保育”とはどのような保育を思い浮かべますか?「幼児教育は能力や体力だけではなく、目に見えない力や心を育てることが基本的に大切だと考えています」と小泉園長はお話されました。心を育てるとは具体的にどういったものなのか、小泉園長のお考えを伺いました。

東京いずみ幼稚園_子ども音楽_園長小泉さん
▲東京いずみ幼稚園 園長 小泉敏男(こいずみとしお)さん

●東京いずみ幼稚園の教育目標●
【健康・自立】強い体と心を持つ子供
【人間関係】仲良く遊ぶ子供
【環境】よく考える子供
【言葉】想像力のある子供
【表現】豊かな心の子供

東京いずみ幼稚園_子ども音楽_漢字
▲保育室に掲示された教育目標

―――東京いずみ幼稚園では、ミュージックステップや漢字教育、運動を積極的に取り入れていらっしゃるので”能力・体力の成長に力を入れている園”というイメージを持っておりましたが、教育目標を拝見するとそれだけではないことが伝わってきます。
よくお受験のための園と間違われますが、そうではありません。ミュージックステップ(以下:MS)や漢字教育を取り入れているのは、心の成長にもとても好い影響があるからです。

―――心の成長とは具体的にどのようなことを言うのでしょうか?
心は目に見えません。例えば、縄跳びを100回跳べるようになるために練習をします。技術面は、腕の振りが良くなったり、ジャンプが上手になったり、目に見えてわかります。しかし、技術の向上だけでは100回も跳ぶことは難しいんです。精神面でも、集中力や我慢強さ、粘り強さなどの心の強さが必要です。何かを成し遂げた時は、体だけでなく心も成長した証だと考えています。

―――心の成長は目に見えない分、保育に反映することが難しいものとも感じます。どのような保育をされていらっしゃるのでしょうか。
「三つ子の魂百まで」の通り、幼児期に育まれる心は人生の基礎となります。そのためにはしっかりとした根拠に基づいた保育が必要です。

心の成長には脳への刺激が関係していることがわかっています。MSの活動は、脳への刺激が大きく、自分が「わかった」と感じ取ることができる体験の連続です。子供達の脳は、歌唱やリトミック、器楽演奏などを毎日繰り返すことで成長していきます。脳が成長することで集中力がつき、感動する経験を通して心も成長していきます。その結果音感も定着しますが、感情が豊かになっていく心の成長も実感することができます。

全員で表現できるようになるまでにはたくさんの練習、努力が必要です。表現できるようになると自信もついていき、全員から表現する喜びが感じられます。さらにさまざまな面での心の成長にもつながっていると実感することができます。

小泉園長が考える”子供達全員の力を引き出す保育”とは?

東京いずみ幼稚園_アイマスク_子どもの力を引き出す保育
▲年少さんのMS頭声発声の様子。保育室に子供達の声が響き渡っていました。

小泉園長は、園の子供達の心を育てるために、年間カリキュラムや日々の保育内容を考えています。カリキュラムには子供の力を引き出す要素がたくさん詰まっていました。

―――さまざまな取り組みをされていらっしゃいますが、クラスによって差は出ないのでしょうか?
日案や週案は、各担任が立てている園も多いようですが、それではクラスの差も出てきやすいですよね。例えば、音楽が好きな先生は、活動の切り替えやちょっとした合図をする時にもピアノを弾きますが、苦手な先生は声で伝えることが増えます。歌を歌う回数も変わってきます。

そのような小さなことでも積み重なっていくと1年後には大きな差になります。そうなってしまっては、園としてしっかりと責任を果たしていると言えません。いずみ幼稚園では、子供達に同じ教育が行き渡るよう学年での活動を統一し、カリキュラムを立てています。行事の練習も全クラスで統一しています。

―――統一されたカリキュラムを基に日々の保育をされているのですね。はじめはできない子も出てくると思いますが、その時はどうされていますか?
最初はピアノの音に対して立ったり座ったりの簡単な反応ができない子もいますが、保育室にいるだけで意味があると思っています。繰り返し、繰り返し聴いているだけでいいんです。

できない子がいても、強制したり教え込んだりはいけません。成長の速さも一人ひとり異なります。保育者はやらせるのでなく、その子が自分でできるようになる環境を作っていくことが大切です。

まず、毎日繰り返し行える環境づくりが重要です。繰り返し少しずつ変化する中で、できるようになる時がきます。その時に褒めるタイミングを見逃さないようにするのがポイントですね。

繰り返し行う活動については、少しずつ変化させながらも一度に長時間は行いません。保育者は毎日の生活の中で繰り返す回数が多くなることを意図し、楽しんで取り入れるようにしています。

活動も1つに絞らず、音楽・運動・漢字などさまざまな経験ができる環境が必要です。全てを完璧にできなくていいんです。さまざまな経験から1つでも得意なこと、楽しいことを見つけられるよう保育をしています。得意なこと、楽しいことを見つけられた経験が今後の自信や成長につながっていくのです。

―――できなくても教え込まない。さまざまな経験を少しずつ繰り返していくことがポイントなんですね。
MS創始者の譜久里勝秀先生が使われていた”感育”という言葉があります。感育とは、子供が理屈ではなく、”感”じ取って”育”つという利点を活かした育て方です。

教え込んでも真の成長にはつながりません。子供が感じ取って育つ環境を整え、関わることを意識しています。例えば、聴音では、「この音はドだよ」と言うのでなく「この音はなんの音かな?」と聞く。これはこうと教えるのでなく問いかけることで自ら感じ、発見したり判断したりする経験ができます。

東京いずみ幼稚園_朝会歌
▲朝会で歌を歌う子供達

―――最後に子供達に関わる中で大切にされていることを教えてください。

お節介をあまりしないことですね。ついかわいくて手を出したり、声をかけたりしたくなりますが、お節介が過ぎるとその分感じ取ることや自発性も低くなります。私自身の子育ての反省からも「大人になって自立できるように育てなくてはいけない」という気持ちがより強くなりました。手を出しすぎて、その子が大人になった時に自分で何もできなくては本人も困りますよね。

子供を育てる上では遠い将来を考えることが大切です。幼稚園での経験は「三つ子の百まで」と言われるように、その子の財産になると思っています。一人ひとりが好きなことを見つけ、自信を持って成長してもらいたいですね。

取材に伺うまでは、多くの指導法を取り入れていることで子供達もなかなか遊べず、イヤイヤ参加している子もいるのではないかと思っていた筆者。しかし、実際に伺ってみると、子供達が嫌がっている様子はなく、楽しそうに生き生きと活動に取り組んでいる様子が印象的でした。押しつけられたものではなく、子供達自身が興味を持って取り組み、自信につながっているからなのだと感じます。

▼小泉敏男園長の著書『東京いずみ幼稚園式 美しい日本語が、心の強い子を育てる』

今回取材させていただいた方 小泉敏男さま
1952年、東京生まれ。小学4年生から中学3年生までを対象として運営していた小泉補習塾を経て、1976年、父・小泉孝義とともにいずみ幼稚園を創設、副園長に就任。石井式漢字教育、ミュージックステップ音感教育などの導入、屋内温水プールの設置など、当時としては画期的なプログラムを次々と導入。1995年に園長に就任。2004年には第13回音楽教育振興賞を幼児教育界で初めて受賞。(有)幼児音楽出版代表も務め、ミュージックステップ普及活動も行っている。著書に『東京いずみ幼稚園式 美しい日本語が、心の強い子を育てる』があり、メディアでも多く取り上げられている。

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