幼稚園と保育園の違いってなあに?


最近は、幼稚園でも預かり保育を行ったり、保育園でも英語や体操を取り入れたりする園が多くなってきました。一見するとその違いは大きいものには見えないかもしれませんが、そもそもそれぞれの管轄や設立の目的は異なります。
幼稚園・保育園とは?それぞれの役割
保育園と幼稚園、その役割にはそもそもどのような違いがあるのでしょうか?それぞれの役割を見ていきましょう。
幼稚園の役割
幼稚園の役割は、学校教育法第22条に基づき『義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し 、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、心身の発達を助長すること。』とされています。
この目的を達成するために、幼稚園教諭は幼児との信頼関係を十分に築き、幼児と共によりよい教育環境を創造するよう努めなければなりません。
保育園の役割
保育園の役割は、児童福祉法に基づき『保育に欠ける子どもの保育を行い、健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。』とされています。
保育士はその目的を達成するために、家庭との緊密な連携の下、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うよう努めなければなりません。
幼稚園と保育園の違い
保育園と幼稚園とでは、それぞれの役割も異なれば、管轄や職員配置の基準なども異なります。ここからは、幼稚園と保育園の違いをいくつかの項目に分けご紹介します。
大きな違いは管轄と法令
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幼稚園と保育園は、管轄や順守すべき法令が異なります。
幼稚園は、文部科学省管轄のもと学校教育法に基き、学校教育施設として設立され、保育園は、厚生労働省管轄のもと児童福祉法に基き、児童福祉施設として設立されています。
保有資格・職員の配置人数の違い
【保有資格】
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幼稚園で働くには、幼稚園教諭2種免許か幼稚園教諭1種免許、保育園で働くには、保育士資格が必要です。
無資格者でも保育補助として働ける園もありますが、認可を受けるためには一定数の有資格者の配置が定められています。幼稚園と保育園が一体化した認定こども園では、業務内容によって両方の取得が必要になる場合もあります。
【配置人数】
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幼稚園は、幼児数35人以下の1学級に専任教諭が1人配置されます。保育園は年齢により配置人数が変わり、保育士1人につき0歳児クラスの乳児数は3人。1、2歳児クラスは6人。3歳児クラスは20人。4、5歳児クラスは30人と定められています。
子どもの対象年齢の違い
基本的な子どもの対象年齢は、幼稚園が満3歳児から小学校就学前まで。保育園が0歳から小学校就学前までです。現在は幼稚園でも満2歳児から未就園児として預かっている園もあります。保育園は、園によって0歳児の受け入れを行っていなかったり、0歳児を受け入れていても入園できる月齢に違いがあったりします。
保育内容の違い
管轄や法律が異なることで保育内容の指針も変わります。それぞれ基本となる指針は、幼稚園が『幼稚園教育要領』、保育園が『保育所保育指針』です。
幼稚園の保育時間は4時間を標準とし、保育園は8時間を原則としていますが、預かり保育や延長保育を行っている場合もあります。年間の保育日数は、幼稚園が39週以上、保育園が前提300日です。
幼稚園と保育園の違い一覧表
項目 | 幼稚園 | 保育園 |
---|---|---|
管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
法令 | 学校教育法 | 児童福祉法 |
位置づけ | 学校教育施設 | 児童福祉施設 |
指針 | 幼稚園教育要領 | 保育所保育指針 |
主な目的 | 幼児を保育し適当な環境を与えて、心身の発達を助長すること(学校教育法第22条) | 保育に欠ける子どもの保育を行い、健全な心身の発達を図ること(児童福祉法第39条) |
保有資格 | 幼稚園教諭免許 | 保育士資格 |
職員の配置人数 | 1クラス35人以下に教諭1人 | 保育士1人につき0歳児クラス3人。1・2歳児クラス6人。3歳児クラス20人。4・5歳児クラス30人 |
主な勤務形態 | 基本的に固定勤務 | 早番・通常・遅番などのシフト制 |
主な対象年齢 | 満3歳児から小学校就学前まで | 0歳から小学校就学前 |
主な保育時間 | 標準4時間 | 原則8時間 |
年間保育日数 | 39週以上 | 前提300日 |
給食 | 任意(給食と弁当との自由選択、給食に曜日指定がある園、全給食、全弁当など園によりさまざま) | 義務 |
今回は幼稚園と保育園の違いのみに触れましたが、幼稚園・保育園内でも公立と私立などの種別の違いや、園の特徴により保育時間や預かり人数などが異なります。平成27年に子ども子育て支援新制度が導入されたことにより、今後は、幼稚園と保育園が一体化した”認定こども園”も増えてくることが予想されるでしょう。
基本の形態や違いを覚えておくことはプロとして必要です。日々の保育内容などに悩むことがあったら、基本を振り返ってみるのも良いかもしれませんね。
≪参考文献≫
『幼稚園教育要領』(著者:文部科学省、文科省)
『保育所保育指針 解説書』(著者:厚生労働省,厚労省)
あいさん(2016年6月8日)
図や一覧表など、すごくわかりやすいです(^_^)
仕事としても、親としても(2歳の子どもがいます)漠然とはわかっていても?細かい点が気になるところだったので、役に立ちました!ありがとうございました。