ドラマ37.5℃の涙のモデル”フローレンス”へ取材!病児保育の実態


今回ほいくらいふではドラマ「37.5℃の涙」のモデルとなった、訪問型の病児保育を提供する「認定NPO法人フローレンス」へ取材に行ってきました。核家族/共働き家庭が増え、今後さらに需要が増えると思われる訪問型「病児保育」の大変さややりがい、ドラマからはわからない病児保育の実態をお聞きしました。
お話を伺ったのは
- ●「小湊郁心(こみなといくみ)」さん
こどもレスキュー隊員として働き、現在は病児保育事業本部スタッフとして研修などを務める
●「赤坂緑(あかさかみどり)」さん
以前フローレンスで病児保育を利用したことがきっかけで入社、現在は病児保育事業部マネージャーを務める
※こどもレスキュー隊=認定NPO法人フローレンスの登録商標
※こどもレスキュー隊員=病児保育士
左:赤坂緑(あかさかみどり)さん
右:小湊郁心(こみなといくみ)さん
病児保育という仕事に最初は漠然とした不安があった
保育園・幼稚園に勤めていましたが、集団保育でお子さんたちと関わるより、少人数でじっくり関わりたいと思ったことが、病児保育に関わるきっかけだったと語る小湊さん。保育の幅を広げるため、こどもレスキュー隊員に応募をしたそうです。
―――体調不良のお子さんを預かることへの不安はありましたか?
- とにかく最初は漠然とした不安がありました。ドラマにもありましたが、それこそけいれんが起きたらどうしようと思っていたんですね。でも、抱えている不安を研修で相談し、けいれんそのもので命を落とすことはないなど、正しい知識や対処法を学び、少しずつ不安は解消されていきました。
―――利用者様の自宅で保育することに不安はありませんでしたか?
- 1人での保育の不安は、本部との連携が整っているので軽減されていますね。
鍵などの貴重品のお預かりは、間違いがあってはいけないので、慎重に扱っています。お金を預かる場合は目の前で数えて確認して金額を書きます。また、お子さんが貴重品を見つけて遊んでしまったり、あったはずのものがなくなってしまったりなど誤解のないように、「貴重品は保育スペース以外のところに閉まってくださいね」とお声掛けをしています。
家財に関しても、「マジックで描いてしまった!」など汚してしまわないよう、おうちに傷がつかないように気を付けています。
最初は大きかった不安も、実践と研修の繰り返しや、本部との連携で1つずつ解消されていったようです。
病児保育の1日の流れ、その中でのやりがい
―――1日の流れや他のスタッフとの連携を教えてください
- 自宅に着いたら、まずお子さんの症状や、その日一日をどのように過ごすかなどをお聞きし、その後鍵や保険証などをお預かりします。
親御さんも朝は忙しいので、10分から15分程度でしっかり聞き取るようにしていますね。事前に病院にかかっていない場合は病院へ連れて行き、昼食、お昼寝、おやつ、遊びなどお子さんの年齢や症状に合わせて過ごします。お子さんのお昼寝中に様子を見ながら、病児保育記録を書いたり、食事をとったりしていますね。
親御さんのご帰宅を待って、お子さんの様子をお伝えし直帰します。その後、今日の学びやヒヤリハットの報告をし、明日に備えるという流れです。
他にもオンラインで保護者に経過報告をしたり、病状によっては小児科医に往診をしてもらったりするそうです。
―――こどもレスキュー隊員として働く中で、どのような時にやりがいを感じますか?
-
やりがいは、お子さんが心を開いてくれた時ですね。たとえば、午前中と午後で表情が明るくなったり、口数が増えたり、だんだんイタズラしてくれるようになったりすると、心を許してくれているんだなって思えます。
他には、病状の変化に気づくことができた時です。たとえば、この咳は普通じゃないと気づいて病院に行った結果、大事に至らなかった時など、的確な対応ができてよかったと思いますね。
ドラマとは違う?!実際の家庭との関わり方
家庭との関わりで大切になってくる病児保育記録。
保育園、幼稚園でも連絡帳のやり取りで悩む方が多いと思います。小湊さんは、親御さんが気にしていることをポイントに書くようにしているそうです。
―――病児保育記録を書くコツはありますか?
- 病状に関することはできる限り細かく、でも長くなりすぎないようにポイントを絞って書くようにしています。たとえば、咳が止まらないことが気になる場合、咳の様子をより細かく、このような時に咳がよく出ていた、どのような咳が出ていたなど丁寧にポイントを絞って書いています。
書き方でも「電車で遊んでいました」とだけ書くのではなく、横になって電車を走らせていたのか、電車と一緒に走り回るくらい活気があったのか、病状が伝わるような書き方を意識しています。
こどもレスキュー隊員としてやりがいを感じる中で、葛藤も多くあるのではないかと思い、その点についてもお聞きしてみました。
―――ドラマの中では家庭に口出ししない、叱らないなど決まりがありましたが、実際はどうでしょうか?
- 決まりにはなっていませんが、病気に関することは言葉を選んでアドバイスすることはあります。ご家庭の環境に大きく踏み込むことはしないですね。
それこそドラマにもありましたが、胃腸炎なのに食事がカレーしかご用意されていない場合など、お子さんの好きなカレーを作ったという親御さんの気持ちは否定しないようにしつつ、「万が一食べられなかった時、他に食べやすそうなものはありますか?」とお聞きすることはあります。
―――実際に訪問してみて、部屋の散らかりや食事など気になる点はありますか?
- 部屋の散らかりについては介入することはありません。親御さんの精神状態が不安定で、虐待の可能性が疑われる場合などは、会社経由で保育園と連携をとったり、行政などに共有したりして、気にかけるようにしています。
毎日が「はじめまして」お子さんとの打ち解け方の秘訣
―――なかなか心を開いてくれないお子さんもいると思いますが、打ち解けるための秘訣はありますか?
- 比較的人懐っこい子が多いと思います。普段から保育園に通っているので、親御さんと離れることには慣れていますね。環境も自宅なので、長い時間心を開いてくれない確率は低いです。
しかし、全くないわけではありません。そういった場合の秘訣は焦らず、その子のペースに合わせることです。
ぐいぐい来られるのが嫌なお子さんもいるので、少し引いてお子さんから来るのを待つ時もあります。初めて会うため、どういうタイプのお子さんかわからないので、自分の保育の引き出しを試しながら探っていきます。この子に合う引き出しはこれだ!というのが見つかった時は嬉しいですよ。
―――引き出しを増やすための研修はありますか?
- フローレンスには、病児保育事業部以外にもおうち保育園など、他の事業部もあるので合同で保育について学ぶ機会があります。
あとは巡回制度があるので、「こういう場合はこのような遊びが良い」など教えてもらえます。普段1人で保育をし、なかなか他のスタッフの保育を見たり、教えてもらったりすることがないので、会社としても積極的にそういった機会を作っています。そこで引き出しを増やしていますね。
幼稚園でも他のスタッフの保育を見る機会は少ないのではないでしょうか?園でもこのような研修があると勉強になると思いました。
ニーズが増えていく中での対応
子どもの体調不良は予測ができません。そんな中、フローレンスでは朝8:00までのご予約の100%対応を約束しています。
- 冬はインフルエンザ、夏は手足口病などが警報レベルで発症することがあり、10年間蓄積してきた病気の発生率などのデーターを基に、100%対応をお約束できる範囲で入会数を決めさせていただいています。
お話しを伺った赤坂さんも、自宅近くに、施設型の病児保育がなく大変苦労されたそうです。
現在は利用したい方が増え、新規の入会を待っている方がいる状態だそうです。それほど必要性が高いということでしょうね。
―――最後に今後の目標やビジョンをお聞かせください。
- こどもレスキュー隊員を経験して、現在は本部スタッフとして研修する側になりましたので、現場で培った経験や保育の引き出しを伝えられるようになりたいと思っています。
自分のスキルを他のスタッフに伝えながら、自分自身も成長したいと思っています。
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体調が悪くなったお子さんを保育する「病児保育」
具合が悪い時に親御さんと離れているお子さんの不安な気持ち、急な体調の変化など、さまざまなことに気を配り保育を行っていることがわかりました。
今後もますます需要が増え、保育園、幼稚園との連携も多くなってくると思います。子どもと関わる仕事は多くあります。子どもたちのための保育・関わりができるよう、職場は違っても、それぞれ連携を取って良い関係を築いていきたいですね。
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