休憩がほしい!-私たちの休憩確保大作戦-


突然ですが、みなさんの勤める保育園や幼稚園では、休憩時間はありますか?きちんと1時間、とれていますか?
私は2つの園で働いた経験がありますが、以前つとめていた幼稚園では、「休憩」と呼べるものを1分もとったことはありません。というかそもそも「休憩」という概念が存在しなかったのです…。
周りの保育士さんたちの話を聞いていても、休憩をとれていない方が多いようです。今回は休憩大好きな私が、休憩をめぐる園との戦いの記録をお届けします。
休憩時間とは?
みなさん、当たり前のように休憩をとらずに働いている方が多いと思うので、まずは「休憩時間」とは何なのか、基本に戻って確認してみましょう。厚生労働省の定義を確認すると、
- 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。したがって、待機時間等のいわゆる手待時間は休憩に含まれません。
(厚生労働省HP)
との記載があります。よってフルタイムで働いているのであれば、45分~60分休憩をとることは労働基準法で定められているのです。
幼稚園では休憩時間が存在しなかった
私が大学卒業後にはじめて勤めた幼稚園では、「休憩」という言葉が存在しませんでした。もちろん求人票には「休憩1時間」と記載されていましたが、どう考えてもとる時間がないのです。出勤してから退勤するまで、スケジュールはぎっちり詰め込まれていて、当然、先輩たちもその環境を当たり前のものとして過ごしていました。
あるとき、職員室で、先生たち同士で「私たち休憩もとらずに働いてるのにね~」なんて話をしていたとき、園長がこう言ったのです。「君たち、毎日の職員会議のときにお茶飲んでるよね?お茶飲むのは立派な休憩でしょ?」たしかに毎日の職員会議では、お茶を飲んでいました(下っ端である自分がいれたお茶…)。そう、私たちの休憩のすべては、この「お茶」につめこまれていたのです…!その事実を知ってから、私は唯一の休憩であるこの「お茶」を全力で味わうようになりました。
保育園でも休憩時間は存在しなかった
ブラック幼稚園を退職したあと、保育園に転職しました。幼稚園に比べるとかなり職場環境が良く、人間関係も良いし残業もほとんどないし、おおむね満足していたのですが、やっぱり休憩は当たり前のようにないのです。幼稚園と違い、保育園では午睡(お昼寝)の時間がありました。おそらく、「休憩」と呼べるのは、子どもたちを寝かしつけたこの午睡中の時間でしょう。たまにお菓子をつまんだりなんかしていましたが、もちろん「仕事をしながら」です。朝から夜までギリギリの配置人数で保育をしていたので、保育以外の業務(保育日誌、連絡帳、週案、制作の準備、行事の企画・指導案・準備・反省、ブログなど)をこの時間に終わらせないと、残業または持ち帰りが確定です。午睡だからといって子どもたち全員がぐっすり眠るわけではないので、たまに目覚めてしまう子や泣いてしまう子、トイレに行く子たちの世話もしながら、ものすごい勢いでこれらの仕事を片付けていました。
この時代、書類を作成しながら手軽に食べられて糖分補給できるチョコが職員間で大流行!みんなそれぞれお気に入りのチョコを職場に持ってきて、この時間に交換して食べながら一緒に仕事をがんばっていました。今となってはいい思い出です。
でも、やっぱり休憩はほしい!
誰よりも「休憩時間」に対して執念深い私。どうしても休みたい!(笑)というか、当たり前の権利を当たり前に使いたい!決して休憩時間の確保をあきらめませんでした。職員会議にて、職場環境改善がテーマに上がる度、「休憩がほしいです…」「休憩がほしいです…」何度も上の方々へアピールしました。その時の上司の回答は、「君たち子どもたちの午睡中に私語してるよね?それは立派な休憩でしょ?」というものでした。
どこかで聞いたことのあるようなセリフ…。そう、これは以前働いていた幼稚園の「お茶理論」と一緒だったのです!
たしかに勤務中(午睡中)に仕事と関係ない話をしていることもありました。こちらに非があるように言われてしまうと、言い返せなくなってしまう保育士たち…。でもそれって正しい理論でしょうか?納得のいかない表情をしていると、最後に上司から、「そんなに休憩ほしいんだったら、自分たちで協力して時間見つけなよ。」との言葉をいただくことができました。その日から職員たちの休憩確保作戦がはじまったのです。
チームワークと仕事の効率化!
その日から職員同士で「どうやったら仕事を効率化できるか」を考え、時間を生み出す方法を話し合いました。出た案としては、
・掃除当番のローテーションを工夫する。
・制作物の準備など、補助の先生へお願いできるもの各クラスでまとめて依頼する。
・職員会議の回数を減らす(その分、行うときは内容を濃くする)。
など、慣れてしまっていた日々の業務を見なおすことで、いくつか効率化できるポイントを見つけて体系化していきました。この取り組みから、午睡時以外にも「書類作成するための時間」をとることができるようになり、結果的に時間に余裕が生まれたのです。
また担任同士でも、「いかにして子どもを早く寝かしつけるか」という作戦会議をし、寝かしつける子どもの順番、それぞれが眠りに落ちるポイント(A君は背中トントン、Bちゃんはおでこをさする、C君は足をマッサージするなど、それぞれ気持ちいいポイントがある)を共有し、催眠術師のようにものすごい早さで寝かしつけていきました。子どもたちが早く眠りにつくことができれば、その分私たちの時間が増えますから…。まさに園全体、クラス担任同士のチームワーク!
行事前はさすがに忙しかったものの、この改善策により、日々30分~1時間程度はゆっくりできる時間がとれるようになりました。「休憩」と呼べる時間に園を出て外の空気を吸い、はじめて外の自動販売機で買ったボスの缶コーヒーの味は忘れられません。やっぱり少しでもリフレッシュする時間があると、午後も子どもたちと新鮮な気持ちで向き合えますし、接し方にも余裕が生まれます。イライラして子どもに当たってしまうと、子どもにも自分にも良くない影響を与えますよね。日々忙しく過ごしている保育士さんにこそ、休憩は大切です。
今休憩をとれていない保育士さんたちも、決してあきらめないでください。上が改善する気がないのなら、保育士のみなさんで団結しましょう。チームワークと仕事の効率化で、休憩時間が生み出せるかもしれません。
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