Teacher’s cafe取材レポート~保育士さん達の「こんな場所がほしかった!」がつまったカフェ~


2019年、保育士さんによる保育士さんのためのカフェが神奈川県・相模大野にオープンしました。
その名もTeacher’s cafe(ティーチャーズカフェ)。
「保育士さんの持ち帰り仕事」というお悩みから生まれたこのカフェをほいくらいふが取材しました。
Teacher’s cafeってどんな場所?
小田急線・相模大野駅北口から徒歩3分のビルの3階。
「Teacher’s cafe」は地元で愛されている「トロワ シャトン」とコラボして、同じスペースで営業をしています。

▲写真右から坂井さん、青木さん(Teacher’s cafe)、原村さん(トロワシャトン)
今回はオーナーの坂井克行さん(以下、坂井さん)、スタッフとして常駐している保育者歴14年の青木美香さん(以下、青木さん)にお話を伺い、トロワシャトンの店長・原村史朗さんに珈琲でおもてなしをしていただきました。
どんな人が利用できるの?
保育士、幼稚園教諭、小学校教諭をしている・保育に携わっている方々がちょっとした作業やおしゃべりを楽しむためにTeacher’s cafeはあります。
保育者を目指す学生さんも大歓迎。
相模大野の近隣には相模原女子大学や和泉短期大学、町田にある専門学校など保育の養成校も数多くあります。
坂井さん:
和泉短期大学のスクールバスの通り道なんです。だから看板もバスから見えるんじゃないかって。学校にはチラシも配ったりしているので、気軽に遊びに来て欲しいですね。
ローカル新聞に取り上げられたこともあり友達と誘い合って来たり、フラっと立ち寄られる方もいるそうです。
Teacher’s cafeのシステム

▲現在は一般の方にはトロワシャトンをご利用いただいているとのこと
「トロワ シャトン」と入り口が一緒なので、入店時は「Teacher’s cafeを利用します」と一声かけていただければスムーズに利用できます。
保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の方は300円、保育・教育職を目指している学生さんは200円で時間無制限でセルフサービスのドリンクが飲み放題で利用することができます。
教材(工作の材料など)を利用希望の方は別途100円で利用することができます。
カフェが入る前は住まいだったというこの場所。
玄関では靴を脱いで、お家のようにゆったりと過ごせます。

▲個室はビーチをイメージしたインテリア
ソファのある個室・集中作業ルームがあります。
「他の人に聞かれたくないような話をしたい時に」という、プライバシーが気になる保育者ならではの配慮です。
確実に利用したい場合は、事前に連絡して予約をしておくと良いですね。(連絡先はこちら)
コーヒーの種類も豊富で、冷蔵庫には数種類のジュースやお茶も揃えてあります。

▲カフェスペースの座席は24席。温かい日差しがいっぱい差し込みます
「トロワ シャトン」と共同のカフェスペースでもゆったり作業できます。
トロワシャトンのドリンクを注文してもOK。
こちらのドリンクはTeacher’s cafe利用者は特別料金で飲むことができます。
フードメニューも充実しているので、お腹が空いた時にもピッタリ。
Teacher’s cafeではこんなことができます
保育者の声から生まれたTeacher’s cafeなので、「かゆいところに手が届く」サービスがたくさんあります!
①お家でできない製作やピアノの練習
利用料金にプラス100円で教材コーナーの材料が使い放題です。
色画用紙などの文房具はもちろん、ポンポン(ボン天)やミシンなどの手芸用品、トイレットペーパーや新聞紙などの廃材もあります。
手ぶらで来ても作業ができるのは嬉しい♪

▲坂井さんは海外に行くのも好き。タイで買ってきたレアな素材も
青木さん:
私も保育士時代ファミレスで夜遅くまで制作をする経験があったのですが、「持っていた材料が足りなくなってそこで終了」ということもあったりして。
「私が保育士している頃に欲しかった」という理想を詰め込みました!
「ちょっとずつ色々な素材を使いたい」というニーズにも合っていますね。

▲教材コーナーの壁には季節にあった青木さん作の制作が
青木さんには「大量生産するコツは?」「どうやって作ったらいんだろう?」といった相談も寄せられると言います。
エプロンシアターや手作りのスケッチブックシアター、紙芝居なども豊富に揃えてあります。読み聞かせの練習にも!
お家になくて困るのがピアノですが、ここならヘッドホンを使って集中して練習もできます。
②たくさんの本や雑誌で調べもの
カフェ内はWi-Fi完備でスマホもサクサク使えるのも嬉しいところ。
パソコン2台・プリンターもあって、タイピングの練習や印刷物の準備もできます。
さらに、教材コーナーには『Pot』、『ひろば』、『Piccolo』、『PriPri』などの人気の保育雑誌が全季節揃い、壁面製作の型紙もプリンタでコピーできたり、教材コーナーの物を使ってすぐに作ることができて便利ですね。
保育雑誌だけでなく、指導計画作成に役立つ本や保育の入門書~専門書もたくさん揃っています。(約160冊)
③トロワ シャトンの美味しいコーヒーやお料理を楽しむ

▲「元々コーヒーは飲めなかった」という青木さんもハマる美味しいコーヒー
トロワ シャトンは2019年に閉店した伊勢丹相模原店の中にあった「葉山珈琲」が前身の本格カフェ。
坂井さんやも元々「葉山珈琲」のモーニングのファンだったこともあり、カフェの共同出店をもちかけたと言います。
一人ひとりの好みにあわせてコーヒーをブレンドして命名までしてくれるので、カフェ好きの保育士さんはぜひお試しを。
きっかけは保育士の「持ち帰り仕事」問題
この店の運営をし、保育の現場に近いお二人にこのカフェにかける思いを聞きました。
坂井さんは株式会社グラシムの代表取締役として、相模大野を中心に保育所まあむを4園運営。相模原地区の小規模保育の連絡会の代表も務めています。
その中で、多くの保育士さんが「持ち帰り仕事」とその作業場所に悩んでいたことを耳にし、「なんとかしたい!」と考えるようになりました。
坂井さん:
「仕事が多くて終わらない、相談できない」という保育士さんもいました。
「場所を変えて仕事がしたい」という保育士さんもいました。かと言って家ではくつろぎすぎてできない。
そういった方がどこへ向かうかというと帰り道のファミレスに寄ったりするんですよね。
しかし、ファミレスには材料もないし……そこで「製作の材料などを揃えた喫茶店があれば利用してくれるのでは」と思ったのがきっかけですね。
持ち帰り仕事を推奨しているわけではありませんが、「子どものいる時間はなかなか集中した作業がしづらいけれど、コーヒーでも飲みながらリラックスして時には相談し合いなどをしながら作業ができれば……」という保育士さんならではニーズがありました。
一方で青木さんは幼稚園を10年、1年の海外生活を経て、インターナショナルプレスクール2年、保育園の園長なども色々な立場も経験し、保育者としてのキャリアは14年にもなるベテランです。
当時は孤独に、長時間の持ち帰り残業をしていた辛い原体験がありました。
青木さん:
私も新人の時はミスが多かったり仕事も遅かったので、当時は「自分の悩みなどももっと気軽に相談できる人がいたら……」と思っていました。
カフェ開店には「困っていたり悩んでいる人の役に立てれば、辛かった時代や今までの経験を誰かのために伝えられたら」という強い気持ちがありました。
小規模保育園の園長をしていた青木さんは連絡会にて坂井さんと出会いました。
そこで「保育士さんの持ち帰り仕事」という課題感が共鳴し、このTeacher’s cafeを開店するに至りました。
坂井さん「”結束”してwin-winの関係に」

▲坂井さんが子ども達のために買い付けた世界のおもちゃ
坂井さん:
都市型の保育園には会議室やちょっとした作業スペースなどがないこともよくあります。
そこで、坂井さんはそんな自園の職員さんを思って福利厚生としてこの場を提供し始めたと言います。
(今でも保育所まあむの職員さんはこちらを無料で利用できます♪)
坂井さんは「働く人を支える」お仕事を50歳になるまでされていたそうです。
その為か「現場で働く保育士さんのために」という思いが強く感じられました。
坂井さん:
「葉山珈琲」しかり、この近辺の保育所しかり、この周辺はすごく「コラボ」が多く生まれる結束力がある土地なんです。
地域みんながハッピーで、win-winな関係が築けることを目指していますね。
今後は制作の通信販売などまだまだ新しいことにも挑戦していきたいです!
青木さん「保育学生や新人保育士さんもケアできたら」

▲これまでの経験を活かし親身になって相談にのったり、共感したりも
「今後は学生さんとの関わりも増やしていきたい」と考える青木さん。
青木さん:
ヨコのつながりがあると安心するし、仲間って必要だと思うんです。
学校や勤務先だけではケアできないこともあるんじゃないかなと。
学生さんや新人さんには、気持ちのケアだけでなく仕事の進め方だったり制作のアイデアだったりをお伝えする機会を作りたいです。
保育への熱い思いをもち、弾けるような笑顔が素敵な青木さんに救われる方も多いはずです。
青木さん:
知識がなく相談相手もいない中で仕事を進めるのは大変ですよね。
自分の園や関係者じゃない、でも同業者だからこそ話せることもあると思いますので気軽に相談してもらえたら嬉しいです。
お客さんの反応は?
この日は青木さんの元職場の保育士さんや保育士仲間の5名がランチ会にいらしてました。
「葉山珈琲」時代から、こちらの料理のファンという方もいらっしゃいました。
お客さん:
今は働く職場もバラバラですが、園を越えて集まれる場があるのは嬉しいです。
プライバシーが守られている空間なので、「こんな子の対応の仕方に迷って」「そっちの園のやり方は?」などと意見交換も活発でした。
お客さん:
「突然雨が振ってきた時の室内遊び」だとか「ちょっとした空き時間にできる手遊びや工作」が知りたい時、本を見たりお互いに良いアイデアをシェアし合ったりして引き出しが増やせますよね。
ファミレスやカフェのように店員さんや周りの目を気にする必要もないので、以前は4時間も滞在したこともあったと言います。
皆さんが口を揃えておっしゃる言葉が「こんな場所が欲しかった!」でした。
保育者・保育学生へのメッセージ
最後にこれから保育の世界へ飛び込む方に向けてお二人からメッセージをいただきました。
坂井さん:
僕は50歳になってから保育の世界に入ったんだけど、今振り返ってみると全部の経験が活きてきましたよね。だから無駄なことなんて何一つなかった。
そして、保育士さんはそれぞれ制作が得意だったり、音楽が得意だったり、色々な「得意」をもっていますよね。そんな得意とか好きを思う存分発揮して欲しいよね。
青木さん:
子どもと接する上では「子どもと友達になる」ということを意識していました。子ども達と同じ目線になって楽しんでいる姿を見せること。
そして、メリハリも大事です。仕事とプライベートだったり、子どもへの態度も切り替えが大事ですね。
……なんて、今だから言えますが。(笑)
幼稚園教諭時代は担任をやりたくても任せてもらえずフリーでいた時期もありました。かと思えば園長をやらせていただいたり……。色んな立場を経験したからこそお伝えできることもあるんじゃないかと思っています。
Teacher’s cafeは作業だけでなく、ちょっとしたアイデアが欲しい時、職場の悩みを保育の先輩に相談してみたい時の駆け込み寺。
そして青木さんや他の園の方々と悩みや喜びを分かちあうことで、安心したり元気になれるパワースポットのような素敵な場所でした。
これから生まれる保育士さん・学生同士や地域とのコラボも楽しみです!
気になった方はぜひ足を運んでみてください。
Teacher’s cafeの基本情報
- ●営業時間:月~金 11:00~19:00
●定休日:土日・祝日
●電話番号:070-1552-6258
※営業時間外でも相談・予約の上、対応できることもあります。ご連絡ください!
●住所:神奈川県相模原市南区相模大野3-18-3 新井ビル3F
●ブログ:teacher’s cafeのブログ
●Twitter:@teacherscafe1
●公式LINE:@918povqn https://line.me/R/ti/p/%40918povqn
今後は土・日の営業、延長営業、イベント開催などもおこなっていきます
ぜひ1度来てみてください♥(by青木さん)
最新情報はTwitterをチェック。
ブログでは保育のアイデアやイベント情報等を発信しています。
Teacher’s cafeへのアクセス
最寄りの相模大野駅から徒歩3分とアクセス抜群です。
①相模大野駅の中央改札を出たら右手(北口)へ
②ペデストリアンデッキを右手側に行き、MORE’S側の階段から降ります
③パークサイド通りに沿ってまっすぐ進むと左手側にTeacher’s cafeのあるビルがあります
④入口はこちら
3階ということもあり、ちょっと入りにくい雰囲気はあるかもしれませんが勇気をもって入ってきてください!笑(by青木さん)
⑤3階まで上ります
⑥日本家屋風の玄関があります。ここからTeacher’s cafeとトロワ シャトンに入れます。
室内は靴を脱いで、リラックスしてお過ごしください♪
※この取材記事の内容は、2020年2月に行った取材に基づき作成しています。
Teacher’s cafe・トロワ シャトンのみなさま、当日いらしたお客様のみなさま、ご協力ありがとうございました!
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