幼稚園・保育園でも残業しない方法はあるの?!

こんにちは、現役保育士の“たこぼうず”です。
突然ですが、こんな職場はありませんか?
- ・毎日夜遅くまで残業することが当たり前になっている。
・仕事が職場だけでは終わらず、家に持ち帰って仕事をしている。
・残業代が支払われない、いわゆるサービス残業が多い。
私の勤めている職場も、以前は残業や持ち帰り仕事が多い職場でした。しかし、保育士のワークライフバランスを目指し働き方を改善していくうちに、今では全職員がほぼ毎日定時で退勤しています。
もちろん、持ち帰り仕事は作りません。残業時間を減らし「職場内で仕事は完結させる」そんな働き方ができるようになりました。どうすれば残業をしない働き方ができるのか、私自身の取り組みを紹介します。少しでもお役に立てれば嬉しいです。
残業時間への考え方を変えること
最も重要なことは、「残業を評価しない」ことだと思います。未だに職場によっては、残業していることが「頑張っている」と評価されたり、定時であがると嫌味を言われたりすることがあるでしょう。
本当に仕事ができて、頑張っている人は、所定労働時間内に仕事を完結していますし、それがプロの仕事だと私は考えています。
もう1つ重要なことは、「残業代をきちんと支払う職場にする」ことだと思います。残業が多ければ多いほど、会社は割増賃金を多く支払わなければなりません。すると人件費削減のためにも、定時で働くことが望ましいという考え方になっていきます。
ただしこれらは、経営サイドの考え方次第かもしれません。園長先生などの考え方を変えるのは、なかなか難しいですよね。
では、個人やチームでもできる、残業をしない働き方とは何でしょうか?
個人やチームでもできる「残業をしない方法」
「残業をしない」「残業代を払う」と口で言うことは簡単です。具体的には、どのように取り組めばいいのでしょう。
まずは、ポイントを紹介します。
- ●ポイント●
・業務の見える化
・計画性
・優先順位
・そしてベースに「チームワーク」が大切だと私は思います。
業務の見える化~みんなの動きを知ろう~
この表をご覧ください。
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これはチーム内の保育士の動きを表にしたものです。
・保育時間
・休憩時間
・事務作業時間
・フリー時間 などを示しています。
保育士は、この表を見ながら1日の動き方を確認し、仕事に取り組んでいます。
表があることでこんなメリットが生まれました。
- ●表があることのメリット●
・1日の業務に見通しがもてる
「私は、今日16時から1時間フリーになれるから、その時間で行事の準備をしよう」などと計画することができるようになりました。
・”保育内容”の話し合いがじっくりできる
子どもの実態に合わせて予定は柔軟に変わるものですが、ベースとなる表があることで「職員の動き方を相談する時間」は減り、そのぶん「保育内容」の話し合いが多くとれるようになりました。
・仕事にメリハリがつく
以前は、子どもとかかわりながらも「あー、今日まだ日誌書いていないなあ…」などと焦りを感じたこともありましたが、子どもとかかわる時には、心置きなくじっくりかかわれるようになりました。
また、時間が決まっているため、遠慮せず保育を抜けられるようになりました。保育を抜けている間は「制限時間」を意識して業務に取り組むため、効率的に集中して仕事をするようになりました。休憩時間がしっかり確保できるようになったことも大きいです。
・全体の動きが「見える」
他の保育士の動きがパッと見て分かるようになりました。「この時間、保育に人手が足りないな」とか「私がフリーの時間、A先生もフリーだから、ちょっと打ち合わせしようかな」などと「作戦」を立てることができるようになりました。
・「フリー時間」が毎日確保できる
1日あたり60分~120分の「フリー時間」が確保できるようになったため、行事の準備や月案の作成をしたり、教材研究や打ち合わせができたりするようになりました。
計画性~フリーの時間を有効活用しよう~
次に、このカレンダーをご覧ください。
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先程紹介した「表」で、1日あたり60分~120分のフリー時間が確保できることになりました。
すると次は、その「フリー時間で何をするか」という計画を立てることができます。
保育士の抱える仕事は多量です。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと焦ってしまうことも経験あるかと思います。
私がお勧めしたいのは、カレンダーを1枚印刷し、フリー時間にする仕事の計画を月単位で振っておくことです。
例えば、「月案は3日かけて作ろう」とか「来月行事担当だから早めに取り組んでおこう」というように考えます。1カ月単位で「間に合う」という見通しがもてること、計画を「見える化」することで、焦りは減るはずです。焦りが減ると一つ一つの仕事に余裕をもって丁寧に取り組めるようになります。
優先順位~TO DOリストを作ろう~
最後に、このメモ帳をご覧ください。
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1カ月の仕事計画ができたら、1日の仕事計画を立てます。いわゆるTO DOリストです。
カレンダーを見ながら、今日すべき仕事をメモ帳に書き出しておきます。各仕事には「30分」などと所要時間を見積もっておくとより良いでしょう。
そして、リストの中で優先順位の高いものから番号を振っておきます。あとは優先順位の高いものから、順番に手をつけていきます。もし予定が全部終わらなくとも、優先順位の高いものは既に終わっているわけですから、優先順位の低い、終わらなかったものは翌日などに繰り越せばOKです。
計画を立てる時のポイント
ちなみに、計画を立てる時は時間的余裕をもたせることが大事だと思います。
例えば、この仕事は20分でできるだろうと思っても、30分に見積もっておくことが重要です。
なぜなら、「ちょっと今いいですか」とイレギュラーな打ち合わせが舞い込んだり、急に子どもの対応が必要になったりして、現実的に「本来の業務に没頭する時間」の合間には雑務が入り込みがちです。
雑務によって予定が押してしまっては、余計焦るばかりです。始めから雑務が入ることを見越して多めに時間を見積もっておくと、自分自身ストレスを感じずに、丁寧に相手にも受け答えできる利点があります。
今回は、主に書類作成などを想定した働き方を紹介しました。
ただ、忘れてはならないのは「打ち合わせ」だと思います。「打ち合わせがやたら長くて残業が増えてしまう」そんな職場も多いでしょう。
次回のコラムでは、引き続き残業をしない働き方をするために、どんな打ち合わせや会議が有効か、紹介していきます。お楽しみに!
下記の記事も、「ワークライフバランス」の参考になります。
⇒たこぼうずさんの関連記事『保育園での有給休暇~取得しやすくするためには~』はこちら
たこぼうずさんのブログはこちら≫『男性保育士の本音 たこぼうず』
midorinoyubiさん(2016年1月9日)
本当にこのような考え方で働けたらどんなに良いでしょう。遅くまで頑張るのが美徳と考えられている職場では、まだまだ遠い道のりです。
たこぼうずさん(2017年3月2日)
>midorinoyubi様
遅くまで頑張るのが美徳という考え方は、本当に改善したいところですよね。
Jamieさん(2017年3月2日)
その職員の予定表は誰が作るのでしょうか。
そもそもそういった考え方があったとしても、やりやすく変えていくひと手間がかけられないのです。
なんとかならないでしょうか。
たこぼうずさん(2017年3月2日)
>Jamie様
私が現場にいた頃は、私が作っていました。そもそも労務管理は本来主任や園長が役割を担う必要があるのですが、機能していない園が多いですね。
そのひと手間をかけられないという気持ちは非常に分かりますが、発想の転換が必要で、どの仕事よりも優先して予定表を立てることをお勧めします。
大枠から仕事を段取ることで、細部を練る余裕というものは初めて生まれます。
まずはカレンダーとTODOリストを個人で作成するだけでも随分変わると思いますよ。